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レベル255の魔法少女  作者: パラドックス
第二章 第一版世界
31/93

ラピュータ会談③

 会談、交渉をする際に説得するテクニックがある。


 一、感情

 二、論理

 三、威嚇

 四、駆引き

 五、妥協


 基本的なことはこの五つが必要だろう。


 (一)感情や敬意で好意的な言葉や行動で相手の心に強く訴える。

 (二)情報やデータなど事実的根拠を用いて相手を納得させる。

 (三)相手に危機感を与える行為で、相手を有無を言わさずに従わさせる。

 (四)こちらの譲歩を引き換え条件として相手にも譲歩を要求する。

 (五)それぞれが求める中間点を取り、成果を分け合う。


 上の五つを理解してもらえればありがたい。

 そして、何よりやってはいけないのは、たとえ代表者ではなくとも簡単にサインをしてはいけないこと。

 何度も何度も会談を重ねること。それによって平行線から少しずつ妥協点を見つけ合意すること。

 サインをするのは最後の最後。どんな名称だろうと署名をしてしまったら、何らかの合意があったとみなされる。


「…………それだけは避けなければならない」

 ヴィルはこの一回目の会談ですべてを終わらすつもりではなかった。

 まず第一に交渉を仕掛けてきたのはマキャファートの方だ。

 相手のペースに嵌まってしまう。

 それでは相手の思う壺だ。

 先手必勝の先制攻撃は取られたもののここから巻き返さなければならない。

「…………だが、MADボムを持っている」

 ヴィルたちにとってMADボムは驚異であった。

 それがあると相手側に有利だ。

 何が有利だと言うと、時間、期限が決められやすいのだ。

 早くしないと爆発するよ。期限も機嫌も短いからね。

 そういう手段を取られることもある。

 無論そんな野蛮な方法をとれば非難が集中するし国際関係などにも支障をきたす。

 しかし無視できないほどの力である。

「ヴィル樣、そろそろお時間です」

「…………はい、わかりました」

 黒服の一人が時間を伝えると、ヴィルは動いた。これから会談が始まるのだ。







「あぁ、そうだ言い忘れてた。すみれ、絶対にサインはしてはいけないよ」

「うん?なんで?」

「署名はとても大きい効力を持っている。内容がよくわからなくて署名をしてしまっても、君はその内容をよくわかった上での合意をしたと判断される。だから気をつけて」

「そっか、わかった。連帯保証人なんかになりたくないもんね」

「……う、うん。まぁそうだね」

 マキャファートの忠告が終わると時刻は会談が始まる時間となった。

 するとガチャとドアが開き、ヴィルが入ってきた。会談の時間ギリギリだった。

「っ!?えっ、えっ、何?何?」

 すみれは目を丸くした。それもそのはずヴィルが入ってきたあとに黒服が数十人と入ってきたのだ。

「……なるほどね。そうきたか」

 数十人の黒服は部屋の壁に整列した。しかしマキャファートたちのいる窓側には誰一人とて整列しなかった。

 威圧感だ。マキャファートはそう確信した。

 すみれはMADボムを持つ最終兵器魔法少女である前に一人の女子中学生でもある。

 女子中学生相手に大の大人が何十人も威圧感出すということはあまりにも大人げないというか、オーバーキルというか、解せない。

 それほどすみれが驚異だということの表れでもあるだろう。

 すみれと黒服、威嚇する武器を両方とも突きつけて会談が始まる。


「…………それでは定刻になりましたので、これより『第一回』の会談を始めます」







「…………これは、戦争につながる事案です。戦争の発展を抑制や回避をしなければなりません。本日はそのための会談です。そのことをご留意願います」

「うーん、ちょっといいかな?戦争につながる事案とは何かな?」

「…………貴隊の大量広域破壊爆弾の開発でございます。」

「ちょっと待ってよ、開発なんかしてないよ」

「…………何故、開発ではないとおっしゃいますか?」

「大量広域破壊爆弾なんか開発してない。僕はただ、見つけたんだ。すばらしい魔法少女を」

「…………」

 マキャファートの言うことはまるで子供みたいな言い訳だった。

 確かにマキャファートは大量広域破壊爆弾の開発はしてはない。

「…………しかし、使用はした。大量広域破壊爆弾の威力を知るために」

「それは違うよ。わからなかったんだ。すみれの魔法を。

 そして、使用してみたら、あんなことに」

 その言葉にヴィルは怒りで歯軋りをした。

 あんなこと?

 ふざけるな。

 あんなことでイルヴァは死んだ。

 マキャファート、お前は知ってたんだ。MADボムの威力を、もともと。

「今回は未来志向のお話をしたいと思います」

 後ろに姿勢をただしていた髭の黒服が言った。

 ヴィルにそういう話をしろと促したのだ。

「…………ええ、そうです。これ以上の大量広域破壊爆弾の使用禁止並びに破棄を求めます」

「それは難しいね。大量広域破壊爆弾とはいっても物じゃない。人だ。魔法少女だ。

 破棄となると、殺せと言っているのかな」

「…………」

 交渉の方法はそれぞれあるが、最初からド直球の会話のドッチボールでやりあって、そこからだんだんと修正を加えていくという方法もある。

 ド直球、つまり本音で語り合う。

 ちゃんと、話して、伝える、正直に。

 わがままを通す手段である。

 しかし、今回はわがままを通すことではなく交渉を妥結することである。

「…………殺せとは言っておりません。しかし大量広域破壊爆弾の威力は、かのツァーリボンバの約二倍です。

 もし、これから何度も爆破実験などがあれば、それは威力向上に研究、修正するでしょう」

「だから、研究なんてしてないし。爆破実験もしてない。することもない。」

 ヴィルは知らないがこれからMADボムはどんどんと威力は上がる。下がることはない。

 セカンドインパクトは12万平方キロで、前回の約六倍の威力だ。

 そしてこのラピュータ全土を吹っ飛ばす威力でもある。


「…………これから、追い追いとその辺について話し合いましょう」








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