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光闇戦線  作者: マキ
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光闇戦線5

五、3年生の授業


光雅と壱樹は食堂に行き、それぞれ好きな料理を頼んだ。光雅は料理のほとんどを知らなかったので、壱樹が頼んだのと同じハンバーグを頼んだ。2人で4人席についてご飯を食べていると、2人を見つけた依采が駆け寄ってきた。

「壱樹くんがぼっち飯してないの珍しい!結構仲良くなれたの?」

依采は壱樹にそう言ったが、壱樹は依采の声がまるで聞こえてないかのように飯を食べ続ける。

「え?無視?酷い。あっ待って私も一緒に食べたい。買ってくる!」

依采は料理を頼みに行き、ほんの3分ぐらいでまた戻ってきた。依采は壱樹の前、光雅の横の席に座った。

「依采。修行は終わったのか?」

光雅は依采に聞いた。

「うん。ばっちり!光雅くんは何してたの?」

「俺は壱樹の任務の見学させてもらってた」

「えー!いいなー。今度は私も連れてってよ」

「聖はうるさいから嫌だ」

「酷すぎる!せっかく同じ班になったんだから仲良くしよーよ!」

「あ、そういえば班ってどういうふうに決まってんの?」

「大体は班のリーダーである先生が自由に選ぶんだよ」

光雅の質問に依采が答える。

「え、じゃあ何で壱樹と和勝先生が同じ班なの?」

「僕が五大光家の人間に警戒されているからだ」

「そう。壱樹くん、なかなか強いから何かあった時に止めれるように和勝先生と同じ班なんだよ」

「へぇ。壱樹、お前めっちゃ警戒されてんじゃん。俺も急に学校に入学したけど、そんなに警戒されてる感じしないぞ」

「まあ、壱樹くん、気配が不気味な時あるからね」

「え、そうなの?」

「うん。1人なのに複数人いるみたいな気配がするって父さんとか先生とかも言ってた。私はよくわかんないんだけど。何でそんな気配なの?」

「知るか。気配なんて出したくて出してるわけじゃない」

「ま、そうだよね」

「依采は壱樹のこと疑ってるの?」

「ううん。全然。仲良くしたいと思ってるけど、こいつ全然愛想がないんだから」

依采はそう言いながら壱樹の足を軽く蹴った。壱樹は嫌そうな顔でやめろ、と言っていた。

「でも、不気味と言えば、私は穂墨先輩のことはちょっと怖いと思ってるかも」

依采は突然別の人物を話題に上げた。

「穂墨先輩ってあの白髪のニコニコしている人だよね」

「うん。なんかこっちは先輩の感情全然読めないのに、あっちからは見透かされてる気がする」

「確かに。今日の朝会ったときもなんか心読まれた感じしたな」

「でしょ。不思議な人だよね。ノリいいし、面白い人ではあるけど。壱樹くんは一緒に任務とか行ったことあるんだよね?どんな人なの?」

「他の3年がいないときは割と冷静で戦いやすい」

「へぇ。落ち着いてるときもあるんだ。3年生ってみんな一緒にいるときしか見ないから知らなかった」

「3年生は騒がしすぎて俺もびっくりした」

 キーンコーンカーンコーン

学校のチャイムが鳴った。

「あ、午後から座学だ。教室行こ」

依采がそう言って立ち上がったので、光雅と壱樹も依采について行った。


3人は教室に行き、席についたが、先生は一向に現れない。

「あれ?何で先生来ないんだろ?」

依采が首を傾げながら言った。

「うーん、なんか用事?とか?」

光雅がそう言ったとき、教室のドアが開かれた。入ってきたのは先生ではなく、3年生たちだった。

「今日の授業は私たちが教えるのじゃ!」

真歩乃が教壇に立ち、元気よくそう言った。

「そうだ!お前ら感謝しろよ!」

雷騎はそう言ったが、一年の3人は揃ってげんなりした顔をした。

「真歩乃ちゃん、ちゃんと授業できるの?」

依采が真歩乃に聞く。

「当たり前じゃ!何てったって私は龍の子じゃからな。人間の授業など軽くこなせて当然なのじゃ!」

「座学の成績低いくせに何言ってるんだ」

真歩乃が胸を張って言った言葉に、壱樹が思わず言い返した。

「壱樹、お前私を馬鹿にしたな?許さぬ!」

「事実だろ」

壱樹と真歩乃が言い合いをしている間に光雅は依采に聞いた。

「龍の子って何?」

「光龍っていう光の神に仕えてる龍がいてね、真歩乃ちゃんはその子供なの」

「人間じゃないってこと?」

「半分はね。光龍は人間に恋をして400年ぐらい前に結婚して子供を産んだらしいの。その子供が真歩乃ちゃんってこと。実は真歩乃ちゃん、400年ぐらい生きてるだよ。龍と人間じゃ寿命が違うし、成長速度も違うから同い年ぐらいの見た目なんだけどね」

「この世にはいろんな生き物がいるんだな」

教室のあちこちで会話が盛り上がり始めたとき、誰かがいきなり教卓をバンッと叩いた。

「ちょっとみんな聞いて」

教卓を叩いたのは宝だった。

「俺たちは本当に先生に頼まれて授業に来たんだ。俺が教えるなら文句ないでしょ?君たちよりは普通に頭いい自信あるし」

宝は相変わらずニコニコとした顔で言った。宝はテストで満点しか取ったことのないほど頭がいいのだ。

「穂墨が教えるなら文句はない」

壱樹がそう言ったので、光雅は宝が見栄を張ったわけではなく、本当に頭がいいことを理解した。

「壱樹、先輩には先輩をつけろ」

雷騎が壱樹の頭を押さえつけながら言った。

「壱樹、そいつら2人には先輩をつけなくても良いのじゃ。私のことはちゃんと先輩をつけて呼んでいるからな」

真歩乃は自信満々にそう言った。

「そうなの?」

光雅は依采に聞いてみる。

「うん。真歩乃ちゃんのことは竜村先輩って呼んでるよ」

「何で?」

今度は壱樹に聞いてみる。

「まあ、竜村先輩は歳の差ありすぎて流石に」

「おい!俺たちもお前より歳上だぞ!」

雷騎は怒鳴った。

「お前、歳上には敬意を払った方がいいんじゃない?先輩ちょっと怒ってるよ」

光雅は壱樹に言ってみたが、壱樹にはスルーされてしまった。

まあ、こいつ先生も呼び捨てだからな、と光雅は思った。

「まあ、いいじゃん。壱樹は俺らの方が下だと思ってるから先輩つけたくないんでしょ。それとも、俺たちが君を先輩呼びした方がいいのかな?壱樹くん」

「どっちでもいい」

宝の煽るような言葉に壱樹は間髪入れず答える。

「相変わらずクールやなー。まあ、いいや。今日は俺が数学を教えるから教科書開いてくれる?あ、光雅くんは教科書まだもらってなかったよね?新しい教科書先生にもらってきたからこれ使って」

光雅は宝から教科書を受け取った。

「私らは何をすればいい?」

「真歩乃と雷騎も1年の範囲わすれてるでしょ?一緒に授業聞いときな」

そうして宝による授業が始まったが、三年2人が「わからんのじゃ!」や「どうなってるんだ!」などの言葉を一々口に出すので、全く授業に集中できない。光雅はもちろん数学を初めて習ったので何一つ理解できなかった。壱樹はいつも無表情なのだが、今日は怒りの感情を露わにして3年を睨んでいる。依采も最初は笑っていたが、だんだん呆れ顔になってきた。

「この2人すごい邪魔なんだけど」

壱樹が耐えきれず立ち上がって、真歩乃と雷騎を指差しながら言った。

「邪魔とはなんじゃ!」

「敬意を払え!敬意を!」

「いや、払えるかよ」

壱樹の態度に真歩乃と雷騎は文句を言ったが、壱樹は2人を睨みながら言い返した。そのとき、ガラッとドアが開いて和勝が入ってきた。

「和勝、何でこいつらが先生代理なんだ」

和勝はむかつく相手である壱樹に文句を言われ、少しイラッとしたが、事情を聞くと流石に壱樹の方が正しいと思ったのか、3年に説教をするために連れて行った。

「壱樹すごい怒ってたな」

光雅が小声で依采に言った。

「まあ、壱樹くん真面目だからね」

「俺もこれ授業になってなくね?ぐらいには思ってたけど」

「私も」

キーンコーンカーンコーン

授業の終わりのチャイムが鳴った。この日の授業はこれで終わりだったので、3人は自分の部屋に戻った。はじめに依采と別れ、壱樹とも別れるとき、光雅は聞きたかったことを思い出した。

「あ、そうだ壱樹。光の球体を作る訓練って1日どれぐらいやればいいの?」

そう聞くと、壱樹は少し顔を顰め、

「多分。どれだけやっても無理だから諦めて和勝のとこに行った方がいい」

え、3日やれって言ったのは何だったの、と光雅は思ったが、まあ、壱樹が無理だというなら無理かもしれない、とも思った。

「じゃあ明日和勝先生のとこ、行こうかな」

「明日はやめたほうがいい。五大光家の集まりがあるから、僕も和勝もいかないといけない」

「そんなのあるの?ちょっと何話してんのか気になるな」

「気になるなら見にこればいい。見つからなければ文句は言われないだろ」

「そりゃ見つからなかったら文句の言い様もないだろ」

「そうだな。僕は部屋に戻るよ」

「おう。またな」

光雅と壱樹は別れ、それぞれの部屋に戻って行った。



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― 新着の感想 ―
[一言] 依采ちゃんがズバッと言うところが面白い!
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