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レベル255の魔法少女  作者: パラドックス
第一章 魔法少女たちのロール
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アイドル魔法少女

 スタダで美味しくソフトドリンクを飲んだ翌日の放課後、莉音と志穂はにらめっこをしていた。スマホと。

 二人は下校途中、昨日の話をした。

 魔法少女のこと国のこといろんなことを話したが、二人は事の大きさや難しさについて理解が追い付いてなかった。

 唯一理解が出来そうなのがこのスマホだったが。やっぱり難しい。

「やっぱり、マキャファートに聞かないとわかんないんじゃないかな?」

「そうよね」

 志穂が難しそうな顔をしながら答えたその刹那!

「呼んだ?」

「「わっ!?」」

 マキャファートは何処からともなく現れた。

「あ、あんた、居たの!?」

「僕は、何処にでもいるよ」

 ………まるで、ゴキブリである。

「あっ、ねぇねぇ、このスマホどう使うの?」

「アプリをいろいろ押したら使えるよ」

「「???」」

 二人は頭に?が出ている。

「まぁ、アプリケーションという魔法が使えると思っていたらいいんじゃないかな」

「えっ、ア、アプリ?」

 志穂は初めて聞く単語に対して頭が追い付いてなかった。

「えーと、詳しく言うと。

 まず、電話の受話器のマークがあるよね。それは通話アプリ。無料ね。

 んで、その通話アプリを押せば電話がかかる。

 しかし、スマホ同士じゃなきゃダメだけどね」

「つまり、私のスマホから通話アプリを押せば、志穂ちゃんのスマホに電話がかかるの?」

「そういうこと。

 『何時でも何処でも』ね」

「それって、スゴーい。ねぇ志穂ちゃん」

「そうね、まるで車載電話やポケットベルみたいね」

「えっ?車載電話?ポケベルw」

「あのね、志穂ちゃんの家はねお金持ちなの。

学校はダイヤル式だけど志穂ちゃん家はプッシュホンなの」

「そう、それも最新式のファクシミリ付きよ」

「あ、あぁ。そうなの」

 マキャファートの国は二人の国より30年は科学技術が進んでるといわれている。

「あと、封をしている手紙のマークを押すとメール。つまり文字を送れて……」

「えースゴーい」

「この、カメラのマークを押すと写真が撮れて……」

「えースゴーい」

「この、音符のマークを押すと音楽が聴けて……」

「えースゴーい」

「この、テレビのマークを押すとテレビが視聴できて……」

「えースゴーい」

「莉音、あんたスゴーいしか言えないの?」

「えっ、だってスゴいんだよ」

「いや、そうだけど」

 一呼吸置いて、マキャファートは見計らって言う。

「それと、大事なことだけど魔法少女アプリ。

変身したりするアプリとかは絶対に削除しないでね」

「えっ、削除ってどうやってできるの?」

「フリックしたりとか」

「フリック何?」

「指で払うこと。こう、サッとね。

 あっあとピンチっていうのがあるけど、これは指二本を磁石みたいに近づいたり離したりすること。

 そうすると、サイズが大きくなったり小さくなったりする……」

「えースゴーい」

「莉音、またそれ」

「えへへ」

 マキャファートはとりあえず一通りの説明をしたあと質問はないか尋ねた。

 すると、志穂が訊いてきた。

「フリックとか言ってたけど、これ感圧式のタッチパネルなの?」

「いや、静電式のタッチパネルだよ。

つまり素手とかじゃないと反応しない。手袋とかは無理だよ」

「志穂ちゃん、言ってることわかるの?」

「国鉄の券売機とかタッチパネルは感圧式って聞いたことがあるからね。おそらく、似たようなものか。フム」

「へー、志穂ちゃん国鉄とか乗るんだ」

「……当たり前よ。別に車で行き来してないわよ」

「私、国鉄はストライキの時に乗ったことあるなー。タダで乗れてたから」

 昭和の頃の電車はストライキがあって、電車が止まることがあった。

 左色の労働組合によって、春闘前にストをするかどうか投票で決めることになっている。

 若者が反対票を入れようなものなら、翌朝まで居酒屋で上司から説教されたりする。

 おかげで、ストが賛成になりやすくストライキが起こっていた。

 ちなみに国鉄は公共企業体なので、ストは違法である。

 ストの種類はいろいろあるが、電車はそのまま運行して切符を切らない、つまりタダ乗りができるストがあった。それで小旅行に出掛ける大学生とかいた。あの時代はよかったね。

「でも、まぁなんとなくわかったわ」

「そう。じゃまた何かあったらよんで。

あと、スマホは絶対になくさないでね」

「「はーい」」

 二人が答えたあとマキャファートは何処かへと跳んで消えていった。

「しかし、これ一つで郵便もテレビもカメラもカセットテープもいけるのね」

「ね、スゴーいよね」

「何時でも何処でもテレビが見れるのはいいね」

「あっ、志穂ちゃんこれテレビ番組が録画出来るって」

「何っ!?じゃあビデオテープ付き!?いやビデオデッキ付き!?」

「あっ、志穂ちゃんカメラに動画機能があるって」

「ということは、ビデオカメラ付き!?もう一人でテレビ番組とか出来るんじゃない。

こう一人で撮って。」

 志穂は自撮りの格好をした。20年位、先取ってる。

 20数年もすれば一人で撮った動画を不特定多数の人に見れることが出来る。まるで、テレビみたいに。

 二人はそのまま放課後をスマホいじりで費やした。

 80年代女子中学生らしくない姿だ。




 少女は忙しなく動いていた。

 時間が切迫している。

 しかし、衣装に着替えなければない。

 もうすぐ生放送だ。

 素早く着てた服を脱ぎ、直ぐ様用意された衣装に着替える。

「美春ー。まだか」

「はいー。もうすぐです」

 マネージャーから催促される。

 美春は中学生だ。学校から帰ってすぐマネージャーが運転する事務所の車に乗ってテレビ局に向かった。

 最悪なことに渋滞に引っ掛かってしまった。

 午後4時位ならまだ空いてると思ったか、大通りの道路を走ってしまった。

 しかし、スクールバス、市営バスなど決まったダイヤを運行して車に加え、高齢者の乗るタクシー、その他のマイカーによって混雑していた。

 みるみる時間が過ぎ花金の午後5時と最悪の混雑時間となってしまった。

 なかなか車線変更も出来ぬまま裏道などの小道に入れなかったのだ。

 マネージャーの判断ミスだが、美春は嫌な顔一つも見せず急いだ。

 リハーサルも出来ぬまますぐ、本番となった。

 しかし、美春にとっては何のそのだ。こんな修羅場はいくらでも潜り抜けた。

 そんな、ギリギリでもやってのける。 だからこそ芸能界を生き抜けてきたのだ。

「はいっ。完了しました」

 美春は衣装に着替えると楽屋を出てマネージャーに伝えた。

 午後7時から生放送の歌番組が始まる。

 番組名は『頂10』

 大喜利をするわけではない。司会の玉ねぎ頭の人にトークなどをして歌を歌う。この番組は十人全員歌う。

 今週のランキングによって、歌手は変わる。

 10位から発表され、1位までやる予定だ。

 しかし、たまに下位の人がトークとかに時間を取りすぎて1位の人が歌えない事がある。

 下位の人はあまり時間を取るなよと、プレッシャーが与えられる。遅刻するなよとも。

 美春はアイドルだ。中学生アイドル。

 今週のランキングは、10位。

 もう、急いだ。すっごく急いだ。

 芸能界は年功序列でもある。まだ、中学生の美春が偉いわけない。ドロドロとした、人間関係によって潰れかねない。怖いところだ。

「みはるん、入りまーす!」

 美春はファンやスタッフからは『みはるん』という愛称で呼ばれている。

「はいっ、本番三分前ー」

 ギリギリ間に合った。美春は舞台袖に入り自分の名前を呼ばれるまで待った。

「はいっ、10秒前、9、8、7、6、5、4、3」

 スタッフは無言になり、指で2、1、と合図した。

「はいっ、今週も始まりました。ベスト…じゃなかった、ははは。

 頂10!!」

 玉ねぎ頭の人がボケた?のか、タイトルコールによって頂10が始まった。

 番組は、アイドリングトークをしたあとランキング発表をした。

「では今週の第10位は」

 ランキング板は空港にある反転フラップ式案内表示機のようなパタパタと音を鳴らした。

 ジャンッ

「美春さんの『ビリラブ』です!」

 ちゃーんちゃーんと音楽が流れながら、鏡張りの回転ドアから美春が出てきた。

「おめでとうございます。今週の10位です」

「はいっ。ありがとうございます!」

 司会の人に礼を伝え、美春はトークを始めた。


 午後7時になっても、莉音はまだスマホをいじってた。

 使ってたアプリはテレビの視聴と録画である。

 いつも見ている歌番組がある。頂10だ。

 ブラウン管で見る頂10とは違って高画質だ。

「あっ、みはるんだ。かわいい(*≧∀≦*)」

 莉音は、みはるんのファンである。カセットまで買ったことはないけど、テレビで見ていてかわいいと思って好きになった。

「あっ、みはるんの歌がダウンロード?出来る」

 莉音は早速、美春のビリラブをダウンロードした。テレビとダウンロードの分割二画面を使って。というより、使いこなしてた。


「……はい、それでは歌って貰いましょう。美春さんで、『ビリラブ』です」

 司会の人が歌を紹介し、美春の歌が始まった。

 美春の歌声は綺麗だ。

 歌唱力がある。それこそアイドル!

 会いに行けるからアイドルなのではない。

 本当に美春の歌声は人を魅了する。




 水中では空気中より約4倍の速さで伝わる。テレビの音声だか、ここ水中でも美春の歌声が伝わっていた。

「この、少女素質がある」

 言葉を発したのは、イルヴァ。アイラの部下である。

 アイラの命令によりこれ以上魔法少女を生産させるな、と命じられている。

 魔法少女生産の水際対策としての方法、それは魔法少女の素質がある者をネズミに近づかさせない。そして魔法少女の阻止。

 ネズミの毒牙によって魔法少女となってしまっては鼠算式に増えていく。

 ネズミは一匹だが魔法少女は何人でも生産する。

 イルヴァは、考えた。

「こいつは、何とかしないと」

 その方法はイルヴァにしか知らない。

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