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レベル255の魔法少女  作者: パラドックス
第三章 世界改変
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黒板のジャングル④


 昨日、テレビの収録を終えた美春は眠りから目を覚ます。


「んっ。う~ん」


 今朝も快晴。美春は眠い目を擦りながら、なんとか布団から出る。

 布団から出ると、まずは手と顔を洗い、着替えをすれば、眠気もすっかり吹き飛ぶ。

 母親が作ってくれたご飯を食べて、気力とともに体力も充実させる。今朝のおかずは、味噌汁と目玉焼き、それとコンビニから買ってきた漬け物と、至ってシンプル。でもこれがまたおいしい。


(やっぱり、朝はご飯と味噌汁の一汁一菜だよね)


 食後に歯を磨いていると、父親に急かされる。その父親である人物が美春の形のいい水密桃のようなお尻をポンと叩く。父娘だからセクハラはないとでも思っているのだろうか。畜生め。


「きゃっ。お父さん」


「ほら、美春。時間、大丈夫か」


「えへへ。大丈夫。大丈夫」


 美春はそれに笑顔で答える。これでも裏道近道を使えば間に合うんだよ、と内心思うが、口には出さず。

 バッグを持って、いざ学校へ。


「いってきまーす」





「あれっ?」


 美春は裏道として通学路とは言えぬ獣道を通っていた。その姿はまるで猫のようだ。


「あれは、衣咲先輩」


 美春は衣咲のことを衣咲先輩と呼ぶ。かつて生徒会長だったこともあり、敬意を込めての先輩付けである。美春は芸能界という厳しい上下関係の世界を渡り歩いて、先輩付けくらい当たり前だ。


「ほら、謝れよ。地面を舐めてな。ハハハ」


 そこには複数の不良どもが衣咲に土下座を強いていた。


「……なぜ」


「昨日、てめえが仲間を呼んだことだよッ!!」


 ガシッと足蹴りを一発衣咲の左頬に噛ました。

 衣咲はその勢いにより右に倒れた。


「っ!?」


 美春はその見てはいけない場面を見てしまったのだ。不良たちのリンチを。


「姐さん、こいつどうしやっしゃっしょう」


「そうだな、……なら茶巾でもやるか」


 茶巾とは性的いじめの一種で、スカートを捲り上げて裾を頭の上で縛り付けることである。80年代はスカートがふくらはぎ丈の長さが一般的であったため、茶巾縛りができた。

 しかし目の前にいる衣咲のスカート丈は膝丈であり、頑張っても茶巾は肩ぐらいまでである。


「まぁ、肩ぐらいだってもガムテープで縛るか。一応、手が使えなきゃいいんだから」


「ひゃっはー。下半身を露出させスカートの中が丸見えで無防備になりショーツが丸出しになるぜぇ!」


「……おまえ、なんか説明口調だな」


「まっ、そんなことより。おいこいつを押さえろ」


 姐さんに言われ手下どもは衣咲を抵抗しないように押さえつける。衣咲は手足を押さえつけられ為す術もなく立たされ、スカートを捲り上げられる。


「うぐんっ」


 衣咲は口も押さえられて声が出せない。そんなことにもかかわらず、無情にもスカートをすべて捲り上げられて、白いパンツがモロに現れた。


「けっ、つまんねーな。普通のショーツかよ」


 衣咲のパンツは本当に普通の白いパンツだった。鼠径部のギャザーも何の色もない。せいぜいウエストのゴムに二本の水色の線が走ってるだけだ。本当に真っ白のパンツだった。


「おい、ガムテープ」


「へい」


 姐さんがガムテープを衣咲のスカートの裾と衣咲の肩を縫い付けるように貼る。


「うんん」


 衣咲の顔はみるみると赤くなり、羞恥が衣咲を襲う。ひんやりとした外気が股間を撫で心臓まで冷やす。


「ううんんんん」


 衣咲は必死に抵抗するが口は塞がれており何も声にならない。


「なぁ、こいつの脱がすか」


「っ!?」


「いいねぇ~」


「ひゃひゃひゃひゃ」


 不良どもの下卑た声がする。本当に耳障りだ。


「うううんんんんーー」


 衣咲が声を荒らげようとするが不良どもはそれを無視し、衣咲のパンツを膝下に下ろそうとする。

──その時


〈ゴトト〉


 美春のバッグが肩からずり落ち、地面にあった大きな石に当たりバッグの中に衝撃が走る。


「おい、今の音なんだ」


(ヤバイっ)


 不良どもは手を止め、音のした先を見る。


「おいっ、そこにいるのは誰だ」


 ずかずかと不良は美春に近寄る。


(どうしよう)


 美春は心臓をバクバクさせ祈るが現実は非情であった。


「おっ、いた」


「あれっ、そいつアイドルの美春じゃね」


「んべんべんべ」


「ほぉー。盗み見か」


 姐さんは乱暴にも美春の髪を引っ張る。


「きゃああ」


「見られたのなら仕方ねえ。おいっこいつもやるぜっ!」


「うえぇぇぇい」


「いやあぁあああ」


「カメラを用意しろ。週刊誌に売れば高く売れるかもしれん。いや裏で個人ならもっとだ」


「いいいやぁああああ」


 不良どもが美春を押さえつけようとする。

──その刹那ッ!!


「なんとも、下衆なことをしているのだな。ゴミども」


「あっ?」


 姐さんがうしろを振り返るとそこには、アイラが屹立していた。



「私は、アイラ・ミカラギ・スタインバーグ

 真に国家を愛する者だ」









「おはよう。志穂」


「っ!?マキャファート」


 志穂は学校に着いた直後、マキャファートがどこからともなく現れた。


「実は君に話が……」


「何?……すみれのことかしら」


「わかってるじゃん。それでね……」


「戦争をしようと思うの」


「はあぁ?」


 マキャファートはすっとんきょうな声を出した。


「マキャファートも戦争をしたいのでしょう」


「いや、したいわけじゃなく。防衛装備を使ってだね……」


「うそ。したいでしょ」


「…………」


 志穂の目は本気だった。それにマキャファートも真面目に答える。無言に。


「私はそれでこの力を……継承した」


「志穂の力はすみれの下位互換だ。劣化だ。継承なんて甚だしいよ」


「それでもMADボムを使った交渉よりいいのだと思うのだけど」


「どこが?」


「斬首作戦とか」


「それは戦闘や作戦で、戦略ではない」


「でも、有効よ」


「どこが」


「どこがじゃなくて、誰によ」


「…………」


「……アイラによ」


「本当にヤツに有効なのか」


「あんなに忠誠心高いとね」


「…………君は戦争をして、どうするつもりだ」


「上級金貨よ。戦争賠償」


「それで、蘇生魔法を買って……すみれを」


「ええ、そうよ」


「自分勝手な考えだ。死ぬよ」


「……死なないわ。……おそらく」


「そうかい。なら勝手にどうぞ。遠くで見て適当に電磁フィールドを展開するよ」


「頼むわね」


 マキャファートはプイッと志穂に背を向けどこかに跳んでいった。



「あとは、莉音をこっちに呼ぶことができればねぇ」









「んっ。志穂ちゃんからメールだ。なになに」


[話がある。空き教室の階に来て]


「話ってまた、私の回復魔法なのかなぁ」


 ティロリンと莉音のスマホがメールの着信を知らせる。


[回復魔法のことじゃない。むしろ使ってもいいから来て]


「エスパー!?志穂ちゃんはエスパー志穂になっちゃったの!?」


[戦闘が始まりそうなの]


「…………」


 莉音はその文面を見て、気を引き閉める。


「また……戦闘か…………」









 千代子は今日は美春が来ると知って学校で待っていた。


「おかしいねゃ。どうしゆうろう」


 千代子は美春が来るはずなのに来ないことに不思議がっていた。

 キーンコーンカーンコーン。


「……チャイムが鳴っても来ん。……見に行くか。ひょっとしたらなんか巻き込まれちゅうかもしれん」


 千代子は美春が心配になり、通学路とは別に裏道で美春を探しに出た。


「……大丈夫やったらえいがやけんど」





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