渡米のスーパードル
【4.001089】
世界は第四版世界にオーバーライドした。
「……もう一度言ってもらえるかしら。志穂さん」
「だから、ドルをスーパードルに換えて欲しい」
志穂と衣咲と莉音はまだ昼の栄原町のディスコに来ていた。
「……いくら?」
「200億ドル」
「今は1ドルの場合0.009845スーパードルだから、1億9690万スーパードルよ。スーパードルの超越通貨で言うと、下級金貨1枚、上級銀貨9690枚となります」
「よかった。じゃあ、両替をお願い」
「いいですけど。何を購入するつもり?」
「転移魔法」
「……たしかに、今なら転移魔法はスーパードルの方が安く買える。けど、転移って……どこの異世界に転移するつもり」
「異世界に転移しに行くわけじゃないの。現実世界に戻るの」
「……そう、わかりました」
衣咲は200億ドルを1億9690万スーパードルに替え、志穂に渡した。
「一つ忠告です」
「何?」
「莉音さんの持つ、スーパーカーレンシーライセンスは違法の物です。またスーパーマーケットで魔法を購入するつもりなら、ブラックリストに記入されてるので危険かと」
「……えっ、どういうこと?」
「日本のスーパーマーケットではブラックリストに記入されてる」
「……わかるの?」
「世界改変されても残っておる。そういったブラックリストは私は見れる立場にいる」
「……あなたは未来人と聞いたのだけど」
「まぁ、それはそうだが。聯盟に秘密裏に両替商をやってる身としてはだ」
「……それで、日本のスーパーマーケットで購入したらどうなるの?」
「捕まります」
「……魔法でなんとかならない?」
「インターネットはサービスです。そのサービスを提供してる者がいる。その者は聯盟がの管理下にある」
「……つまり、どういうこと?」
「インターネットから現実世界に転移できるのはインターネットが現実世界と繋いでるから。インターネットとの回線を切断をすれば、インターネットに取り残されたままになる」
「でもそれって、隔離されたインターネットで魔法テロリストが魔法を使って暴れない?」
「閉鎖的なメタバースとして切り離すわ。暴れても支障のない空間で、牢獄のように」
「……そう、わかったわ。なら……日本じゃないスーパーマーケットならどうなの」
「一応、インターネットは世界各国に繋がっている。国際手配されていたら捕まる」
「でも、日本ローカルなら大丈夫よね」
「日本以外のスーパーマーケットで購入するつもり?」
「どこがいいかしら?」
「スーパードルならアメリカがいい。不審に思われにくい」
「わかったわ」
志穂はそう言うと立上がり、莉音に次の目標を告げる。
「莉音、アメリカに行くわよ」
「ええっ!? 本当に!?」
「アメリカのインターネットに行き、それからロンドンに飛ぶわ」
「学校は?」
「休む」
「みはるんたちは?」
「……なんなら、連れていくわ」
「おお、やったー! みはるんとアメリカだー」
莉音は嬉しさのあまり踊った。ここはディスコである。
「それじゃあ、ありがとね。衣咲」
「ええ、では」
莉音と志穂は手を振り、ディスコを後にした。
「……まさか、本当にアイラさんを斃すとはね。大将はどう判断するのだろう」




