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恋愛観賞  作者: はの
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第四話『電話』

   第四話『電話』




もうすぐ夏休みを控えていたある休日。

その日はすごく暑かったけど、眠気が襲ってきたので、昼寝をしていた。


が、携帯が震える。


メールが来た、渋々目を開け身体を起こし、メールを確認する。

それは、うちが書いているブログ宛に来たメールだった。

その宛名に、眠気がふっとんだ。



ぐっさんだ…。



「紗希のことで相談したい。メルアド教えてくれへんか?」



そんな内容だった。


やっぱり…来た…予想は的中。

香奈ちゃんに相談できなくなって、ついに自分に火の粉が回ってきた。


どうするか、メールと向き合い悩んだ。

ぐっさんが自分のことを気に入っているのは知っている。

たぶん、うちがここでぐっさんと連絡取れば、ややこしいことになるのは明確だった。


どうする…。


すると、また携帯が震える、またメールだ。



「嫌か?嫌やったらええよ」



………どうして今そんな言葉をふっかけるんだ!



落ち着け自分、あわてるな、考えろ。

ぐっさんがどう思ってようといいじゃないか!

別に好きなわけじゃないし!うちもぐっさんに恋してるわけじゃない!



これはクラスメイトとして、恋愛相談に乗るだけ。

それから発展することはありえない。



一度頷いて、うちはぐっさん宛てにメールアドレスを送った。





数分してメールが帰ってくる。

何度かメールを返し、夜電話することになった。





正座して、携帯と向き合う。

そろそろ約束の時間だ。


携帯が振るえ、「今から電話する」というメールが来る。

一度息を吐き出し、いいよ、とメールを返すと、すぐに携帯が震えた。



「…勝負だ!」



なんの勝負かわからんが叫んだ。

そして…通話ボタンを押す。


「も…もしもし?」

『もしもし?はのちゃん?』


イエッサー


『なんか…こうやって電話すんのへんな感じやな』

「せやね…教室でやって普段あんましゃべらんのに…」


だってうちが苦手だもん…。





話の内容は、もちろん紗希ちゃんの話もあったが、ほとんどうちの話やった。

"俺は、はののそうゆうとこ好きや"とか"可愛いな"とか…。

"お前に癒されたくて電話した"とか…。




やっぱ電話するんじゃなかったと深く後悔した。


ダメだ、うちは、"好きや"とか言われると、素直に嬉しいと思ってしまう。

冗談でも、軽い気持ちでも、好意を持ってくれてることがすごく嬉しい。

調子に乗ってしまう…。



なぁぐっさん、



「ぐっさん、そんなうちを惚れさせたいん?」




………ああああぁぁぁぁ!

無意識爆弾落下ぁぁぁぁ!



バカ!ほんとバカ!誰か訂正しれこれ!

うちは混乱に陥った。


そしてぐっさんが返してきた言葉は…。

『はのやって、そんな俺に優しくして、惚れさせたいん?』




ショックだった。




何故、その言葉にショックを受けたのかはわからない。

だからさ、うちは、ただあんたのクラスメイトとして…

紗希ちゃんの友達として、出来ることをやろうとしてるだけ。




優しくなんかじゃない、そんなこと言うな、気づけよ。




うちはこんなに焦って、困惑してるんだ。





「……うちは、ぐっさんのことは好きにはならん、絶対」





酷いこと言ったと、今でも少し後悔することがある。

けど、突き放さなきゃいけない。

分かってる、今ぐっさんが紗希ちゃんと上手く行かなくて辛いの…。

本当なら、冗談交じりで"好きになるか!"と返すほうが良かった。



『…せやな、お前は紗希の友達やもんな…』


そう、ぐっさんは真面目に返した。




これが最初の電話。






それから、夏休みに入るまでに二回ほど電話した。

電話するかすごい悩んだけど…人に甘いうちには断ることが出来なかった。


いろんな話をした、ぐっさんと紗希ちゃんのこと。

うち自身の恋愛話とか、うちをぐっさんがいじって楽しんだり。

それが悔しくてなんとか返そうとしたり…正直"楽しい"と思うこともあった。


けど、また"そんなはのちゃんが好きや"と言った。

その度に、どう返していいか分からなくて…。






頼むから、それ以上、言わないで。

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