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レベル255の魔法少女  作者: パラドックス
第二章 第一版世界
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ラピュータ会談⑧

「私はアイラ・ミカラギ・スタインバーグ

 真に国家を愛する者だ」



「それと四人の魔法少女たちよ」



 志穂とアイラが部屋に入ってきた。

「スミー……はっ」

 続いて美春が入ってきたが、美春は壁一面とドアマンと化していた眼鏡の黒服たちに恐れおののいた。

「美春、あたしの後におれ」

 美春が恐怖で固まっているところを千代子が美春を背にし割って入った。

 ギロッと千代子は眼鏡の黒服にガンを飛ばす。

 しかし眼鏡の黒服は堅気の人間のガン飛ばしに相手はしない。

「……ちょっと出てくれ」

 アイラが黒服全員に向かって言う。

「しかし、」

「進行は私がやる」

「……わかりました」

 髭の黒服が了承し、次々と黒服たちが部屋を出ていく。

「わっ!わっ!わっ」

 莉音がゾロゾロと出てくる黒服たちに吃驚して声を上げた。

 黒服たちが出たあとの部屋は静寂に包まれた。


「……続きを始めましょう」

 アイラが無理やりにも会談を進める。

 莉音、志穂、美春、千代子、アイラはヴィル側の方へ座った。

 マキャファートと対峙する姿勢をとったのだ。

「ヴィル、話の途中で悪いけど内容は?」

「…………はい、それが」

「そちらの持つ超越通貨と僕の持つ日本円と替えて欲しい」

「っ!?」

 残念なことにアイラの予想が当たってしまった。

「ネズミ、それは何故だ?」

「僕も超越通貨が欲しいんだよ」

「超越通貨を持つだけとは限らんだろ」

「仮に使うとしたら、どうやって使うんだい?」

「知ってるくせに」

「…………」

「…………」

 二人が沈黙し合う。


 マキャファートのあからさまな態度にアイラは嫌気が差した。

 スーパーマーケットで超越通貨を使って何かを買おうとしているのは見え見えだ。

 スーパーマーケットでは大局を大きく揺るがす魔法が売ってある。しかしそれはテロリストなどには絶対に売られはしない。とても厳しい審査がありそれに合格しなければ絶対に売られることはない。

 しかしだ、小さな紛争レベルに活躍できる魔法も売られている。それも先程の魔法と違って安いし審査も甘いというかほぼない。それならテロリストにだっててに入れれる。

 おそらくそのレベルに継承システムはきっと入るのだろう。

 すみれの魔法ははっきり言えば、大局を大きく揺るがすレベルの魔法だ。

 もしそれがテロリストでも買えるほどの値段で実質的に売られているのなら、それはなんとしてでも阻止しなければならない。


「マキャファート正直に言って。何をするつもりなの?」

「…………」

 志穂が問うもののマキャファートは答えなかった。

「なら私が言うわ。スーパーマーケットで継承システムを買うつもりなのでしょ」

「っ…………」

 マキャファートは少しはっとしたような表情を志穂に見せた。が、また無表情に戻った。


「志穂ちゃん、話の腰を折るようだけど継承システムって何?」

「莉音、後で話すわ。今は邪魔しないで」

「あっ……ごめん」

 莉音は志穂に怒られ、以後一切口を挟まなかった。


「ねぇ、どうなの?マキャファート」

「…………入れ知恵か」

 マキャファートはぼそっと言った。

 アイラが志穂に継承システムのことを伝えたことを把握した。


 そしてマキャファートは、

「君がわからないならどうでもないよ」

「はぁ!?」

「…………」

 マキャファートはまたしても閉口した。

「ちょっと、マキャファート!」

「…………」


 マキャファートは貝のように口を閉じた。

 見た目は悪いが、黙りは悪くない手だ。

 何かを言えば新たな論争、論点が産み出される。それはきっと嘘を嘘で塗り固め続けることになってかえって不利になるから。

 しかし何も言わないということは断言しないということであらゆる可能性を持ってるということだ。

 つまり面白おかしく突飛な内容にされプロパガンダをされるかもしれない。

 肯定も否定もしないということはありえない内容を言われ続けサンドバックにされ世間の人々にありえない内容のレッテルを貼られる。

 たとえそれでもマキャファートは黙りを続けた。


「取り敢えず、今までの内容を整理しましょ」

 アイラが一旦、言及をするのは止めようということで割って入った。

 ヴィルが会談の初めからさっきまでのことをアイラたちに話した。

 要約すると、ヴィルがMADボムの破棄を命ずるがこれをマキャファートが拒否、ならば第二の提案でMADボムを信用のある第三者に譲渡、継承させるという案を出すがまたしてもマキャファートが固持して一向に首を縦に振らない。

 すると今度はマキャファートの意見を出した。ヴィルたちが持つ超越通貨をマキャファートの持つ日本円と替えるということだ。もちろんヴィルはこれを固く拒否、交渉は平行線をたどり今に至る。


「お互い拒否ばかりでは話は進まない。では条件をつけて譲歩してみてはどうだろうか」


「その提案も拒否するよ」


 アイラが出した案を即座にマキャファートは拒否をした。

 条件付きというのは厄介で、その名がつくといろんな事象を曲げてしまう魔力がある。

 条件付きではぐらかされているが譲歩という結果にねじ曲げられたのをお気づきであろうか。

 譲歩というのは自分の主張を引っ込め相手の主張を受け入れることである。

 つまり主張という絶対に変えてはいけない結果を無理やり変えてしまうのが譲歩である。

 歩み合いは譲歩ではない。

 もし勘違いをして先程言ったこと受け入れればそれは言質をとられることになる。

 超越通貨を日本円替えて欲しいという第一にして絶対に変えてはいけない結果を諦めて、第二の結果を考えなければいけない。もう戻れないのだ。

 相手のペースに巻き込まれてはいけない、それは自分の主張が通らなくなってしまうから。不平等条約をつけられるから。言いくるめられるから。携帯ショップのお姉さんみたいな勧誘に負けるから。


「お互い拒否しあっては話はまとまらない。だから条件を出し合うんだ。これなら許してもかまわないと」

「だから拒否するよ」

「…………」

「…………」


 許しを見せることは弱味を見せることだ。

 これが許してもらえるのならこの条件でいろいろとこちらの主張を盛り込んでみようとつけあがる。


「もう一度言う。僕の主張は僕の持つ日本円をそちらの持つ超越通貨と替えて欲しい。僕の言い値で」

 絶対に変えないことを宣言する。変えてはいけないこと明確に相手に伝える。でなければどんどんと相手のペースに巻き込まれてはゆくゆくは翼をもぎ取られる。

 これで絶対に変えてはいけない結果を守りつつなおかつ相手の言う条件を受け入れ二律背反のないような宣言を造る。

 それが歩み寄りで妥協点で交渉妥結だ。


 次の会談までに二律背反のない条件を考えるのも仕事だ。

 しかしそれはヴィルたちになるだろう。

 マキャファートにはMADボムというカードを持っている。

 だからこそ強く出れる。



「聞こえないようなら聞こえるまで言うよ」



 マキャファートはそう強く念を押した。







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