光闇戦線14
十四、初任務
光雅はまた辺り一面金色の世界に来ていた。またあの金髪の女の人が光雅に話しかけてくる。
「光雅、あなたはね、――を見つける力に長けているの。――を探すのが、あなたの一番の任務。絶対に全部見つけてね」
――のところは何を言っているのかわからなかった。光雅はもう一度言ってもらおうと女の人に声をかけようとした瞬間、金色の世界が離れていく感じがした。
*****
光雅は目を覚ました。目の前には自分の部屋の天井がある。
(あれは何だったんだ?夢だったのか?)
光雅は先程の金色の世界のことを考えた。が、昨日和勝に言われた任務のことを思い出し、すぐに支度を始めた。支度が終わった頃に、インターフォンが鳴った。光雅がドアを開けると、二条壱樹がいた。
「お、壱樹じゃん。おはよ」
「おはよう。新野、これ渡しとく」
壱樹はそう言って小さな板のような四角いものを渡してきた。
「何これ?」
「スマホだ。知らないか?」
「知らない。何に使うの?」
「連絡を取り合うために使うんだ」
「へぇ。大事そうだな」
「まあ便利なものだ。簡単に使い方を教えとく」
光雅は壱樹にスマホの使い方を教わった。光雅は何となく連絡の取り方を覚えることができた。
「使い方、わかったか?」
「何となく!」
「じゃあ任務行くぞ」
「依采は?」
「先に任務の場所に行ってる」
光雅と壱樹は任務の場所に向かった。向かったところには和勝と依采がいた。
「和勝先生もいるんだ」
「まあ、光雅は任務初めてだろうし、依采も戦闘の経験が少ないから、何かあったときのためにな。早速始めようぜ。今回の任務は獣型A級の闇獣一体と獣型B級の闇獣一体だ。光雅と依采は二人でB級の相手をしろ。壱樹は一人でA級倒せるだろ」
光和勝の指示通り壱樹はA級の闇獣のところへ、光雅と依采はB級の闇獣のところへ向かった。B級の闇獣は白鳥のような姿をしていた。
(よし、昨日話していたやつ、やってみるぜ!)
光雅は部屋から持ってきたナイフで手首を思いっきり切った。
「えっ!何で急に自傷し始めたの?病んでるの?大丈夫?」
「違う!俺の戦闘方法を考えたの!俺の血、光でできてるらしいから」
「どういうこと?」
「いや、俺にもよくわかんないんだけど。とりあえず、この血を動かせるか試そう」
光雅が血を動かすイメージをすると、血は光雅のイメージ通りに動いた。
「あっ!操れる!これならいけるかも」
光雅は自分の血で球体を作り、それを闇獣に向かって放った。球体が当たると、闇獣はダメージを受けたように苦しみ出した。
「効いてるみたいだよ!」
「よっしゃ!上手く行った!…だけど血、めっちゃ流れてくるだけど」
「でも傷口は塞がっていってるように見えるよ。ちょっと深く切りすぎたんじゃない?」
「だよな。やばいかも」
「ちょっと待って何で傷塞がっていくの?こんなに早く治るなんてありえないんだけど」
「俺はすぐ治るのが普通だと思ってたよ。この前までは。ていうか、何とかしてくれよ。お前の力なら何とかなるんじゃないの?再生光…?ってやつでさ」
「あ、そうか」
依采が再生光を使うと、光雅の怪我が治り、傷が塞がった。
「おお!治った!」
そのとき、白鳥の闇獣が激しい風を起こし、光雅と依采は吹き飛ばされた。
「闇獣の存在忘れてた。まだ完全には倒せてないんだった」
「もう一回、腕切ってやっつけてよ。切りすぎても私なら治せるから」
「わかった。けど、ちゃんと浅く切るようにするよ」
光雅は今度はナイフの刃を少しだけ手首に押し当て、血が出てきたらナイフを離した。光雅は傷口から出た血を操り、もう一度球体を作った。それを闇獣に放ったが、今度は避けられてしまった。
「くそ!当たらなかった!」
「そんな単純な攻撃じゃ当たらないよ!」
依采にそう言われたので、今度は先程の球体より小さい球体を何個も作り、四方八方から球体を放った。全部は当たらなかったが、何個かの球体は闇獣に当たり、闇獣は倒れた。光雅は倒れた闇獣に向かってもう一度一つの大きな球体を作り、それを放った。倒れていた闇獣は避けることができず、その球体に当たり、消滅した。
「よっしゃ!倒せた!」
「やったー!私何もしてないけど。あ、そういえば傷は塞がってる?」
「うん。浅く切ったからもう完全に治ってる」
「へぇ。光雅くんってただの人間じゃないんだね」
「ああ。もう人間かどうかも怪しいレベルなんだけど。光でできてるとか」
「光雅くんってもしかしてあれ?光の使徒?」
「俺も全然わかんねー」
「あ、壱樹くんももうそろそろ終わってるはずだけど、全然こっち来ないね。壱樹くんの方見に行ってみる?」
「そうだな」
光雅と依采は壱樹が向かったところへ歩き始めた。