光闇戦線13
一三、新たな技
「先生、それってどういうことなんですか?」
「やっぱり自覚なかったか。俺がお前が光でできてると思い始めたのは初めて会ったときだ。お前の腹を切り裂いた闇獣の爪が欠けていた。普通の人間の体ならただ切られるだけのはずだ。それに、斬られたお前の腹がお前が寝ている間に自然に治っていた。普通の体だとしたら治るのが早すぎる」
「え、怪我って寝たら治るもんじゃないの?」
光雅がそう言った瞬間、和勝と右大が揃って目を丸めて光雅を見た。
「え、違うの?」
「違うに決まってんだろ」
「そうなんですか。全然知らなかったなー」
「…君、変だね。光でできてるかはわかんないけど、君はおかしいということはわかったよ…」
「えー」
「だろ、右大。だから俺はこいつが光の使者じゃねぇかと思ったんだ」
「…どうするんですか?…光雅くんのこと、五大光家にいうんですか?」
「いや、それはまだ言わねぇ。光の玉も持ってなさそうだし、本人が自覚無かったら何もできねぇだろ。変にこいつが期待されても嫌だし、言わねぇでおくよ」
「…そうですか。あ、僕、今日任務なのでもう帰ります。左紀ちゃんには会議見てたこと黙っててくださいね…」
「おう」
右大は自分の寮の部屋へと帰っていった。
「あ、先生。俺、先生に聞きたいことがあったんですけど…」
「何だ?もしかして光の球体の威力が出ないことか?」
「え、何で知ってるの?壱樹に聞いたとかですか?」
「いや、あいつには聞いてねーよ。俺の予想が正しければ球体じゃ威力が出ないと思ってたんだよ」
「予想?」
「ここで立ち話するのも何だから俺の部屋に行こうぜ」
光雅は和勝に連れられて和勝の部屋に行った。
「俺の予想っていうのはな、普通は能力者の魂に光の核があって、そこから光の力を外に送って力を使っているんだが、体が光でできているお前は細胞の一つ一つに光の核があるんじゃないかってことだ。そしてその細胞の一つ一つにある光の核は体を作るのに光粒を使っているから体の外に出せる光粒は少なくて、球体を作っても威力が出ないんじゃないかと思ったんだ」
「なるほど。だから、光力を纏わせる方は威力が出たのか。あれは纏わせた光の力じゃなくて、俺の体を作っている光の力だったんだな」
「多分そうだ。だからお前はその光でできた体を使って戦った方がいいってことだ」
「じゃあ近距離攻撃しかできないってことですか?」
「血とか操れれば遠距離攻撃もできるんじゃねーか?多分血とかも光でできてると思うし」
「…貧血になりそう」
「怪我はすぐ治るのに貧血にはなるのかよ。怪我が治るのと同じ原理で貧血もすぐ治るんじゃねーのか?」
「いや、わかりません。貧血になったことないので」
「じゃあ、そもそも血を操れるかもわかんねーし、物は試しだ。明日は初の一年三人の任務だ。そこで試そうぜ」
「わかりました!」
光雅と和勝はそれだけ話し、光雅は自分の部屋に戻った。今日はもう何も用事がなかったので、光雅はすぐに寝ることにした。