魔法少女のウォーゲーム②
「なんで、ロシア語設定になってるのさ。日本語に再設定するよ」
マキャファートはすみれのスマホのコントロールパネルをタップし、言語を日本語にリセットした。
「マキャファート? 私」
「すみれだろ」
「わかるの!?」
「いや、君の顔というか体がスマホに映されてあるよ。もしかして『AI』になったの?」
「うーん、それがよくわからなくて」
「人工知能として開発されたのなら、訊くけど」
「何?」
「君の魔法少女のロールは?」
「戦略」
「最大MPは何万?」
「いや、数量ではなくて、回数。9回」
「属性は?」
「熱属性」
「特異性は?」
「特異性はエネルギー」
「君には共振システムがある。他にもいるけど誰と誰と誰?」
「美春と千代子」
「……どうやって志穂は継承システムをすみれに渡したの?」
「……たしか、継承システムの甲乙の関係にいろいろとチェックをつけてたような」
「死後発動に? というより志穂が勝手に出来ないけど」
「えっと、なんか委任状だったかな」
「なるほど、わかったよ。後妻の悪女だ」
「えっ? どういうこと?」
「君はどこかの軍や企業の人工知能ではないようだ。生前の記憶を継承している。正確に言えば、前々回の世界の記憶を継承している。普通なら世界改変したら何かしら前の世界の記憶は継承せずに抜け落ちたりするもんだけどね」
「そ、そう」
「すみれ」
「何?」
「どうやって君は肉体を電脳世界に移したのさ」
「それが、よくわからなくて」
「……やっぱり、君は何者かによって『拉致』されたのか」
「……おそらく」
「……ヤツだろうね。まぁ、それよりすみれは魔法は使えるのかい」
「それが、電脳化? してるの」
「魔法が?」
「そう」
「どうして、そう言えるの」
「MPが7回に減ってるの」
「っ!? 使ったの?」
「違う。向けてるの」
「向けてるって?」
「ICBMだかSLBMだか知らないけど、ミサイルが向けてるの。北朝鮮に」
「クソッ!! やられたッ!!」
マキャファートは尻尾を電柱に強く叩きつけた。
「第二次朝鮮戦争でもする気かッ!!」
朝鮮戦争は米ソの代理戦争である。北朝鮮をソ連が支持して、韓国をアメリカが支持した。現在は休戦となっていて終戦はしてない。もし、核がどちらかの国に落ちれば、第二次朝鮮戦争が起き日米韓が戦うことになるだろう。
「すみれ、訊くけど電脳魔法をどうやって現実に持ってこれるの?」
「メタバースからリアルへの転移となる、なんとかが」
「アイテムのトランジションだよ。……すみれはできる?」
「いや、ちょっとわからないけど」
「たしか、7回目のMADボムは24万キロ級だったな。英国本部を葬れる」
「マキャファート?」
「こちらもMADボムを本格的に武装する。今までは脅しのカードとして使ってけど、核ミサイルが向けられてるのなら話は別だ。すみれ、アイテムのトランジションをやるんだ」
「ど、どうやって?」
「僕が教える。しかしまだICBMを用意できてないから少し待ってて」
「う、うん」
マキャファートは真剣な表情をして電脳化したすみれに言う。
「お互い核ミサイルを向け合ったら……第三次世界対戦になるだろう。でもやるしかない。ヤツらに先手をとられてしまった。でも、絶対に負けない」
マキャファートの国は地理的に北朝鮮を必要とする。故に北朝鮮をMADボムから守らなければならない。なぜならMADボムは『破壊』する。何もかも。
MADボムを手に入れミサイルの弾頭に搭載し、北朝鮮へとロックオンをしているアイラの国の軍の本部はイギリスにある。本部でも一番の大本で大本営と呼ばれる。総大将、総指揮官がいる場所である。アメリカや西欧にも本部を置いてある。しかしそれらは海軍や陸軍などの本部を置いてあるだけで、総本部のようなものではない。アニメ映画で言うならば、イギリスが総監督でアメリカや西欧が監督二人だ。
「すみれ、戦争が始まる」
マキャファートはそう言って、広域に電磁フィールドを展開した。
「魔法少女たちを集める」
RRRRRRRRRRRRRRRR。
「データ管理局から入電だと」
アイラは珍しい客が来たものだと不思議に思って通信内容を見た。
「っ!? 逃げただと!?」
そこには、すみれをデータ管理していたがインターネットを通じてどこかへと逃げたことがわかったとの報告があった。アイラはスーパーマーケットでリアルからメタバースへの転移魔法を購入した。その転移魔法によってアイラの死体をとあるメタバースへと移した。そこまでしたのに、データ管理局の失態にアイラは腹が立った。
「行方は依然不明」
メタバースとメタバースがリンクしているのならば別のメタバースへと移るのは簡単だ。しかし空港の税関と同じ様にチェックするが登録などがないと密入国になり、そのメタバース内ではお尋ね者になる。
「メタバース内にはいないものと考え、随時行方を探す」
インターネットはいろんなところに繋がってる。家庭のパソコンからインターネットを通しアメリカ国防総省に繋がってるのでハッキングも極々薄い確率でいける可能性がある。
「考えられるのは魔法少女たちのスマートフォンか、軍事施設か」
アイラはいろんな考えが巡るが。
「……学校とも考えられる」
魔法少女たちの共通の施設である学校。軍事施設より教育施設の学校の方がすみれは行きやすいのではないかと考えた。
「ともかく、アレが外に漏れるとまずい」
「あれっ、電磁フィールドが展開してます」
「えっ、どういて?」
美春は窓の外を見て電磁フィールドが展開していることに気付き千代子に伝えた。
莉音はスマホを盗られ、まだショックだ。
ちなみに、美春は連絡手段として公衆電話などのピンクのダイヤルフォンや緑のプッシュフォンを使っている。マネージャーとの連絡も特に問題はない。
「さぁ、わからないです」
「敵が来たがか?」
「うーん、わからないです」
「なんか、被害があったがか」
「どういうことですか?」
「夏休みに似たことがあって」
千代子と美春は電磁フィールドを話のタネとししゃべりこんでいた。
「はぁはぁ、私、スマホ、ないと、魔法少女、変身、できない。」
莉音はもう壊れていた。




