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レベル255の魔法少女  作者: パラドックス
第三章 世界改変
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ここの世界とどこかの世界


 秋晴れの気持ちいい天月町駅前のコーヒーショップで二人はいた。


「……第三版世界へと世界改変が起きたわ」


「…………そう……ですか」


 衣咲に世界改変が起きたことを知らされ志穂は顔をうつ向ける。


「今度は部室棟が『無かったこと』にされてるわ」


「莉音が主に部室棟に向けて世界改変を起こしたから」


「そうね。それで、世界改変が起きた」


「では、その前は一体何が変化したのかしら」


「私よ。生徒会長という役職をひっぺ剥がされたのよ」


「莉音がそんなことを願って?」


「いえ、莉音さんがそんなことを願ったわけではないと思う。ご都合が勝手に私に向けたのでしょう」


「……それは何故に?」


「私が、志穂さんや莉音さん以外にも、美春さんや千代子さんやすみれさんにも聞いて欲しかったのよ。それで他三人も夏休みの学校に来るようにと言ったわ。おそらくそれが原因と判断されたのでしょうね」


「……継承システムのことを?」


「まぁ、結果的にそう。MADボムの危険性をあの日の生徒会室で話したかった」


「でも、あの日は台風でそれどころではなかったのね」


「私だって災害まで予測はできない。しかし、私が夏休みの学校にすみれさんまで呼んでしまったこと。それさえなければすみれさんは土石流に巻き込まれずにすんだのかもしれない」


「………………」


「すみれさんにとって、生徒会長に呼ばれるということは重いことだと何か重要な話があるのだと、そう感じて夏休みだろうが台風が来ようがそれでも学校に行った」


「……そもそも私が莉音を誘って、生徒会長に訊きに行くと。夏休みの学校に行くぞと言ったのがいけないことで」


「でも、私が追加要請をした。美春さんと千代子さんとすみれさんも呼んでと。おそらくインターネットで超越通貨を使って買ったものだから」


「……私たち魔法少女にかかわることだから?」


「そうよ。志穂さんだけ何もかも教えるわけにはいかないと思って。……結果的に志穂さんだけ教えた方がよかったのかもしれない」


「そしたら、すみれの代わりに私が土石流に巻き込まれるのかもしれないわね」


「そんな、たらればの世界の話はどうでもいいでしょ」


「そうですね」


「あの時、莉音さんはすみれさんの遺体を回収するためにも回復魔法をやったのだと思うのだけれど、でも先行した感情は回復、復興だと思う。

 しかし前の世界では世界改変の方が先行したのではと思う。確証はないけど」


「それは何故そう思うんですか」


「だって千代子さんは部室棟の火事の犯人として疑われた。いろいろとあるでしょうけど、おそらく莉音さんは部室棟が火事になる前の状態に戻せばいいじゃないかと思ったのでしょうね。そうすれば千代子さんを疑う理由も無くなると思って」


「でも実際、部室棟は火事になる前の状態に戻ったのではなく、無くなった。消えた」


「ご都合が部室棟さえなければ、こんなことは起きなかったのにと消したのでしょう」


「それで世界改変が起こった。第三版世界になったのね」


「莉音さんが世界改変を願って回復魔法をしたのがいけなかった。そんなことをしたら、何か嫌なことがあるたびに世界改変をしようなんて安直な考えを持ってしまうわ」


「それが衣咲の言う、世界が混沌とする……」


「そう。それはおそらく、莉音さんが魔法少女を終えるまでその危険性は孕み続ける」


「……魔法少女が終わるときっていつなのよ」


「……マキャファートさんから訊いてない?」


「いえ、そんなことは。マキャファートは大事なことはあえて言わずにしてますから」


「……そう。本当ならマキャファートさんに訊ければいいのだけど、おそらくMPが0になったときが魔法少女の終焉の時だと思うわ」


「HPではなく?」


「HP0はただの戦闘不能よ、MP0こそが魔法少女の強制的な契約解除だと思う」


「……そんなこと、マキャファートにちゃんと訊けばよかったわ」


「ちなみに莉音さんはいつまで、魔法少女を続けるつもりなの?」


「おそらくですけど、マキャファートの国を助けるまでだと思う」


「……厄介ね」


「何がです?」


「世界を渡り歩いていると言われるわ」


「えっ?どういうことなんです」


「昭和の時代の世界や、平成の時代の世界や、インターネットの電脳世界などを渡り歩き、そのつど紛争や武力介入などを回避してるわ」


「ちょっと待って、平成って何?」


「昭和生まれで現在も昭和のあなたにはわからないことよ。ごめんなさい、タイムリーパーとして失言だったわ」


「はぁ?どういうこと」


「とりあえず、マキャファートさんの国を助けるということはアイラさんの国を倒すことね」


「……それより、戦争賠償を取れればと」


「えっ、志穂さん。あなた何て」


「それより、マキャファートの国やアイラの国について教えてください」


「…………ひょっとしたら、マキャファートさんの国はもうないのかもしれない」


「それはどういうことですか?アイラは戦ってると」


「志穂さん、はっきり言うわ」


「はい」


「今はまだ米ソ冷戦でマルタ会談があと数年後の話だけども、世界はテロリズムや核の脅威にさらされるわ」


「…………テロや核ですか」


「おかげで世界はタイムリープという科学技術を生み出し、それを実行している」


「…………えらく突拍子もない話ですね」


「この世界、この時代では核の脅威はアメリカやソ連だけど未来では違う。それも国連の常任理事国でもない、安保理でもない国が」


「…………それは一体?」


「北朝鮮よ」


「…………北朝鮮が?核兵器を持てるの」


「ええ。しかも作れるわ」


「…………ありえないわ」


「キムイルソン国家主席の時代ではなかなか考えられないなのでしょうけど、キムジョンイル総書記の時代に核実験をするわ」


「キムジョンイルってキムイルソン国家主席の息子のこと?」


「そうよ。見たことないかしら」


「そう言えば、第六回党大会でお披露目をしたような」


「そう。そのキムジョンイルよ。キムジョンイル総書記は党よりも軍を重きに置く人で軍事力を上げ、ついには核実験に成功する。そして核保有国となって、核実験を控える代わりに食糧をって交渉をしてくるわ」


「…………北朝鮮が核兵器をねぇ」


「信じられないかもしれないけど、本当よ」


「キムジョンイルが核兵器をちらつかせ脅してくるの?」


「……問題はその子供、キムイルソンの孫のキムジョンウン委員長よ」


「誰よそいつ」


「キムジョンイル総書記の三男にあたる人物よ」


「んで、その問題児がどうしたの」


「交渉もしてこない。外交もしない。国際社会をガン無視する。核実験を重ね、脅威を高める」


「厄介ね」


「それらを踏まえ、一つの案が極秘裏に可決されたわ」


「何?」


「キムジョンウン委員長を産まれる前に殺す」


「…………タイムパラドックスが起きない?親殺しのパラドックスみたいなの」


「おそらく起きるけど、この方法をとることにしたの」


「へぇ」


「キムジョンウン委員長は84年1月8日生まれで、それまでに暗殺をせよと」


「衣咲に命令が」


「いえ、他の国が」


「……それで」


「アイラさんの国は何度か暗殺計画をしているわ、そのたびにマキャファートさんの国が妨害してる」


「いきなり、マキャファートが出てくるのね」


「マキャファートさんの国はテロリストとして見なされているわ」


「……それで」


「アイラさんの国は世界平和のために暗殺する。マキャファートさんの国は自国の国益のためにテロリズムを起こす。

 まだ赤子のような魔法が生み出されてない時代に来て、タイムパラドックスを起こそうしている」


「…………それで」


「この80年代を世紀末にすれば、その後の未来は変わる。



 『もし、80年代にスマートフォンを持った魔法少女たちがいたら』



 世界はどうなるだろうか。そんな思考実験を行っているのよ」



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