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01:胡散臭さ全開

黒羽(クロバネ)ルイ様おめでとうございます!

ダンジョンマスターに選ばれました!

素敵な特典が盛りだくさん!

<<<こちらをタッチ>>>




 胡散臭い広告みたいなメッセージは見るに堪えないけれど、どうやら私はダンジョンマスターというものに選ばれてしまったらしい。

 私が知る限りのダンジョンは、有名RPGに出てくるような、モンスターやトラップが溢れていて、勇者がボスを討伐しに来る場所だ。そこのマスターということは完全に悪役。おめでとうと祝われるには、あまりに似合わない称号に思える。

 そもそもついさっきまでは家のベッドで寝ていたはずだった。大きな地震に驚いて飛び起きてみれば、目の前に『ダンジョンマスターに選ばれましたー』なんて、企画者がいるならナイスサプライズ。ドッキリ大成功だよ。

 とにかく状況を把握するために、辺りを歩いてみる。灯りもないので手探りで恐る恐る進んでみれば、4歩ほど進んだところで壁に触れた。


 「あったかい・・・」


 人と触れ合っているかのような温もりが部屋の壁から確かに感じられる。ざらざらゴツゴツとした土っぽい感触。私の細腕でも頑張れば崩せるかもしれない。


 「えいっ!」


 腕に力を込めて思いっきり叩いてみたけれど、かけら一つも落ちなかった。どうやら掘って脱出は難しいらしい。

 仕方がないので壁をたどり部屋を回るがこの部屋には何もなかった。床を這ってみたり、ジャンプしても何もない。灯りがあれば何か見つかったのかもしれないけれど、出口すら見つからないなんて。


 「もう残すはこれだけだね」


 現状を打開できる唯一の可能性。目が覚めてからずっと部屋の中央で存在感をアピールしてくるメッセージだ。


♡黒羽ルイ様おめでとうございます!

ダンジョンマスターに選ばれました!

素敵な特典が盛りだくさん!

<<<こちらをタッチ>>>


 これで何も起こらなかったら詰みかなぁ、なんて不安を感じながらメッセージに触れる。






 瞬間、私は周囲に染み渡った。






 いや、私は確かにさっきまでの場所に立っている。ただ同時に『私の中にいる存在』として私を感じられる。自分の指をどう動かしているのか説明できないけれど、そこにあることはわかるように、感覚的に理解できた。

 さっきまで暗闇だったこの部屋のこともよくわかる。ここはダンジョン最奥の部屋。扉を開こうと思えば私の意思で作り出すこともできそうだ。人であった時とは明らかに違う感覚に、嫌でも自覚させられる。


 私、ダンジョンマスターになったんだ。

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