魔法少女のウォーゲーム③
「んっ? マキャファートから」
志穂はスマホにマキャファートからの連絡が入り、メールを開いた。
「っ!? ミサイルがっ!?」
マキャファートからの連絡はすぐに学校に集合せよとの連絡とアイラの国の危険性と緊急性を伝えるものだった。
「……すみれが……生きてる?」
すみれのMADボムを核弾頭化、小型化し大陸間弾道ミサイルに搭載し、北朝鮮へとロックオンしてるとの連絡は危険性の他にすみれの魔力的な生存を意味する。
「でも、データ化は…………」
すみれは現在、生身の身体で生きてはいない。肉体をデータ化し電脳世界で生きてる。それをはたして生きてると言えるのかは疑問だが、すみれは『居る』。
「……アイラ・ミカラギ・スタインバーグ」
志穂はアイラの名を口に出す。そこには許してはいけない者と認識をした覚悟がある声音だった。
「…………学校か」
志穂はマキャファートの言う通りに学校へと行く。
すみれを拉致し戦争の道具として使うアイラはもう許せない。
「あれが、学校か」
アイラは魔法少女たちの一番の活動拠点となっている学校へ来た。
「データ管理局がインターネットをくまなく探してるが見つからない。ということはインターネットではなくローカルネットに逃げ込んだ可能性がある」
ローカルネットはローカルエリアと言われる限定的な広がりがある地域で情報をやりとりすることである。
つまり、どこかの家の地下室に逃げ込んだようなもので、いくら公道や上空から監視しても見つけられない。
インターネットから携帯端末に入り、端末をインターネットから切断をすれば端末に隔離できる。
「可能性としては、魔法少女たちのスマートフォンか」
誰かのスマホに逃げ込み、インターネットの回線切断をすれば、データ管理局からはまず見つからない。足跡をたどるやり方はデータ管理局には畑ちがいで、その方法はとれない。その方法ができるのはアメリカ国防総省やCIAなどの軍事的、情報的な専門機関でないと無理だ。
今の段階では足で見つけるしかないのだ。一見無謀で途方もないが、アイラには当てがあるのでそうでもない。
「…………悪いが、逃しはしない」
「……志穂しか返答が来ない」
マキャファートは魔法少女たち四人にメールで学校に集合せよと送ったが、返信してきたのは志穂の了解だけだ。
「マキャファート? この無料メールアプリって何?」
「登録した宛先にメールが送れる。しかもインターネットを通さないから通信も負担にならない。何よりローカルネットで事が済ませる」
「裏の電信ってこと? 傍受されない?」
「だいたいあってる。インターネットを通さないけど、電波を飛ばしてるからそれで傍受される可能性はある。まぁ、相手が傍受する気があるならされるだろうけど」
「そんな機能があったのか。それを知らずに死んでしまったよ」
「…………まぁ、それより学校に潜入するよ」
「えっ、待たなくていいの? みんなは学校にいるの?」
「すみれのスマホを今インターネットに繋ぎたくはないからGPSは使えないけど、とりあえず学校内を確認する」
「そう」
マキャファートはぴょんっと電柱から飛び降りると、ネズミのごとく学校に潜入していった。
「くかぁ」
「大丈夫かえ? 美春」
「ふぇっ。ちよちよ見てましたか。えへへ。大丈夫です。ただのあくびです」
「そうか」
美春がかわいいあくびをすると芸能人の疲れではないかと千代子は心配するが、美春はなんのそのと千代子にかわいらしい胸を張って見せた。
千代子が窓の外に視線を移すと。
「きゃあっ!」
美春の悲鳴がして千代子がすぐさま振り返る。
「どいたっ!? 美春」
「やあ」
「っ、マキャファート」
マキャファートがこっそりと美春に近づいていた。
「ど、どうしたんですか?」
「うん、とても重大な話がある。美春は変身して妨害電波を流して欲しくてね」
「あっ、ちょっと今は変身できなくて……」
「えっ? どうしてだい?」
「クソ教師がスマホを取り上げたがよ。あたしら三人とも」
「はっ!? 何だって!」
マキャファートがその事実に驚く。
「うん……私たちが朝礼に行ってる間に、所持品検査をされて…………」
「まっこと、下衆なことをしよる」
「……まずいな、僕のアンテナが反応して近くにヤツが来てるだろうに」
「ヤツって、あいぽんのことですか?」
「うん、そうだよ」
「敵が来よるとゆうことは戦闘が始まるがか?」
「そう」
「…………奪い返すか」
千代子は取り上げたスマホを実力行使で取り返そうと思った。
「頼むよ、千代子。スマホがなければ魔法少女に変身できない」
「ああ」
「……莉音は?」
「あぁ、莉音さんはスマホを取り上げられてショックでどこかへ行ってます」
「そうか」
「莉音が必要ながかえ?」
「まぁ、必要だ」
「戦闘が始まるからですか?」
「それもそうだけど、……北朝鮮に核ミサイルを落とそうとしている」
「「かっ核ミサイル!!」」
「もし、核ミサイルがこの地球上に落ちれば、世界は第三次世界大戦に突入するだろう」
「………………」
「………………」
志穂は学校にすぐさま来た。来たところ、アイラと偶然にも出会った。
「……すみれをどこにやった」
「それは私が聞きたい」
志穂は納得のいかない回答を得ると、スマホから魔法少女アプリの変身アプリをタップしブルーの魔法少女に変身した。
「……どうやら、貴公のスマートフォンには来てないようだな」
「どういう意味よ」
志穂は抜刀し構えた。
「すみれ殿は生きてる」
「っ!?」
「電脳世界でな」
「っ……。それが生きてるって言えるの」
「すみれ殿は自我を持ってる。自分で考え、自分で動いた。どこに行ったかは定かではないが、おそらく魔法少女たちのスマートフォンではないかと思う。貴公はどうであった。すみれ殿はいたのか?」
「……いなかったわ」
「ふっ、そうか」
志穂はそのアイラの態度にイラついた。
「……黙れ」
「……?」
「核ミサイルを飛ばそうとしてるあなたが、私を……見下すなあぁぁ」
志穂は弾丸のように突進する。
ギーンと金属のぶつかる音がする。
アイラも抜刀しそれを受け止めた。
「そのことを知っているのなら……仕方ない。
トップシークレットを知られたのなら、たとえ女子中学生でも容赦は……しないッ!!」
アイラは志穂の刀を薙ぎ払った。
その反動で志穂もうしろへと吹っ飛ぶ。
戦闘が始まった。




