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レベル255の魔法少女  作者: パラドックス
第二章 第一版世界
36/93

超越通貨の利権


「予約した、アイラ・ミカラギ・スタインバーグ

 真に国家を愛する者だ」


「お持ちしておりました」

 グレーの背広を着た初老の男性がそう言うと運転手付きの黒いロールスロイスファントムを二台のドアを開けた。

 前の一台には莉音、美春、千代子が乗る。

「じゃあ、私の隣は……」

「ちよちよ。一緒に隣、乗りましょう」

「お、おう」

 バタン、と千代子と美春が後部座席に乗りドアが閉められた。

「……私は前か……」

 莉音が落胆し助手席に乗り弱々しくドアを閉めた。

「私たちは後ろのファントムに乗るのね」

「そうだ」

 後ろのファントムの後部座席に志穂とアイラが座りドアが閉められた。

 ブロロと車は走りだしラピュータの城へと向かう。






「……貴公は、超越通貨を知っておるか?」

 二人っきりとなった後部座席でアイラは志穂に問いかける。

「……何それ?」

「そうか、知らぬか」

「ちょっと、教えなさいよ」

「仮想通貨、地域通貨というところか」

「……?どういうこと?」

「国際通貨は知っておるだろ」

「それは、もちろんよ。アメリカの米ドル、西ドイツのマルク、日本の日本円、イギリスの英ポンド、フランスのフランとかでしょ」

 80年代まだドイツは東西に分断されていた。ベルリンの壁崩壊は89年の11月9日である。 再統一は翌年の10月3日。

 欧州諸共同体ECであったため、まだ欧州連合EUではない。統一通貨ユーロは99年の1月1日からである。

 ちなみにロックフェラーはアメリカの財閥で米ドルを主に使い、ロスチャイルドはイギリスに拠点を置くヨーロッパの財閥で米ドルと英ポンドを主に使うのであまりユーロやスーパーユーロを扱う描写がない。おそらく、これからも。


「何?それらを超える通貨なの?」

「まぁ、その表現は似たようなところだ」

「?」

「スーパードル、スーパー円、スーパーポンドなど四つの種類があってだな……」

「三つしか言ってないじゃない」

「マルクや、フランじゃユーロには替えられないから……」

「?はぁ、んで?話進めて」

「スーパードルは米ドルとスーパー円は日本円とスーパーポンドは英ポンドと替えれて……」

「うん、それで」

「超越通貨にはレベルがあって、0Vは鉄貨、1Vは下級銅貨、2Vは上級銅貨、3Vは下級銀貨、4Vは上級銀貨、5Vは下級金貨、6Vは上級金貨と言って、それぞれ上級と下級で替えられて、ああといっても下級何枚で上級に替えられるということだ。上級下級とはいっても同一金属のでなければならない。

 かくかくしかじか」

 アイラの説明はちと長いので割愛させてもらった。前回の話と大体一緒である。

「超越通貨を使ってスーパーマーケットで魔法が買える!?」

「そうだ」

「マキャファートはそれを狙ってるの?」

「いや、わからん。会談の内容にそんな話がくるかどうか、行ってみないと。

 しかし私はそう踏んでおる」

「スーパーマーケットで継承システムも買えるのよね」

「そうだな」

「継承システムでノーマルから魔法使いに変われるということよね」

「正確に言うと、魔法使い、魔法少女から魔法を搾取、強奪するようなものだな」

「すみれの魔法を奪うつもりなの」

「そこが問題なのだ」

「?」

「果たしてすみれ殿に継承システムがあるのかないのか」

「すみれに買ってきた継承システムを付加することは出来ないの?」

「それは出来ん。あくまでもノーマルのみに継承システムを付けることが出来る。

 魔法少女であるすみれ殿に継承システムが最初から備えれてるのならば、ノーマルだって継承システムを付ければ誰だって魔法使いになれる」

「仮にもすみれに継承システムがなかったら、マキャファートはいくら継承システムを買って、付けても意味ないってことね」

「しかしネズミは最初から継承システムを備え付けられてないことに知っておれば、こんな行動はとらんと私は考える」

「交渉をってことね」

「ああ、我が国の持っている超越通貨を奪いにくるか、ガキの使いとして継承システムを買わせるか、そんなところだろう」

「マキャファートがすみれを使ってあなたの部下を……殲滅させようとは?」

「……無いとは限らんが、8回しかないのだろすみれ殿の魔法は、だったらこんな部隊に使わずもっと軍事施設とかに使うだろう」

「戦略爆撃ね」

「ああ、そうだ。ともかく直ぐ様、強攻策はとらないと思う。あのネズミもバカじゃない」

「でも、砲艦外交はするのよね」

「ああ、……不平等なものを押し付けられてなければいいのだが」

「…………」

 車内で沈黙が起きる。志穂もアイラもその可能性は十分にあるというか高いと言える。



「ねぇ」

「なんだ?」

「その超越通貨の金貨、銀貨っていうなれば国際通貨と替えることが出来るのよね」

「日本円で替えること出来るのはスーパー円のみだ。米ドルならスーパードルのみ。

 それと下級銀貨を何枚か積み上げれば上級銀貨に替えることは可能だが、上級銀貨を何枚も積み上げても下級金貨に替えることは出来ん。

 一旦、国際通貨に替えてから超越通貨に替えるんだな」

「でもそれって実質的に上級銀貨を積み上げれば下級金貨に替えれるって言ってるようなものじゃない。国際通貨を挟まなければならいけど。

 国際通貨は鉄貨も下級銅貨も上級銅貨も下級銀貨も上級銀貨も下級金貨も上級金貨も全てに替えられるんだから」

「金融にはわらしべマジックは付き物さ」

「何よそれ」

「しかしレートは日々変わる。それに超越通貨を持つにはスーパーカレンシーライセンスが必要だ。

 何より金貨、特に上級金貨を一枚手に入れるのに莫大な金が必要だ。

 そこまでの格に見合う生産力や経済力がないと」

「そういった途方もないお金持ちってこの地球上にいるのよね。時代が変わろうとも、選ばれし者以外人類が滅びようとも行き続けることが出来る千人。人類の上位0.000001%の人間」

「……貴公、まさか」

「その頂点に百年以上にわたって君臨している世界二強、ロック家とロス家が」

「……私の思い過ごしかもしれんが、世界財閥を頼るのか」

「継承システムって安く買える代物なの?」

「……継承システムは少数しかないわけじゃない、買い占めなど出来はしない。

 それに両家にスーパーカレンシーライセンスは持っていないだろう」

「あなたは持ってるの?あなたの国は持ってるのよね」

「……私は、軍人だ。文民ではない。スーパーカレンシーライセンスを持っていたとしてもそれは国家が持っていることと同義、私に買わそうとは思うなよ」

「でも、継承システムをマキャファートが手に入れる前にこちらが手に入れ、すみれの魔法を別の信用のある人間に移し変えればどうかしら」

「…………」

「良い案だと思うけど」

「……利権がややこしくなる。

 金を出す者と商品を買う者と実際に使用する者と、最低でも三人の人間がいる。

 製作と中間管理と制作がいることになるんだぞ」

「まるで、アニメみたいね」

「アニメじゃない現実の話をしている」

「……あなたも既得権益にこだわる人なのね」

「こっちは政治と軍事が関わってる。

 他国に頼りっきりでは駄目だ。

 要らぬ借金をすれば骨までしゃぶりつくされる」

「あなた、すごい言いようね」

「当たり前だ、その両家は特に世界を牛耳ってる。

 しかもドルを産み出す立場にいる。基軸通貨は全てのマネーの頂点にある。

 全地球規模におよぶ、巨大な利権が絡んでいるのだぞ。これ以上やってはいけない」

「……なかなか、愛国心があるのね」

「言っただろ、私は軍人だ」

「…………」

「…………」

「でも、一応考えて」

「保守系の政治家は反対する」

「政治家ではなくあなたに言ってるの」

「最悪、軍部の暴走となるぞ。空中分裂もあり得る」

「…………」

「…………」

「では、こうしましょ。私がいや、私たちがスーパーカレンシーライセンスを手に入れるわ」

「……不可能だ。スーパーマーケットは魔法の市場でもある。

 何も知らない石油や軍産複合体で成り立ってるような金持ちに審査は通らない」

「別にそれだけじゃないのだけどね、航空機会社とかメディアとか……」

「そのなかに魔法企業がマジカルカンパニーがあるのか?」

「いやそんなのないけど」

「ならば、無理だ。魔法はトップシークレットだ。民間に知られてはならない」

「じゃあ、魔法少女の私たちで……」

「それも無理だ。個人がどうこう出来る話じゃない。それに貴公は資本家であるが、所詮ロス家とロック家のいる雲の上の世界ではまだまだ末席だ」

「…………まぁ、アジアはやっぱり亜流てことよね。第二次世界大戦で敗けたこともあるかしら」

「いいか、貴公の先ほど考えたことは忘れろ。私達はこれから城の中へ行き、会談に途中参加することだ。いいか、忘れるな」

「忘れろ、忘れるなってどっちよ」

「……会談でネズミの暴走をとめろ!」

 アイラが語気を強めて言ったところで会話は終了した。

 あとはそのまま無言だった。

 そして、無言のままラピュータの城に着いた。

 五人は漆黒のロールスロイスファントムから降りバタンとドアを閉めた。

 そして魔法少女たちが城を見上げたところで、アイラは宣言した。



「これから、あのネズミをとめる。行くぞ」







 

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