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レベル255の魔法少女  作者: パラドックス
第三章 世界改変
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ロンドン会談 前編


「僕も出るよ」


 マキャファートはアメリカから帰ってきた志穂に言うた。

 転移魔法を購入したあと莉音と志穂は現実世界に戻ってきてエリシアたちと合流した。

 美春と千代子はたっぷりとニューヨークを観光して笑顔のようだ。美春たちは観光したあとアメリカからイギリスのロンドンへ行くと聞くと嬉々とした。

 しかし、ロンドンには観光に行くのではなく仕事で行くのだ。上級金貨とアイラを交換するために行くのだ。


「マキャファートが行って、何かなるの?」


「スムースに業務を遂行できる」


「…………」


「絶対に上級金貨をとってみせるよ」


「はぁ、……わかったわ」


「じゃあ、志穂と僕とで」


 志穂はすぐには納得はできなかったが、納得せざるおえなかった。あまり、マキャファートと交渉ごとは嫌いだ。








 志穂たちはロンドンのとある宮殿にきた。志穂とマキャファートは仕事、莉音と美春と千代子とエリシアはロンドンの宮殿を観光する。

 転移魔法購入後、参謀本部長からこの日を指定してきた。

 指定の日、空港からハイヤーを出してくれることになっていた。きっかり時間どおり、ターミナル前まで乗り付けてきたハイヤーに志穂とマキャファートは乗り込み、ロンドンの宮殿へと向かう。もちろんエリシアのハイヤーで莉音と美春と千代子も同じ宮殿へと向かう。

 ロンドンの市内を出てしばらくすると、イギリスの田舎らしい小麦畑がしばらく続く。

 さらに一時間ほど走ると、徐々に景色が変わってきた。

 整備され尽くした庭園が広がり、ポツリポツリと大邸宅が点在し始めた。邸宅も、ロココ様式やビクトリア様式、ネオクラシック様式やジョージアン様式、バロック様式の凝った造りのものばかりで、庭園を取り囲む門までもが流麗に整備され尽くされており、一つ一つの家にやたらと威圧感があった。

 若干の高台になっているのか、はるか彼方のロンドンの街並みを遠望することもできる。

 空気も良いし、のどかで美しい高級住宅地域だった。

 そのうちの一つ、肩幅だけで数キロはある宮殿の門を、ハイヤーはくぐっていく。

 中央に建つ宮殿へ向けて緩やかにカーブを描いた車道が通っている。左右には煉瓦造りの散歩道に、絵に描いたような噴水、それから常緑樹が一定間隔で几帳面に植えられていた。庭というより、大規模な国立公園と言った方がよかった。

 邸宅の向こう側がキラキラ輝いて見える。何かと思って目を凝らすと、水面だった。この向こうには、湖があるようである。

 これだけ広い敷地が細大もらさず整えられているさまは、それだけで見事だった。いったいどれだけの庭師が、この庭園を整備しているのだろうか。

 ハイヤーは、宮殿の前にピタリと横付けされた。

 玄関前には、黒い髭をたくわえた黒服の執事が直立の姿勢で立っていた。

 ここまで案内してくれた運転手が降りて、志穂とマキャファートが座る後部座席のドアをうやうやしく開けてくれる。志穂に続いて、マキャファートもぴょんと降り立った。

 黒服が近寄ってきて、慇懃に言葉をかけてくる。


「志穂様にマキャファート様、お待ちしておりました。参謀本部長、有栖川大将様がお待ちです。ご案内致しますので、どうぞこちらへ」


 有無を言わさずに志穂たちは案内されるまま、黒服のあとへ続いた。


 それに対して莉音と美春と千代子とエリシアは別の観光してもいい宮殿へと案内された。エリシアもこの執事には信頼もおける人物だ。だが、今回はエリシアたちは物語の外にいることになる。






 参謀本部長は椅子に座ったまま志穂たちを迎えた。

 端から端まで続くような長いテーブルに、淡いオレンジ色のシャンデリア、暖炉が備え付けられている部屋で、談話室だった。会談ではなく談話をするつもりだろうか。

 テーブルの向かい側、参謀本部長は緊張した面持ちで迎えている。



「さて、始めようか」








「まずは、アイラ様を……持ってきておるのか」


「その前に上級金貨を出してよ」


 長いテーブルの席に着くと、参謀本部長とマキャファートが舌鋒鋭く刺す。

 上級金貨は腐らない。

 生首は腐る。

 期限がある。

 どちらをとるか。

 生首はマキャファートにとっては早く出さなければならない。参謀本部長にとっては早く国葬をしたい。急ぐのは生首の方だ。

 カードと国葬。どちらが大事が、絶対に行いたいか。答えは明白である。


「これが、上級金貨だ」


 ドサッと重厚なまるで金庫のようなケースをテーブルの上に置き、パチッパチッと一つずつ鍵を開け、ダイヤルを回し、完全に鍵を開けケースを開く。

 ケースの中から高級な桐箱が出て、そっと桐箱を開け中身を見せる。


 そこには一等黄金に輝く、上級金貨があった。


「さぁ、そちらも」


「志穂、お願い」


 志穂はマキャファートの言う通りに、ドサッと重厚なまるで金庫のようなケースをテーブルの上に置き、パチッパチッと一つずつ鍵を開けケースを観音開きで開く。


「うっ」


 参謀本部長の他にも幹部たちが居並ぶこの談話室に不気味で生臭い嫌な空気が流れる。


「アイラ様……」


 観音開きで開かれたケースの中には、アイラの生首が安らかな顔をして、あった。


「では、その上級金貨が本物かどうか鑑定させてもらうよ」


 その時、幹部たちが立ちあがり怒号を上げた。


「うるさいなぁ、念には念をだよ」


 会談はマキャファートが主導権を握っていた。


「……わかった。だが、触ってはならぬ」


 参謀本部長が許可を出すと、幹部たちは押し黙る。


「マキャファート、どうやって鑑定するの」


「目だよ。刻印などを見るんだ。もし、偽物ならちゃんと偽物だとわかるように刻印してる。本物と一緒にしちゃあ、それは本物か、金貨の成分をいちいち調べなきゃならないからね」


 偽物作りはちゃんと偽物だとわからせるように作る。偽物作りをする人間だけがわかる特殊な目印をつける。


「ふむ、ふむ」


 マキャファートは上級金貨に触らず、顔を近づけよく上級金貨を見る。


「なるほど、日本円にすると2.05京円ほどか」


「マキャファート、それってどうなの?」


「本物だ。刻印も本物。金貨の成分も上級金貨レベルの成分だ。近くで見ないとわからないけど、まぁこれは本物だよ。断言する」


「うーん、私にはスーパー円の下級金貨に似ているみたいだけど」


「たしかに、これはスーパー円の上級金貨だから同じスーパー円だとよく似てる。下級金貨との違いは成分だからね。成分の違いを刻印してるよ。まぁ、それが本物とは限らないんだけど。でも、成分をしっかりと調べれば上級金貨か下級金貨はわかる」


「でも、一見したらわからないんでしょ」


「まぁ、近くで見ないとわからないけど、成分を調べれば、ちゃんとわかるよ」


「そう」


 志穂はそう言って、椅子に座り直した。



「じゃあ、お互い本物だとわかったところで、ちゃんと話をしようか」




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