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レベル255の魔法少女  作者: パラドックス
第一章 魔法少女たちのロール
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共振システム

 イルヴァにとって遮蔽物の無い場所である河川敷は好都合だった。

 動きの自由度が高く攻撃も命中しやすかった。

「……っ」

 イルヴァは高くジャンプして、莉音たちの視線を上にずらした。

 防具を装備してるからといって、動きが鈍いとは限らない。軽装備だが一瞬で視界から消えて、莉音たちは戸惑う。

「…………」

 イルヴァは高い位置で優雅に腰に巻いている射撃物に手をかける。高圧の水が大量に放出され、右腰から美春を左腰から志穂を狙い莉音もろとも潰しにかかる。

「っあぁ」

 まるで、重い液体の金属が圧し殺すかのような威力だった。それをもらって美春は尻餅をついた。槍で思い切り突かれたような衝撃があった。美春のHPから240ダメージ削がれた。

 同じく志穂も衝撃を受け、尻餅をついた。志穂のHPから111のダメージ、莉音の防御魔法でHP1耐える。

 二人に対して莉音は全く衝撃はうけつけなかった。莉音はHPが存在しない。故に攻撃を受けようとしても攻撃という事象が消滅する。莉音は無傷であった。

 そして、莉音の回復魔法で二人のHPが全回復する。

 イルヴァは手を休めなかった。

「だぁあ」

 無数の槍を美春たちに向け投げた。槍が美春の周りを囲うように地面に突き刺さり、美春の動きを封じ込めた。

 同じように志穂にも無数の槍が志穂の周りを囲うように地面に突き刺さった。 同じく志穂の動きを封じ込めた。

 それらに対して莉音には槍を投げなかった。必要なかったのだ。

 美春と志穂が攻撃する間もなくイルヴァの攻撃を受け続ける。そしてイルヴァは再び高圧の水を美春と志穂に浴びせかかった。

 その一連の行動を千代子は目を見開いて喫驚していた。

 それを見たマキャファートが千代子に近づいてきた。

「千代子!助けて!」

 マキャファートは千代子に助けを請うた。

「お願いだ!魔法少女になってくれ!」

 千代子は手に持つスマホを見て悩んだ。たしか、このスマホから魔法少女アプリを押して魔法少女に変身する。だったな。

「千代子!」

 千代子は莉音たちを見やる。

 槍で動きを封じ込められた美春と志穂。息をする間もなく水責めにあっている。そのまま楽になることもない。莉音が無情にも回復させ続けているからだ。

 衝撃と激痛と息苦しさ。イルヴァは美春と志穂を嬲り殺していた。イルヴァの先制攻撃が成功を意味したのだ。

 しかし、膠着状態でもあった。イルヴァの放つ大量の水は美春たちを仕留めれない。というより仕留めきれない。何故なら魔法少女は殺してはならないから。捕らえなければならないから。

 たがらイルヴァにとって今の状態が精一杯だ。

 イルヴァにとって精一杯のことをしても千代子にとってはそうは思わない。酷く非道なやり方だと思った。ギブアップするまで、やりつづける。目の前には自分と同じ学校の生徒。

 千代子は意を決してスマホの電源ボタンを押し、おそらくこれが変身アプリだろうと思われる矢印のマークを押した。

 すると、電子的な謎の光が千代子を包み込んだ。

 千代子はグリーンのコスチュームに変身した。

「こ、これは?」

「千代子、君の能力を言うよ。君の能力は……」


 イルヴァは、はっと気づいた。マキャファートがいない。美春たちを相手にするのに気づけなかった。

 イルヴァはこのまま、美春と志穂の心を折ればと思った。しかし、

「だぁああ」

 千代子が跳んできた。その勢いに身を任せ拳で美春と志穂を囲う槍を折った。一本残らず全て折った。

「っ!?」

 イルヴァは瞠目した。先に折られたのは自分の方だった。

「はぁあ」

 千代子は気合いを入れるかのように声を上げると千代子の周りを緑色の流線を纏っていた。

「補助技、自己の能力アップ。この場合スピードアップだね」

 マキャファートが説明した。千代子の能力の一つのスピードアップ。

「やぁああ」

 千代子はイルヴァ目掛けて殴りに来た。イルヴァは避けられず胸に拳を受けた。

 すると、ぼろぼろと麻痺対策として着ていた防弾チョッキのようなアーマーが壊れた。それにイルヴァは驚いた。アーマーが一発で壊れるわけない。それほど強い攻撃でもないはずなのに。

「まさか、ブレイク性能!」

 ブレイク性能とは破壊する能力だ。ブレイク性能は種類がある。複数持っているとマルチブレイクと呼ばれるが、千代子は一つしかブレイクを持っていない。この場合、

「ガードブレイク。相手の装備を破壊する能力。たとえ、どんなに耐久力の高い装備品でも」

 マキャファートは淡々と言った。因みに、アイラのように地面を切り裂いたのはアースブレイクという。アースブレイクは地中、水中に潜る相手に効果的だ。

 そして、千代子は再び拳を繰り出した。そのスピードにまたしてもイルヴァは千代子の拳を受けた。そのまま、イルヴァは川に叩きつけられた。

「ぐぁっ」

 イルヴァはダメージを受けたもののふらふらと立ち上がった。イルヴァは水面、水中においては得意だ。イルヴァは千代子から距離を取るため川の真ん中へ移動した。

 が、千代子は陸地から跳び、今度は水面を跳んでイルヴァに近づいてイルヴァの腹に一発かました。

「スプラッシュジャンプ。水面を跳ぶことができる。千代子の能力にはアルティメットフットと呼ばれる脚に関わる能力がある。他にも、千代子はいろんな脚の能力がある」

 また、マキャファートは説明した。千代子を見つけた時から知っていたのだ。これらの能力を有することを。

「っぐぉ、かっはぁ」

 イルヴァは呻き声をあげた。千代子のスピードが合わさって、拳が重くなってた。

 イルヴァは怯んでしまった、それを美春は見逃さなかった。

「やぁああ!」

 美春は電撃波を放つとイルヴァは痺れた。アーマーが破壊された今、麻痺対策の方法がなくなったのだ。

「くっ」

 イルヴァが麻痺になってるところに千代子は後ろに回り込んで今度は背中に一発追撃した。イルヴァは吹っ飛ばされて水切りをしながら川岸に打ち上げられた。

「ぐぁぁっ、っはっっ」

 千代子はスプラッシュジャンプで川岸に戻りイルヴァの後ろに屹立した。

 イルヴァは嫌でもわかった。痛感した。千代子のスピードに追い付けないそれに麻痺している、志穂の連撃もあるし、莉音の永久機関もある。

 だがッ、

「ぅわぁぁぁあ」

 イルヴァは雄叫びを上げると地面に向かって水を放った。大量で高圧の水が。

 みるみるとイルヴァは高く空中を飛ぶ。そして放たれる高圧の水には誰も近づけない。

 それを見た千代子は戸惑った。マキャファートから言われた能力、アルティメットフットは複数の技能がある。

 一つはスプラッシュジャンプ、水面を跳ぶことができる。二つ目にはダブルジャンプ、地上または水上を跳んだあと空中を一回ジャンプすることができる。三つ目にはフロートフット、地上、水上から浮遊できる。

 フロートフットは浮遊が出来るだけで、空中を上下自在に動けるわけではない。ダブルジャンプも空中を一回だけジャンプするだけで、ここまで高く飛ばれるとダブルジャンプは届かない。

 千代子は飛び道具を持っておらずどうしたものかと思っていると、キィィィンと高い音がした。

「共振だ。共振システムが反応したんだ!」

 マキャファートがそう言うと千代子は共振システムとは何だと問うた。

「共振は簡単に言うと、合体みたいな感じ。要するに共振同士だと連れていけるんだ!」

 千代子と共振したのは美春だった。つまり、美春を連れて、ダブルジャンプが可能ということか。

「美春!いいか?」

 千代子が美春に訊くと。

「はい、行けます。うまくいけば電撃が届きます」

 美春がそう答え、千代子は意を決して美春に近づいた。すると、共振が激しく反応し美春は千代子に抱きついた。襷掛けの要領で腕を回した。千代子の豊かな胸が%になっていた。

 千代子は美春が抱きついたの見て、地面を蹴り上げた。一回目の跳躍、そしてアルティメットフットの技能ダブルジャンプで二回目の跳躍。

 ぐんぐんとイルヴァに近づき、美春はイルヴァ目掛けて電撃を放った。電撃は龍のごとく唸りながらイルヴァに直撃した。

 イルヴァは麻痺している、そして空中にいる。どこにも避けられるはずはなかった。

「ぐぅっはぁ、っっ」

 イルヴァは直撃を受けて水を放ち続けることが出来ず墜落した。

 地面に叩きつけられたイルヴァを見てすかさず志穂が連撃を始めた。

「だぁぁぁあ」

 一撃、二撃と受け、イルヴァは確信した。もう勝ち目はない勝ち筋は潰された。ならば、イルヴァが取る行動は一つ。エスケープだった。

 イルヴァはエスケープを押し、身体を白い電子的な粒子が覆って、消えていった。

「っ!?消えた!?」

 千代子は初めて見るエスケープだった。

「エスケープだよ。逃げたってこと」

マキャファートが答えたあと、河川敷に静寂が戻った。

 マキャファートが電磁フィールドを解き四人も変身を解いた。

「ありがとう、千代子。助けてくれて。そして、ようこそ魔法少女へ」

 マキャファートは千代子に礼を言うもののその顔は不気味でうっすらと冷淡な顔をしていた。

 そのあと皆からマキャファートに質問タイムが始まった。


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