光闇戦線17
十七、参樹たちの頼み
「まずね、光雅が見つけてきた石、調べてみたんだけど、闇の力を帯びてることがわかったの。多分、あの石を持った闇獣は闇の力が上がるんだと思う。オイラたちの闇獣も持ったら力上がってたし」
「なるほど。やっぱりただの石じゃなかったんだな。俺、結構凄くね?」
「うん!凄いと思う!だからさー、凄い光雅にはお願いがあるんだけど」
「何?」
「あの石、いっぱい集めて欲しい!」
「え、別にいいけど、集めて何に使うんだ?」
「オイラたち、三つ子だって言ったよね。オイラと壱樹以外にももう一人いて、弐樹っていうんだけど、そいつの魂が封印の術を受けて、魂が機能しなくなっちゃったんだよね」
「封印の術って何だっけ?東雲家?が使うやつだろ?闇獣にしかしないんじゃないのか?」
「オイラたち、闇獣だからね」
「?壱樹もなの!?」
「ううん。壱樹は違うよ。オイラと弐樹だけ」
「??どういうこと?同じ体なんだろ?」
光雅の頭の中にたくさんのはてなマークが飛び交う。
「光力とか闇の力とかはね、魂に宿ってるの。壱樹の体には三つの魂があるから、その魂ごとに持ってる力が違うんだよ」
「あー確か和勝先生も光の核は普通魂にあるとか言ってた気がする。闇の力も同じってことか」
「うん。まあ光雅がよく戦ってた闇獣は光雅の闇バージョン的な感じで体が闇でできてるんだけどね」
「あ、そうなの。参樹たちは違うの?」
「うん。オイラたちは光の能力者たちの闇バージョン的な感じ。闇の能力を持ったただの人間だよ。あ、でも闇の神様から色んな能力を与えてもらったらしいからな〜、ただの人間とはちょっと違うかも」
「あんまりよくわからんけど、弐樹ってやつが封印されて、それを解きたいんだな?」
「うん!」
「それと俺が見つけた石とどんな関係があるんだ?」
「あの石には闇の力を上げる力があるから、それを使って弐樹の力を上げられれば自力で封印を解けるんじゃないかって思ってるの!」
「なるほど」
光雅はそこで少し考え込んだ。光雅自身は壱樹や参樹が悪いやつだとは思わなかったが、闇獣が人を苦しめていることもわかっている。そして、ただで手伝うのはちょっと嫌だなー、という考えも少しはあった。
『おい、参樹。お前、新野と何話してるんだ?』
「あ、壱樹が起きた!」
「壱樹が起きた?」
「うん。さっきまでは寝てて、話は聞いてなかったの」
『お前、どこまで話したんだ?』
『うーん。ほとんど全部!あ、でもどうやって一つの体に魂が三つ宿ってるのか、とかはめんどくさいから話してないよ。オイラ、光雅に闇の石、探してって頼んどいたよ。今、返事待ち』
『あんまり勝手なことするなよ』
「参樹!全然聞こえてないけど、今、壱樹と話してる?」
「うん。話してるよ」
「じゃあ壱樹と代われる?」
「わかった」
参樹は返事をして一度目を瞑った。そして、すぐに目を開けた。そのときには光雅がよく知っている無表情の壱樹がいた。
「お、もしかして壱樹になった?」
「ああ。参樹に色々聞いたんだってな」
「うん。お願いも聞いた!」
「で、どうするんだ?協力してくれるのか?」
「お、壱樹も結構俺に協力して欲しいと思ってる?」
「まあ、参樹も僕たちのことを考えて動いてくれてたみたいだし、話してしまったことはどうしようもないからな」
「なるほど。俺の答えは、協力してもいいけど、ただは嫌だ。だから、俺が光の使徒ということにして話すけど、お前が予言で言ってた協力者になってくれよ」
「あーあれか。お前、結局盗み聞きしてたんだな」
「まあな」
「協力者って何をすればいいんだ?」
「わからん」
「…まあいいや。じゃあ、新野は僕たちのために闇の石を探す、僕はお前の協力者になるってことでいいんだな」
「おう!それで頼む」
協力関係になった光雅と壱樹はそれぞれの部屋に向かった。まだ夜は明けていなかったので、二人は部屋に入り、すぐに眠りについた。