夏休み前の土曜の半ドン
蝉時雨が五月蠅い。
五月ではなく、七月のことだ。
「……で、あんたら何しに来たが」
「えへへ。もちろん食べに来たんです」
千代子が働いてるレストラン風見鶏には莉音、志穂、美春、すみれの四人が食事に来た。
学校は土曜日で半ドンだっため、午前の授業で終わった。
千代子は午後はシフトがあるからと皆とは別に先に帰った。
その事に美春は、んー(;>_<;)と何か甘えたくて抑圧した何やらわけのわからない地団駄ともとれる行動していた。
もうすぐ、夏休み。近付く夏休みの土曜日の半ドン。小三の頃を思い出して死にそうなノスタルジックな日。(あの頃に戻りたい)
美春は人を巻き込むのが上手いのだ。
小学生の純粋で無邪気な心を持っている。
「じゃあ、はい。注文何?」
千代子は無愛想ながらもメニューを四人に渡した。
「えーと、私はですね、ぶっかけうどんをお願いします」
「ぶっかけは、ひやいがとぬくいがとあるけんど……」
「冷たいので!」
「はい、で志穂は?」
「そうね、じゃあこの冷麺セットで」
「冷麺はゴマだれと醤油だれとあるけんど……」
「ゴマだれで」
「はい、ですみれは?」
「ちょっと待て、まさかこの流れ……麺縛り!?だったら……」
「いや、別にそうじゃないと思うけんど」
「うーん、はっ!この月見蕎麦!」
「あったかいがやけんどええがかえ?」
「この流れなら仕方ない。空気読まなくちゃ。」
「そっ、で莉音は?」
「鍋焼きラーメンライス大マシマシギタギタ」
「ギタギタなんかやっちゃーせんわ!」
「えー。じゃマシマシで」
「……値段がちっくとばぁ上がるぞ」
「いいもん」
「はぁー。はい。以上やね」
千代子は注文を取ったあと厨房に帰っていた。
「しかし、千代子のあのしゃべり方何々?」
「スミーは土佐弁って知りませんか?」
「あ、あれ土佐弁なの?いやー千代子ちょっと近付きがたい雰囲気があってなかなか切り出せなくて……」
「そうですか?私はとっても近付きやすいと思いますよ。ちよちよはとってもかわいい女の子ですよ」
「!?ねぇねぇ、みはるん私は?私は?」
「莉音さんは莉音さんです」
「えーえー何か私だけ変ー」
「ちょっと莉音、邪魔」
「しょうがないじゃんこういう席順だからー」
莉音たちはボックス席ではなくカウンター席に座っていた。
席順は左から、莉音、志穂、美春、すみれとなっていた。
最初に座るときに美春が両隣に莉音を座らせないように志穂とすみれを配置させた。
所謂、莉音シフトである。
「あっ、そう言えば、高知県の方言は土佐弁だけではなく幡多弁もあるって知ってましたか?」
「あー、それ知ってるわ。たしか西部の方が幡多弁で中部、東部が土佐弁なのよね」
「おっ、しーちゃんは知ってたんですか。そうなんですよね。意外でした」
「まっ、都道府県に一方言とは限らないからね」
「ですね。はぁーでもちよちよの土佐弁はかわいいー」
「何言うぜよ!みはるんの方がすっごくかわいいぜよ!」
「「「あっ」」」
莉音は失言した。
その失言を知っているのは志穂と美春だけだったが、すみれも知ることになる。
莉音が失言をした時、背後に千代子がおどろおどろしいオーラを纏って配膳しに来たのだ。
「りーおーん」
「はっ!?」
莉音は直ぐ様反応した。
直ぐ様、後ろを振り返った。
「今の土佐弁は、『ぜよ』なんて語尾は使いやーせん。
それはテレビとかのステレオタイプだ。
あんた、なめちゃあせんかや」
「ひいいいい。ごめんなさいごめんなさい」
千代子は美春のぶっかけうどんと志穂の冷麺セットを配膳し、莉音にこれでもかって位の距離で凄んだ。
そのあと、すみれの月見蕎麦を持ってきた。温かいやつだ。
そして、最後に莉音に地獄の釜か!って位にぐつぐつと煮えたぎった鍋焼きラーメンライス大マシマシを持ってきた。
今日は七月だ。暑い。最高気温は35度を超えると予想される。そんな猛暑日に鍋焼きなんて食べるものなら、地獄である。
「暑いですねー」
「ふーふーふー」
「そうね」
「ふーふーふー」
「ねぇねぇ、しーちゃん。海行きません?」
「ふーふーふー」
「えっ、またぁ?」
「ふーふーふー」
「いやー前回のは海と言うか大海だと思うんですよー。今度は海岸、砂浜とかどうです?」
「ふーふーふー」
「そうねぇ、だったらクルーザーであのリゾート地に行ってみましょうかしら」
「ふーふーふー」
「スミーはどうです予定空いてます?」
「ふーふーふー」
「予定は何時でも空いてるぜー!いつでも来ーい!!」
「ふーふーふー」
「ちよちよは?」
「ふーふーふー」
「いや、あたしは」
「ふーふーふー」
「ねぇ、ちよちよ。><」
「ふーふーふー」
「わっ、わかったから。そんな顔……するな……」
「ふーふーふー」
「やったー(*≧∀≦*)」
「ふーふーふー」
「はぁ、ねぇ」
「ふーふーふー」
「ねぇ、莉音」
「ふーふーふー」
「莉音ッ!!」
「っ!?何?志穂ちゃん?」
「さっきからうるさいのだけど……」
「しょうがないじゃん。これ尋常なく熱いんだから」
「……それはあなたが墓穴を掘ったのよ。まぁそれはいいとして。
海どうなの?」
「あー行く行く。もちろん。みはるんが行くならどこでも!」
「そっ、わかったわ。じゃ予定などはメールで」
志穂はもうメールを扱いこなしていた。3ヶ月前まではファクシミリで地図を送っていたりしていたのが、やはり女子中学生の適応能力は目を見張るものがある。
マキャファートはとある場所にいた。
マキャファートは前回の志穂について考えた。
志穂は自身の存在に疑念を抱き始めてる。
そう思ったマキャファートは今までのデータを整理をした。
■五人の魔法少女達
回復 莉音
近接 志穂
妨害 美春
遊撃 千代子
戦略 すみれ
■HPの割合
莉音 なし 0%
志穂 112 0.000570956%
美春 2400 0.012234135%
千代子 3700 0.018860959%
すみれ 1961万1030 99.968333978%
■属性
莉音 無属性
志穂 無属性
美春 電気属性
千代子 運動属性
すみれ 熱属性
■レベル
莉音 255
志穂 2
美春 37
千代子 48
すみれ 50
マキャファートは志穂の気持ちもわからんではないと思った。
志穂以外は圧倒的な何かを持っているのだ。
「まぁ、たかが魔法少女の言うことだ。
何も全て聞き入れる訳ではない」
マキャファートはそう吐き捨てた。




