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レベル255の魔法少女  作者: パラドックス
第二章 第一版世界
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継承システムの取引③


 ロックフェラー財閥、アイラには嫌でもよく聞く名前だ。

 良いも悪いも一色単に混ぜたイメージがあるからだ。


 ロックフェラーと言えば、石油産業や軍需産業がすぐに思い浮かぶ。しかし単なる大富豪ではない。

 ロック財団というものがある。それは慈善団体の名を借りたビジネス行為だ。子どもたちを施設に入れるが施設に入れる子どもは社会で成功する可能性が高い知能を有する子どもたちを選別して将来ロックフェラー家の役に立ってもらうのである。

 そうやって学者、科学者、政治家、企業家。彼らとの強いネットワークが財閥を押し上げる力となる。


 ロックフェラーは新しい世界を創る。

 ロックフェラーは世界を統べる力を手に入れる。


 世界を統べる力すなわちお金だ。

 そんじょそこらの国家政府が束になっても敵わないくらい世界財閥の力は強い。

 なぜなら政治も経済も軍事ですら動かすとこができるのは途方もない資金力だ。

 民主主義国家なら選挙にも政権を維持するのに莫大なお金がかかるし、独裁国家だって政府を維持するための軍事力や警察力の確保のためにはお金がかかる。

 株式市場や物価だってお金の力でコントロールできるし、戦争をするためにも資金が必要だ。

 政治・経済・社会・外交・軍事・その他もろもろこの人間社会ありとあらゆる事象はお金に隷属しているのだ。

 そしてロックフェラーはその人間界の頂点の一角である。


 しかし、しかしだ。

 人間界の頂点の一角は一つではない。

 ロスチャイルドも人間界の頂点の一角なのである。

 ロックフェラーのすることはロスチャイルド財閥に取って代わることだ。

 いや、それだけに留まらず更に巨大化しようとしている。


「……一般人はそんなことも知らず、生きて……死ぬだろう」


 民主主義とは民意とは何なのだろうか。

 民意をコントロールするのはマスメディアであって、マスメディアをコントロールするのは資金力だ。

 残念ながら多くの民衆は、マスメディアなくして意思を決めることはできない。

 将来に責任を持つ能力もないし、大局的に物事を見据える能力もない。

 

「……バカと……エリート……」


 上位の人間がバカ共を率いて世界を創る。

 おそらくこの構造は変わらないだろう。

 未来永劫。


「………………」


 志穂のバックにはロックフェラーが付いているということは志穂はロックフェラーの犬……なのか?


「……貴公はロックフェラー家とはどういうつながりだ」


「まぁ、エリシアって娘がいるのね。その娘と仲が良くてね」


「………………」


 アイラは志穂がエリシアの名を口にするのに驚いた。

 やはり、志穂はただの経営者ではない。

 そこら辺の経営者はエリシアとは会えない。

 ロックフェラー家は情報を作る者だ。インサイダーの情報を親い人間に流しその者たちが儲けるという構造がある。

 そしてエリシアは情報を作る側の人間だ。

 エリシアと結託すればどれほど影響力のある経営者になれるだろうか。


「話したのか?魔法を」


「…………話したわ」


「………………」


 志穂はエリシアにこの世に魔法はあると話したことをアイラに打ち明けることになった。 

 ロックフェラー家には世界中の情報が集まるだろう。政治も経済も軍事も。

 なるべく、なるべく世界財閥には知られずにことを水面下のままにしたかったがそれは無理となった。


「しかし、魔法とは言ってもほとんど荒唐無稽な事柄ととらえなかったのではないか」


「まぁ、たしかに役員を説得させるのに時間はかかったみたいよ」


「当たり前だ」


「でも400億ドルの大口契約はもらえたわ」


「っ!?なん……だと」


 日本円に直すと約8兆円。その金額ほどあれば継承システムはやすやすと買える。というより現在アイラの手持ちはそれほど持ってはいないし、全力でこられたら負けるのは確実だ。

 やはり、人間社会はお金というものに隷属しているのだ。


「その全額でくれば我々の勝ち目はない」


「いや、全額は無理よ。半額しか替えてないし。それに下級銀貨と上級銅貨でやるつもりだし」


「では訊くが仮に継承システムを購入できたとして貴公はそのあとはどうするつもりだ」


「……それは」


「まだ決めておらぬか」


「…………」


「第一の目標はすみれ殿からMADボムを剥がすのは別に構わんが、そのあとのことを考えておらねばまた第二のすみれ殿が出るかもしれん」


「…………」


「所詮、その場しのぎだ」


「…………」


「いや、その場しのぎにもならんだろう。なぜならすみれ殿のほかに擦り付ける人間も用意せねばならん。それすらも用意できてないということはそれ以前の話だということだ」


「…………でも」


「?」


「でも、もしあなたたちや私たちではない第三の信頼のできる勢力に渡したら……」


「誰だ。第三の信頼のできる勢力は」


「……それは」


「それも見切り発車か。なかなか綱渡りな経営者だな貴公は」


「…………」


「ちなみにすみれ殿のMADボムを誰かに継承で擦り付けることなく完全に消滅する手がある」


「っ!?何?それは」


「今現在すみれ殿のMADボムは8/9回だったな。それを残り8回全て使いきることだ。そうすればMADボムは完全消滅する。そしてすみれ殿は魔法少女から普通の女子中学生に戻れる」


「それはダメ!!ダメなの」


「…………そうか。なら別の案を考えなくてはな」


 すみれのMPは数量ではなくて個数だ。個数ということは絶対に回復しないことを意味する。使えば使うほど減り続ける。限られてるのだ。

 そして使いきるとMPは消滅。マジックポイントの消滅はマジックつまり魔法の消滅。魔法が消滅した少女は魔法少女ではない。ただの少女だ。

 莉音のようにHPが存在しない魔法少女はいるがMPが存在しない魔法少女は存在しない。

 魔法少女にとって大事なのはHPではなくMPだ。

 マジックポイントこそ魔法少女のエネルギー源であり、命だ。


「継承してもMPの残り個数も継承する」


 アイラの言う通り残り個数までも継承する。

 違う人物だからといって数量に変わることはない。


「…………言っちゃすみれに悪いけど。まるで核のゴミね」


 核のゴミは放射性廃棄物のことだ。

 戦後原子力発電が開発されたもののその原発から出るゴミは80年代になっても議論中だ。

 ちなみに80年代までは放射性廃棄物は海洋投棄ができた。しかし93年に全面的に禁止された。

 そして米ソは地中直接注入を行った。だが、21世紀は地中埋設処分が各国で採用されている。

 80年代は2、30年前に原発を発明したにもかかわらずちゃんとした処分の方法を考えず、アメリカから平和のための原子力の活用として売られそれを見切り発車で買ってしまったのだ。

 まぁ世の中に見切り発車はたくさんある。

 起承転結の結の部分を考えず風呂敷を大いに広げてちゃんと畳もせず変な終わり方をする物語とかが。


「でも、成長することは進歩するとこは進化するとこはそういうことでしょう。だれもわからないもの。畢竟なんて」


「…………」


「……ごめん。話がずれたわね」


「いや、ずらしたのは私の方だ」


「それで、教えてくれるようになったかしら。それとも協力してくれるのかしら」


「……おそらく、本当にネズミは関わってはいないのだろう」


「だから、本当だって」


「そして、ロックフェラー家も本当のことだろう」


「ええ、そうよ」


「我々はロックフェラー財閥いや、ロスチャイルド財閥や他の財閥、もちろん日本の支配層も立ちはだかり、そして世界の主要国の全てを敵に回すような国家である。

 どうしても貴公とは戦う姿勢となる」


「どういうことよ。それは」


「貴公やネズミは所詮、金を右から左へと動かし富を得てきた人物だ。我々はその金融システムやグローバリズムを壊しかねない国家だ。

 きっとわかりあえない。戦うしかない」


「…………何それ。あなたの国は、世界に革命でも起こすつもり?そんなの世界が混沌とするわ」


「ふん。よく聞く言い訳だ。しかしやらなければならんことだ」


「あなた殺されるわよ」


「私は軍人だ。疾うにそのつもりだし、命を懸ける理想ってのも悪くはない」


「…………そんな理想、魔法を使ってでも止めるわ。絶対に」


「だから、我々は貴公らと戦うことになるのだろう。おそらくこれからも」


「なんだか、マキャファートがあなたたちと戦ってる気持ちがなんとなくわかってきたわ」


「貴公はネズミに不信感を抱かなかったか?」


「いや、そうだけど。それより革命の方がよっぽどたちが悪い。あなたカストロ議長より暗殺を企てられるんじゃない」


「カストロはまだ殺されてはおらん。おそらく21世紀になっても。殺せない暗殺計画の数が多くてもそれがどうしたんだ」


「仲間の革命家たちは死んでいったわ。……あなたには死んで欲しくないけど」


「その気持ちは感謝する。だが貴公らとは敵となる。それは覚えておけ」


「…………」


「……もう取引終了の時刻まであと少しとなったぞ」


「あなたは、下級銀貨16枚、上級銅貨30枚の最低枚数にしたら」


「ふん。そんなこと貴公が決めることではない」


「どうしても教えないのね」


「だから言ったであろう。貴公らとは敵となるとな」


「……そう。そうなのね」


 ひしひしと伝わる思想の違い。

 人間皆同じ考え方ではない。

 だから起こるのだろうか。

 競争は戦争は。


「なら……私も……」


 志穂は目の色を変え決心する。



「戦うわ」








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