猛暑日
酷暑が続く毎日、あまりにも暑くて外へ一歩も出たくない気分だ。
先月の下旬に梅雨明けが発表され、八月となった今の気温は35度を超えていた。
「真夏日を5度も超えるなんてこりゃあ、猛暑日だねー。なんて」
「たしかに莉音さんのなかなかいい得てます」
「でしょー。みはるん」
「じゃあ大喜利でもやろうかしら。気温35度の命名」
志穂がお題を出すと次々と皆が答えた。
「猛暑日」莉音
「酷暑日」志穂
「ヒートン」美春
「オーチニジャールガディン」すみれ
ちなみに猛暑日と制定されたのは2007年で、それまでは非公式ながら酷暑日と呼ばれていた。
「うーん、この中だと私と莉音がまともそうね。てか、すみれのそれは何?」
「ソビエト語で……」
「あぁ、いやもうわかった」
そんなこんなでたわいもない会話が繰り広げられると、千代子が料理を運んできた。
「はい、トロピカルジュース」
「わーー。ありがとう。ちよちよ」
「はい、タコス」
「す、すごいわね。本当に作れるんだ(あの時冗談で言ったんだけど……)」
「はい、ボルシチ」
「うおお。ソ連のように赤い」
ボルシチはトマトピューレを使っており、スープが赤い。
ちなみにボルシチはウクライナの伝統的な料理だ。
まだこの頃ソ連は崩壊しておらず、ウクライナはソ連の一部だった。
ボルシチはロシア料理と思う人がいるのはソ連時代を知っている人だからだろう。
「はい、鍋焼きラーメンライス大」
「やったー。いつものいつもの」
「ってか、なんでみんなぁはあたしの店に来るがが」
「だってー、外が暑くて。えへへ( ̄∇ ̄*)ゞ」
「まぁ確かに日射病になるといかんきねゃ」
ズズズとトロピカルジュースを飲んでる美春に志穂は思い出したように言った。
「あそうそう、美春。美春の新曲の『電撃夜』のカセットテープ買ったわよ。素敵な曲ね」
「本当ですか!!ありがとうございます!!」
美春は志穂の手をがっしりと掴んでぶんぶんと強く握手をした。
それを見た莉音がここぞとばかりに自分もアピールをした。
「みはるん、私も電撃夜聴いたよ。スマホのアプリで落とて聴いたんだ。サビがいいね。」
「えっ……あぁそうなんですか。ありがとうございます」
美春は莉音には握手をしなかった。
おそらくだけどと、芸能界や音楽界などビジネス的なことを知ってる志穂は莉音に苦言をさした。
「莉音、カセットテープで聴きなさい」
「えっ何で?スマホのアプリの方が嵩張らなくて便利だよ」
「便利なのは消費者の方よ。
音楽業界や事務所には一銭も入らないわよ。
利権ってものがあるのよ。
それにあなたのやってることは違法に聴いてるものよ」
「そうなの!?」
「スマホはマキャファートが持ってきた、未来的な機械よ。こんなの市場に売られてない」
「あわわ、ごめん。みはるん」
莉音はすぐさま土下座をした。レストランの床はしょっちゅう掃除をしてないなら食べ物とかでギトギトとしてて汚い。
「いえ、いいんですよ。莉音さん。確かにマネージャーさんが聞いたら怒りそうなことですけど、でも多くの人に私の曲が聴かれて、私は嬉しいです」
美春は天使の笑顔で言った。
「みはるんっ!」
莉音が美春に抱き付こうとしたところそれを志穂が止めた。
「そんな汚い身体で美春に抱きつかないの」
「はっ!本当だ。ありがとう志穂ちゃん」
あはは、と笑いが起こった。
そこには、莉音、志穂、美春、千代子、すみれの五人の笑顔があった。
マキャファートはとある場所にいた。
誰にもわからない場所だ。
「さてと、超越通貨は無理だったか。
まぁ、敵国から手に入れようなんて簡単なことじゃないからな」
マキャファートは次々と思案してた。
「やはり金か。資金が必要だ。
できれば傀儡となってくれる金持ちがいいんだが」
超越通貨でないとスーパーマーケットで買えない。
国際通貨を超越通貨に両替してもらうにはいろいろと厄介だ。
「中核にするべきか……魔法少女たちを」
ジジジと蝉の鳴き声がうるさい。
それに暑い。
「酷く暑いな、今日は」
酷暑日のなかマキャファートは一つ案を思い付いた。
「金、核のほかに欲しいものは、情報か」




