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レベル255の魔法少女  作者: パラドックス
第二章 第一版世界
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GEG on-line


「私はアイラ・ミカラギ・スタインバーグ

 真に国家を愛する者である」


 志穂の目の前にはアイラが屹立していた。

 黒い外套と長い黒髪をなびかせ、アイラは志穂に問うた。

「貴公、あのネズミがどうなっているか知っておるか?」

 あのネズミとはマキャファートのことである。

「さっ、さぁ知らないわ」

 志穂はそう答えると、魔法は使えないものの攻撃の意を示すために構えた。

 その事を汲み取ったアイラはこちら側が敵意はないと示すため、志穂に見えるように腕組をして。

「別に貴公と戦闘しに来た訳ではない」

「それはどうかしら」

「少し話をしに来ただけだ」

「そうかしら?虚を衝いてくるかもしれないわ」

「まさか、ジュネーブ条約がある。非戦闘員に対して非人道的なことは絶対にしない」

「……あなたたちにも条約があるのね」

 志穂にそう言われ、アイラは話を切り出した。

「……あのネズミ、我々に交渉を挑みに来た」

「交渉?」

「あぁ、大量広域破壊爆弾、MADボムを連れて」

「!?もしかしてすみれ!?」

「ネズミたちは今、ラピュータにいる」

「ラピュータ?」

「バルニバービの上空にある巨大な入道雲の中にある国だ」

「バルニバービってここから北の国よね。どういうことなの?すみれは!?」

「……何も知らぬか」

「だからっ!!一体どういうことが起こっているのよ!!」

「おそらくネズミがMADボムを手に入れたことにより強く出に来たのであろう」

「何が強く出に来たのよ」

「まだ、わからんが交渉内容によることだろう」

「……つまり、砲艦外交ってこと?」

 志穂がそう要約するとアイラはこくっと頷いた。

 砲艦外交は日本で言うところのペリー来航がいいところだ。

 開国しろ、さもなくば砲弾の嵐が来るだろうと脅しにかかる。

 志穂は怒りに拳を震わせた。

「すみれをそんな扱いにして……」

 志穂は目の前で見ていた。すみれのMADボムの威力を。

 あのレベルの武器を持っていたら、さすがになめてかかることはない。

 交渉を無視、無下に出来ない。


「ところで、訊くが貴公らとそのすみれ殿とは仲はどうなのだ?」

「どうって」

 志穂は即答したかった。仲は良好て。

 しかし出来なかった。わからなかったのだ。

「……どうなのだ?」

「……わからない」

 志穂はそう答えるとアイラはハァとため息を吐いた。

「もし貴公らにそのすみれ殿を止めることが出来るならばと思っていたが」

「っ!?それってどういう」

「ラピュータへ行くには直接飛行で無理やりに入るか、バルニバービにある軌道エレベーターで行くかだ」

「すみれに、逢えるの?」

「貴公らがすみれ殿を止めれるのなら」

「止める。だから行かせて!」

「……まて話を聞け。まずネズミとすみれ殿を引き離さなくてはならん。そのために貴公らが必要だ」

「私たちがすみれを止めるの?」

「正確に言うと、すみれ殿は爆弾だ。起爆スイッチはネズミが持っている。起爆しても安全な場所で爆発させる」

「っ!?ちょっとそれはどういうこと!?すみれを爆発させる気!?」

「そういうわけではない。ただ単にすみれ殿を安全な場所に移し、爆発させる意味をなくすのだ。ネズミにとってはすみれ殿は貴重な存在だ。無駄なことはしないだろう」

「今は爆発させる意味があるということね」

「いや、おそらく今も爆発させないだろう。現に隣に巨大な威力を持った爆弾があるのだから。そんなことをするのは自殺行為だ」

「じゃ、今はある意味安全じゃないの」

「そうとは限らん。現在すみれ殿はネズミの支配下にあるといえる。もしネズミの指示で一人ラピュータに居残り、爆発でもしたら……」

「……その可能性もあるわね」

「何しろ現在は会談中だ。ネズミにとって良くない方向で進められていたらどうだろうか?報復として何らかの行為をするかもしれん」

「報復行為の前に何とかするのね」

「そういうことだ。……では他の三人にも言っておくれ」

 アイラが踵を返し外に出ようとしたところ志穂に止められた。

「待って!マキャファートは一体何を考えているの?」

「そのことはネズミにしか知らんと思うが」

「でもわけがわかんないのよ」


「……おそらく、覇権を取るつもりだろう」

「……覇権?」


「『グレートアースゲーム』誰がこの地球の覇権を取るか。貴公ならよくわかるだろ資本主義がマネーゲームがこの世界が」

「……えぇ、わかるわ。アジアの資本家の端くれの私でもわかることよ」


 GreatEarthGame。通称GEG。全世界の50億人(80年代当時)が熱狂しているゲームだ。

 ロスチャイルドやロックフェラーあたりが今、おそらくこれからもこのゲームを運営してる。

 ロスチャイルド家はヨーロッパの財閥でイギリスに本拠地を置く世界最大の金融財閥。

 ロックフェラー家はアメリカの財閥でアメリカに拠点を置く世界第二位の金融財閥。

 この黄金の二大巨頭が覇権を持っている。


「結局、経済はインサイダーで動いてるわ。情報を作り出す側が十分に稼いだあとで皆におこぼれが落ちてくる。

 強者がどんどんと強大化する」

「おそらくネズミはそのことをわかってる。ゲームをコントロール出来る側がいることも。

 まぁ、わかっていてもある意味諦観して、必死でゲームに抵抗している側か」


「マキャファートはそんなゲームのためにすみれを利用したの!?」

「それこそネズミに聞くんだな」

 そう言って今度こそアイラはドアを開け外に出た。



「人類50億人が熱狂中のこんなくだらないゲーム。

 ゲームに抗ってるだけで、ゲームをひっくり返したりしないのかしら。

 新しいゲームの舞台を創り出し、そのゲームに皆を熱狂させようとは思わないのかしら。


 それが、究極に目指すところでしょ」








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