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レベル255の魔法少女  作者: パラドックス
第一章 魔法少女たちのロール
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水中下に進む

 イルヴァは人体実験を受けた。

 その人体実験は、水責めに耐えうる身体。

 水責めは拷問の一種。身体に傷害が残る拷問ではないため、拷問の立証が難しい。

 身体を仰向けにしヘソを頂点にへの字型に曲げ、脳に血がのぼるにする。

 口に大量に水を飲ませる、または鼻口にビニールなどで被せてホースから水をぶっかける。

 そうすれば、まるで水中に溺れているような感覚に陥る。

 人間は生にすがろうともがく。

 生きたい。ならばどうするか。この状況を何とかするしかない。

 何とかしたいために、吐く。情報を。

 それが水責めだ。

 肺呼吸を要としている人体、人間には有効的。

 しかし、肺呼吸を要としていない人体ならば、どうだろうか?

 無効である。

 そう、イルヴァは水責めが一切効かない身体である。

 陸上では肺呼吸も出来るが、水中では皮膚呼吸をしている。水責めの時も皮膚呼吸。

 水をH2Oを水素と酸素に分け、酸素を吸収する。

 水中は空気中と同じく酸素があるというふうになる。もちろん十分に酸素が溶けている水中だが。

 肺呼吸と皮膚呼吸のハイブリッドとなったイルヴァは水責めは効かない。

 水責めが効かない人体実験を成功した人間だ。

 そして、イルヴァは水中でも生存可能となった。

 皮膚呼吸だけでは水中で生存可能とはならない。

 水圧だ。

 海中の水圧に耐えうる身体が必要である。

 イルヴァは水圧に耐えうる身体を人体実験で手に入れたわけではない。

 自ら手に入れたのだ。

 本来水責めが効かない身体にした理由は一つである。

 水責めという拷問を受けるほどの機密情報を与えるつもりだったのだ。

 イルヴァは諜報員として配属する予定であった。

 しかし結果は戦闘員。イルヴァが水圧に耐えうる身体を手にしてしまったからだ。

 イルヴァの身体は皮膚呼吸と水圧に耐えうる身体。

 改造と、鍛練で手にした。

 イルヴァは人間潜水艦になったのである。

 とはいっても、諜報を専門にする潜水艦である。

 育成コースで、諜報の勉強もしていた。

 イルヴァは頭脳もあるのである。

 つまり、イルヴァは一つのカスタムと一つのトレーニングと一つのブレインの三つを駆使してここまで来た。




「お疲れ様でーす^^」

 美春は生放送が終わったあとテレビ局を出て家に帰ろうとしていた。

 隣には、マネージャーが一緒だ。

 マネージャーが用意した事務所の車に乗って発進した。

「美春、今日はすまなかった」

「いえ、しょうがないですよ」

 マネージャーは今日のことを謝った。まさか、あんなに道が混雑していたとはと見誤った。

 しかし美春はマネージャーを責めもせず、許した。美春の性格なのだ。

「……美春、学校は…どうだ?」

「……えっ、あー」

 美春は最近仕事が忙しく学校には行けてない。

 マネージャーは美春の学力を気にしてのことだった。

「授業にはなかなか出られてませんけど、大丈夫です。私、家でも勉強してますから!!」

「………………」

 美春は普通の人とは違う人生を歩んでいる。

 子役の頃から芸能界にいる。

 故に、なかなか学校に行けない時が多々ある。

 マネージャーは学力以外にも学校の友人も心配している。

 事務所の方針としては、中学はなるべく学校優先とは言うものの完全に優先をすることは出来ない。

 美春と親御さんの意見も聞かなければならないのだが、美春が高校行きたい大学行きたいなら事務所は応援する。

 本格的なアイドルはその後からでも構わないが、時代は許してくれない。

 アイドルは10代!とかデビューは10代半ば位にした方がいいとかある。

 こんなんだから日本はロリコンだとか言われたりする。

 学業とアイドルの両立は結構厳しい。

 マネージャーは営業だ。担当の娘の仕事を取り付けてくる。

 学業優先としてあまり仕事を取らなければ、それなりの仕事量のままで芸能界を過ごすことになる。

 美春の事務所は芸能界を裏で牛耳る事務所ではない。殿様商売なんて出来ない。

 圧倒的なキャラのアイドルなら小さい事務所でも向こうから仕事が舞い込んで来るが……そんなタレントがいれば大手事務所に引き抜きをされる。

 大手事務所も仕事だし商売だ。多少汚いがそれでもやる。というより、出来るということが問題だ。

 大手が更に大きくなる。強くなる。

 それが、既得権益。

 絶対に壊さない。無くならさせない。

 故に、大手には勝てない。

 少ない椅子を座り続けるには、仕事だ。仕事を取り付けなくては……。

 アイドルが大成するに美貌や努力以外にも事務所の力が関係する。

 ただ、事務所がタレントを本気でプロデュースだけでは無理だ。

 大手、つまり強大な力を持った事務所が本気でタレントを売りだそうとすること。

 美春の事務所は大きくない。

 セーブした仕事量では美春は大成しにくい。

 マネージャーはとても悩んでいた。

 アイドル戦国時代の80年代生き残るのはどうすればいいのか。

「あっ、土吉さん通りすぎました」

「えっ、あぁごめん」

 マネージャーは美春のこれからを考えながら運転していたらつい曲がらなければいけない道を曲がらず直進してしまった。

 通りすぎた道からのほうが近道だったが、仕方ない遠回りだ。

 美春の家はマンションだ。

 マンションの前の道は車が停めにくい。

 いつもは近くの所で車を停めその道を歩いて家に帰るのだが、今日は違った。

 遠くの所で車を停め少し長い距離を歩くことになった。

 そして、いつもとは違う場所で車を停めマネージャーは美春に謝った。

「ごめん、今日は失態ばかりで」

「いえ、そういう日もあると思いますよ」

 美春は笑顔で答えた。実にいい娘だ。

 美春は車を降り扉を閉め、マネージャーに感謝を述べた。

「土吉さん、本日もありがとうございました!」

 美春はぺこっと頭を下げた。

 マネージャーは申し訳ない気持ちを持っていたが美春を見るとやっぱりだなと思った。

 美春はこんなにいい娘だ。急ぐ必要などない。

 いずれ、時代が美春に追い付く。

 頂10で10位に入ったものな。もうすぐだ。

「気を付けてな」

 マネージャーはいつも帰りに言っている言葉をかけた。

 ブロロロと車は去っていく。

 これから、マネージャーは事務所に車を返して今日の残業をして明日の予定を見てようやく帰路に着けるだろう。

 美春は心のなかで『お疲れ様です』と言った。



 イルヴァは、陸上にいた。

 陸上とは言っても場所は、美春のマンションの前だ。

 イルヴァの得意分野は水中、水上とかだが別に陸上は苦手ではない。

 ただ、目的のためにいるのだ。

「ここが、あのアイドルの家……」

 イルヴァの諜報能力で美春の家を特定した。

 ストーカーである。

 いや、この時代ストーカーという言葉はなかった。強いて言えば、一途である。病的な。

 しかし、イルヴァにはストーカーという事は頭にはなかった。

 そうこれは使命。

 使命なのだ。

 イルヴァは使命感に燃えていた。水飛沫を上げるかのように燃えていた。

 すると、カッカッカッと足音がしてきた。

 イルヴァはその足音の先を見た。

(いた。あいつだ)

 美春が帰ってきた。歩いて。一人で。何も気にせずに。

 そして、美春が自宅マンション前まで歩いてきた。




 志穂は夜の繁華街にいた。自宅はビジネス街にある。そのビジネス街の隣は歓楽街だ。

 サラリーマンが晩飯に、晩酌に、一発ヤるためにと街が発展してきたのだ。

 別に志穂は風俗街にいたわけでもない。

 ただ、今日の晩御飯を食べていただけだ。

 大衆中華料理店でラーメンと餃子を頼んでちょうど食べ終わったところだ。

 志穂は金持ちだが、こんな一般庶民の来るところだって来る。

 サラリーマンがここに食べに来るからでもあろう。

 志穂は、別におじさんが好きな訳ではなくサラリーマンが好きなのだ。

 志穂の家は経営一族である。サラリーマンのありがたさは見に染みてる。

 日本的経営を得意とする祖父があってか、現場を大事にする経営者になりたいなと思ってあるのだ。

 ほら、なんだか芸能プロダクションのマネージャーでもやっていそうなサラリーマンがチャーハンを頼んでいる。

 かっこいいなぁと志穂は思ってたときヤツは現れた。

 何処からともなく。

「志穂!大変だ!」

「ブッ」

 志穂は勢いよく水を吹いた。

「この感覚、ヤツラが来たんだ」

「えっ、ちょっちょっと待て」

 志穂はマキャファートに早く隠れてとシッシッと手を振って、ラーメンと餃子の料金を支払って 店を出た。

「何!何なの?」

「僕のアンテナにヤツラを感じたんだ。君が近くにいたからまず、君から言いに来たんだ」

「そ、そうなの?ってか、アイツがこの近くにいるの!?」

「性格には、部下とかだろうけど。とにかく莉音にも電話して伝えて」

「わっわかったわ」

 そして、志穂は最近覚えたスマホを使ってみた。えーと、これが通話アプリで……。

 トゥルルルとな。

「あっもしもし志穂ちゃん?どうしたの?」

「莉音、実はかくかくしかじがで」

「えっ、そうなの?わかったすぐ行く」

 ガチャッとな。

「君たち、そんなつうかあの仲なの?」

「まぁ、そんな感じね」

「あと一つ質問なんだけど」

「何?」

「君ってお金持ちだよね。何でここで一人でご飯食べてるの?」

「べっ別にいいでしょ」

「こんな、大衆中華料理店の味合うの?」

「合うわよ!!高いところばかりで食べるわけないでしょ。ってか、高いところはこっちの街じゃなくあっちの街で食べてるわよ」

 あっちの街とはビジネス街の所である。

 だいたいは、会社の接待とかに使われる。

 料亭もあるのだ。しかも、志穂は料亭で食べたこともある。

「ってか、そんなこと聞きに来たわけじゃないでしょ!」

「あぁ、ごめんごめん。そうだった」

 志穂は会話を切り上げると直ぐ様、マキャファートの言う現場に向かった。




 栄原町は歓楽街である。

 飲食店はもちろんのこと、美容院、デパート、パチンコ店、ディスコ、キャバクラ、ソープなど大人の誘惑がある街である。

 アーケード街、風俗街のほかにマンションが多く並び立つブロックがある。

 そのマンションの一帯の近くに川が流れている。

 その川沿いには桜並木が並んでいる。

 マンションから眺める桜並木は実に綺麗だ。

 そんなマンションの一室に美春の部屋がある。

 だが、まだ美春は戻ってきてない。

 もう、夜だ。

 今宵の星は綺麗で、川に映る星はまるで春の天の川だった。

 そんな綺麗な川の川岸に綺麗とは言えない電子機器があった。

「~♪」

 美春の『ビリラブ』が流れていた。

 イルヴァは一体美春の何に気づいて魔法少女の素質があると言えただろう。

 きっと、イルヴァにしかわからない。


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