継承システムの取引①
アイラ・ミカラギ・スタインバーグは軍人である。
そして軍隊に所属してある。
軍隊、つまり組織だ。
アイラもまた組織に所属してる人間だ。
「組織って奴は戦う相手がいないと仲間割れを起こすものだ」
アイラの言う通り、どんな組織も仮想敵を持って活動をする。
これが経済活動の企業ならライバル企業が仮想敵だ。
ライバル企業を研究しより良いものを作る。そうやって世界は競争していく。
この競争が経済的ならこんなものだろう。しかし軍事的ならどうだろうか。
他国より強い武力を持つ。
侵略者から自国を守る武力を持つ。
経済活動とは違うこれもまた人間のドロドロとしたところがあるのだ。
「…………競争に負ける者は消える」
たとえ人間の世界だろうが動物の世界だろうが弱肉強食の法則は変わらない。
アイラのような軍人はそう感じるのだ。
「ネズミには絶対に渡してはいけない」
MADボムは弱者でも強者にその座を揺るがす程の威力を持つ。
仮に自由自在にマキャファートがMADボムを扱えるなら、好きなときに好きなだけ爆発できるなら、それはもう軍事パワーバランスの崩壊である。
第二次欲求の安全安定の欲求を大変揺るがす事態である。
「すみれ殿のMADボムは双方にとっても重要な案件か……」
アイラもまたここスーパーマーケットですみれのMADボムをなんとかしようと考えてた。
「あった」
志穂は継承システムを見つけた。しかし、
「上級銅貨と下級銀貨が必要まではいい。問題はそのあと、必要枚数のカウントアップは何?」
現在志穂の持っている超越通貨は
■スーパー円
下級金貨 2枚
上級銀貨 2000枚
上級銅貨 1000枚
鉄貨 1000枚
である。
そして継承システムの購入の金額は、
【下級銀貨16枚】【上級銅貨30枚】となっていた。
日本円に直すと1603万円となっていた。
これが今日の継承システムを購入する際の最低の金額、必要枚数だ。
志穂の言ってた必要枚数のカウントアップは前日比のことである。
例えば前日500円→当日505円ならば5円高と言う。逆なら5円安と言い、まったく変わらないなら変わらずと言う。
志穂は前日の継承システムの値段と今日の継承システムの値段が上がったことを言っておるのだ。
「昨日は下級銀貨15枚、上級銅貨280枚だったのに」
【下級銀貨15枚】【上級銅貨280枚】が昨日の継承システムの値段。
日本円に直すと1528万円だ。
上級銅貨は昨日と比べ250枚減ったが、逆に下級銀貨は1枚増えた。
「何を基準に上がっているのかしら」
その基準は志穂にはわからない。
株で言えば、人気があると株価は上がる。
株は基本安く買い高く売ることだ。
買い手が多いと株価は上がる。
逆に人気がなくなると株価は下がる。
売り手が多くなって株価は下がる。
だから人気がすごく低迷で底辺の時に株を買い人気が絶頂の時に株を売れば大変大儲けできる。
逆に今人気があると流行に流されるように株を買い、不祥事で人気が一気に下がり周りが売ってるから自分も売るとなると大変大損をする。
つまり株価の理由でいくと継承システムは今何故だか人気になっている?のである。
「とりあえず、上級銀貨を下級銀貨に替えるわよ。莉音」
「うん、わかった」
莉音と志穂は近くの聯盟が正式に認定した両替商で上級銀貨5枚を下級銀貨5000枚に替えてもらった。
現在志穂の持っている超越通貨は
■スーパー円
下級金貨 2枚
上級銀貨 1995枚
下級銀貨 5000枚
上級銅貨 1000枚
鉄貨 1000枚
となった。
これで志穂は継承システムを買えると思い、近くのスーパーマーケットの店員に電工掲示板のように表示されていた継承システムを指差し購入を願うた。
しかし店員は首を横に振り継承システムは購入できなかった。
「なんで!ダメなの!?」
そう志穂は言うが店員はすぐに買えるものではなく取引終了後に買えるのだと言う。
つまり価格の前日比があったのは終日モノの人気の動向見ていたからだ。
売れれば明日は高く価格を設定するそれでも人は買うということだろう。
もちろん売れなければ価格を大幅に下げて叩き売るのだろう。
「しかたないわね」
志穂は店員に言われるがまま継承システムの取引の書類にサインをした。
取引の書類には自分の現在の住所など個人情報などを書かなればならなかった。
そこには資金を志穂の名義で、ライセンスは莉音の名義で二人はサインをした。
「ねぇ、志穂ちゃん。これ金額の欄があるんだけど…………」
「あっ本当ね」
志穂は莉音に言われ気づいた。金額の欄。つまり価格は自分で決められる?
いや、最低の金額は1603万円だ。ということはそれ以上の金額を示さなければならない。
「ねえ、これはどういうこと?」
志穂が店員に訊くと店員は指定した超越通貨の枚数が多い順にモノを渡すという仕組みになっていると言った。
つまりモノはある程度限られていてそれを買おうとしているヒトはあまりにも多くてどんどんと価格が上昇していくのであった。
「ということはヒトがキャリーオーバーしてるわけってことね」
志穂の言う通り昨日買うことに失敗した者たちは今日買おうと頑張って金額を吊り上げる。
ベビーブームの人達が受験戦争の頃に言われた、現役は奇跡、一浪は普通、と言うの同じである。
「必ずしも今日購入できるわけじゃないか」
「志穂ちゃん、どうする?何度でも来るの?」
志穂はあまり長くはかかりたくはないできれば一発でやりたかったが。
「ねぇ、今一番の高値はいくらなの?」
志穂は店員に訊くが店員は答えなかった。オークションのように公開はされない。
言うなれば野球のポスティングシステムのように相手球団には秘密裏に金を用意し落札するというところか。
しかし野球のポスティングシステムと同じように情報戦がかなり重要だ。
相手がどのくらいの金額で来ようか知らなければ金額を上回れない。
「ねぇ、継承システムは今日どのくらい用意してるの?」
志穂はまたしても店員に訊くがまたしても店員は答えなかった。
それも答えられないのだった。
たしかに用意してる個数を知れば別にセカンドプライスでも購入できるのだから。
「取引終了が午後五時か…………」
志穂は継承システムの横に表示されている時計を見た。時計は取引終了までの時間を表していた。
本日午後五時で取引終了になる。つまりその時までに金を積み上げればいいというわけだ。
「なんていうか、これって…………」
「競争だな」
「っ!?」
志穂はその声の主に方に振り返る。
その主はアイラだった。
「まさか…………」
志穂は直感で現在の入札の相手はアイラだと感じた。
「この継承システムとやら、三日間だけ発売されるらしい」
「なるほど、その間はあなたが買い占めるってわけね」
「ネズミに渡ってはならぬからな」
志穂はマキャファートに頼まれて継承システムを買いに来たわけではない。志穂個人が選んだことだ。
「別にマキャファートは関係ないけれど、望むところよ!」
「ふっそうか」
アイラは志穂が戦う姿勢を見て名乗った。
「私はアイラ・ミカラギ・スタインバーグ
真に国家を愛する者だ」




