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レベル255の魔法少女  作者: パラドックス
第三章 世界改変
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魔法少女のウォーゲーム④

「だぁッ!!」


 志穂は弾丸のように飛び出した。


「っ!」


 アイラは突進する志穂の眼前で、地面に斬撃をくり出し砂埃を舞い上げ、目眩ましをした。


「!」


 しかし、志穂に目眩ましは効かない。


「はぁあ!」


 志穂は逆袈裟斬りの一撃で砂埃を吹き飛ばした。


「っ!」


 志穂が砂埃を吹き飛ばす動作をする一瞬、アイラは志穂の喉元に向かい刺突をする。


「くっ!?」


 それを志穂は勘と反射で回避する。


「ほう、なかなかだな……」


 アイラの感心に志穂は身を低くして向き直る。


「経験よ」


 志穂は右肩を前に出し、刀身を腰だめに寝かせて体の横に置く、刺突の構え。


「──っは!」


 志穂はアスファルトに群青の波紋を残し、正面に跳ぶ。

 踏み切りと同時に突き出す剣尖が、その刺突の伸びる動きとともに、自分の進路を阻むように、アイラの外套が舞う。


「っ!?」


 アイラの外套は志穂の視線を大きく奪うが、志穂の刀はそれを貫く。

 が、ハズレ。

 アイラは志穂の目の前から消えていた。


「ハッ!!」


 アイラは志穂の刺突を躱し疾走する。神速の二歩、三歩の動作に斬撃が乗り、三秒と経たず横薙ぎにアイラを一刀両断する。


「っぐあぁあ」


 志穂は身を斬られ悲痛な悲鳴をあげる。


「ぐ、う……」


 志穂は刀を杖のように突いてもたれかかる。


「もう、虫の息だぞ」


 アイラの言うように、志穂のHPは2になっていた。それでも、志穂は戦う。


「はぁ、はぁ」


 莉音はいない。故に、防御魔法も回復魔法もない。


「……それでも……か」


(絶対に、倒すッ!!)


 志穂は一撃をかますため、アイラに無鉄砲に飛び出す。

 それは戦闘そのものの流れが頭にない。

 外せば切り替える。それがない。

 志穂は頭に血が上り、まるで転ぶことを考えずに突っかかる子供のようだった。

 アイラは攻撃をいなすことが得意な敵だ。その敵に対するには、まさに最悪の戦い方だ。

 志穂は袈裟斬りをしようと刀を振り上げる。

 その振り上げに胴体が隙になる。

 アイラはそれを見逃さない。


「────」


 一瞬、


「───かっ」


 志穂の胴体が斬られ、吹き飛ばされる。

 志穂のHPは0になった。

 戦闘不能だ。

 戦闘不能により、身体が言うことを聞かない。

 瞼が瞑り、目の前の景色が遠のく。

 今は叫びさえ上げられない。

 志穂は初音川の河川敷に落ちた。









「ちょっと、職員室に行く」


「ちよちよ、取り返すんですか」


「ああ。戦闘が始まるのならスマホがないとなんちゃあならんき」


 千代子はそう言うと教室を出、スマホを取り上げたフユヒコ先生がいる職員室に向かった。


「ねぇ、美春」


「何ですか?」


 マキャファートはぴょんっと美春のカバンに入った。


「君は共振システムがあるよね」


「ええ、ちよちよと一緒にできる」


「千代子もできるけど、すみれにも合致する」


「そうなんですか? スミーとはそういう機会がなくて終わってしまいました……」


「いや、できる。今でも」


「へっ?」


「まぁ、これを見て」


 マキャファートはそう言うと美春のカバンの中でこっそりとすみれのスマホを美春に見せた。


「プリヴェート」


「っ!? スミー!?」


 美春は動くすみれを見て感情が高ぶり、口に手を押え涙した。

 つー、と頬に流れる光るものを美しかった。


「……と言っても、電子化してるだけで生き返ったわけではないんだけどね。にゃははは」


「えっ? えっ? マキャファート、どういうことですか?」


「詳しくは後で話す。今は共振システムの話だ」


「は、はい」


「端的に言うと、EMP電磁パルスを作ってほしい」


「ふぇ?」


「つまり、美春とすみれの合体技さ」


「いや、そのEMPって何ですか?」


「電磁パルス。電磁パルスを直撃を受けると、強力な電磁波によって波長の適合するあらゆる導体に誘導電流が瞬間的に引き起こされる」


「は、はぁ」


「まぁ、電磁フィールド下なら小さな電磁爆発が起こせるよ」


「電爆がですか」


「うん。すみれの熱エネルギーと、美春の電波を合わせた攻撃。爆発のダメージと電撃の麻痺を与えることができる」


「それを、…………あいぽんに……?」


「そうだね。それで、核ミサイルの発射のスイッチを止めれるかも」


「そ、そうなんですか」


「すみれもわかったね」


「うん」


「これで、よしっ。あとは莉音たちだけど……どうなってるんだろう」









「おい、あたしらのスマホを返せ」


 千代子はガラガラと職員室の扉を開いた。

 そこには、……莉音がいた。


「うきゃああ!!」


「おい、やめろ」


「押さえろ」


「いや、危険です」


「誰も彼女を止めることはできません」


「スーマーホー。私のスマホを返せー」


「ひいぃ、なんだスマホって」


 莉音はスマホを取られ我を失っていた。なんだかわけのわからない生き物として教員たちを襲っていた。

 モンスター莉音の前には誰も近づけない。

 すべてを傷つける。


「……カオスちや」


 千代子はカオスとなった職員室を教師たちに気づかれぬようにこっそりとフユヒコ先生の没収箱に近づいた。


「おい、お前何してる!」


「あぁ!?」


 フユヒコ先生は当然注意する。それを千代子がガンを飛ばし対抗する。


「スーマーホー」


「莉音、スマホならここちや」


「スマホ、スマホ、スマホ」


「ひいいい。近づくな」


「先生、逃げてください」


「で、でもこれは」


「うがああぁあ」


「ひいいい」


 フユヒコ先生は教員が言うように、モンスター莉音から避難した。

 がさごそっと。

 千代子は自分のスマホと美春のスマホをゲットした。


「よしっ。莉音、見つけたかえ」


 がさごそっと。

 莉音は自分のスマホをゲットした。


「はっ! 私は今まで何を」


「なんちゃあ覚えちゃあせんがかえ」


「えっと、うん。全然」


 モンスター莉音から通常の莉音に戻った。すると、


「とっ取り押さえろ。停学だ! いや、退学だ!」


 莉音は職員室を大いに荒らした。


「ふぇ? ふえええ!?」


「大丈夫ちや」


 千代子がそう言うと、一閃。


「ハアッ!!」


 拳圧がぶああと吹き教師どもを黙らせた。


「教室に戻るぞ」


「う、うん」


 二人はスマホを持って、教室に戻った。




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