ラピュータ会談⑤
「…………もともと、交渉を仕掛けたのはそちら側ですので、意を述べさせる時間を」
ヴィルはこの会談は元々、マキャファートが交渉を仕掛けに来たのをこちら側で調整をしたということになっている。
そう、本来ならマキャファートが選んだ日時場所で会談が進められるはずだったしかし、ヴィル側がこれを拒否、一時は破談ということになったのだ。
だがご今度はヴィル側が交渉を仕掛けに来た。
それはマキャファートのペースに乗せられないためである。
基本的には会談場所は双方とは関係ない場所、または双方の力が及ばない第三者の場所が望ましい。
マキャファートが選んだ場所は必ずしも第三者の場所とは限らない。
そしてまたマキャファートもヴィル側が選んだ場所が第三者の場所とは限らないと思うはずだ。
はずだったが、思いのほかマキャファートはすんなり受けた。
向こうが破談にしたくせにこちらは実力行使をもとれるのに。
マキャファートも交渉は望んでいることということだ。
だからマキャファートも本当は言いたいことがある。
「レートだよ」
「…………?」
「為替レート」
「…………!?」
「IMFやBISが力が及ばない通貨、『超越通貨』だ」
超越通貨は仮想通貨みたいなものだ。
仮想通貨の概念が言及し始めたのは95年のアメリカ上院のことである。
仮想通貨は利用者による仮想通貨自身への信用によってのみ価値が保証され、価値の変動を主導するのは利用者だ。
仮想通貨で有名な二つは、ゴールドとギルだ。
堀井氏によると1ゴールドは100円だそうだ。
日本で売られてるポーションは200円が相場だ、シリーズごとの金額を平均すると約40ギル、つまり1ギル5円となる。
ゴールド、ギル、円の三角関係をもとに計算すると、1ゴールド20ギルとなる。
「スーパードル、スーパーユーロ、スーパー円、スーパーポンド、もちろん持ってるよね君の国は」
S$、S€、S¥、S£は超越通貨である。
国際通貨の$や€や¥や£とは違う通貨だ。
ヴィルの国も超越通貨は持っている。
それは戦費の一部として使用されたりする。
「…………超越通貨をどうしろと?」
「僕の国、いや僕に変えてもらいたい。僕の持つ国際通貨とね。
もちろんレートうんぬんあるだろうけど、
僕の言い値で替えて貰えないかな?」
超越通貨は仮想通貨みたいなものである。
マキャファートはMADボムを用いた砲艦外交に打って出た。
「…………出来ません。絶対に」
ヴィルの言うことも最もだ。
とんでもないレートで両替されたら、莫大な損害をヴィルは被ることになる。
超越通貨は七段階のレベルがある。
価値のvalueからきてVと略す。
0Vは鉄貨
1Vは下級銅貨
2Vは上級銅貨
3Vは下級銀貨
4Vは上級銀貨
5Vは下級金貨
6Vは上級金貨
となっている。
硬貨になっているのは、異なる国々では紙幣というものが紙屑同然になってしまう事が多いためである。
硬貨は元々金属で作られているため例え他国のものだとしても、鋳潰しても金属の価値が出る。(それでも10万円が3000円になってしまったりはするが、屑鉄や紙屑になるよりかは幾分かマシである)
他国のものであっても相応の価値があるということである。腐っても鯛だ。
簡単な計算でするが銅貨、銀貨、金貨の両替できるレートは100銅貨で1銀貨、100銀貨で1金貨、10000銅貨で1金貨が大体である。
しかし超越通貨は違う。両替ができるのは上級と下級の互換がある同金属のものである。
つまり鉄貨はいくら積み上げようが銅貨にも銀貨にも金貨にもならない。
硬貨の両替が出来ないが外貨との両替は出来る。
変動制のレートなので時間によって変わるが、鉄貨を1銭、銅貨を10円としたとき、鉄貨を1000枚集め直ぐ様、円に変え10円をまた直ぐ様超越通貨の銅貨に変えて、ようやく鉄貨を銅貨に実質的に両替が出来る。
しかしここで厄介なことは日本円を挟むと言うことである。
以前ドル円相場の利率で104ドルに増やしたものの日本円では逆に目減りしてしまったという話をした。
同じようなことがここでも起きる。
日本円と超越通貨のレートが変わると、鉄貨を銅貨にしたいのだけれども出来ない。
だって銅貨にするには日本円が足りないからである。
超越通貨は国際通貨との両替が可能だ。
しかしそれは、スーパー円なら日本円とスーパードルなら米ドルと両替が可能。
スーパー円と米ドルとでは両替は出来ない。
しかし米ドルを日本円に替え、その日本円をスーパー円に替えることは可能だ。
だがしかしスーパー円をスーパードルとの両替は出来ない。
「本当にそう言うことを言えるのかな」
マキャファートは不敵に笑いながらも言った。
超越通貨は使わなければ意味がない。
超越通貨を使う市場があるのだ。
それをスーパーマーケットと呼ぶ。
そのスーパーマーケットで売られてる物は何か?
「…………やはり、魔法」
ヴィルは小さく呟いた。
そう、魔法である。
スーパーマーケットでは超越通貨を使って魔法が買える。
正確に言うと、魔法を扱うことを許される。
スーパーマーケットに入るには条件がある。
まず、超越通貨を持っていること。
超越通貨を持っている者は必ずスーパーカレンシーライセンスを持っている。
スーパーカレンシーライセンスを発行するには条件がある。
富裕層、富裕国であること。
これは国際通貨を豊富に持っているかである。
そして、国際的に信用のある国や人であること。
この二つの厳しい条件によってようやくスーパーカレンシーライセンスを発行してもらえる。
スーパーカレンシーライセンスを発行してもらえれば超越通貨を持つことが出来る。
超越通貨を持つことでスーパーマーケットで買い物が出来る。
では何故スーパーマーケットで買い物したいか。
それは需要があるからである。
戦争特需とも言える。
第二次世界大戦後、戦争の道具は兵器から魔法へと変わりつつある。
大局を揺るがす魔法を持ってれば国際的に有利に働く。
マキャファートは魔法少女を生産するだけで魔法を生産出来ない。
使いたい魔法を産み出すことが出来ない。
しかし、継承システムがあれば話は別だ。
継承システムで魔法を継承できれば魔法を扱うことが許される。
魔法の搾取と可能だ。
しかし継承システムはスーパーマーケットで売られている。
元々継承システムを持たない、魔法も持たないマキャファートのようなノーマルにはチート的に魔法が使える。
スーパーマーケットで継承システムを買うには超越通貨が必要でスーパーカレンシーライセンスも必要で、超越通貨は国際通貨と両替出来て、
「…………ノーライセンスでやるつもりか」
ノーライセンスで超越通貨を持っている者もいて。
世の中マネーロンダリングで闇の金を正規の金に変えて。
金を上手く扱うヤツがこの世の中勝者になりやすい。
「替えないか、僕の持つ国際通貨と君の持つ超越通貨を」




