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詩集

あの日見た銀杏

作者: 翠泉

 窓のない空気がこもった陰鬱とした部屋の隅

 いつものように天井を見上げ、いつものように空想に耽る

 いつか空を飛ぶ夢をみる

 夢を追いかけた少女からの手紙を片手に


 感じられなくなった四季の感動

 それでも感じたい何気ない日常の雰囲気

 愛おしい人が遠ざかっていくのに、手をふり返すことすらできなかった

 胸に去来した虚しさは未だ満たされない


 鮮やかな色をつけ始めた花びら

 吹き荒ぶ風はいつのまにか止んでいたようだ

 君が去って行った方角へひたすらに走り続ける

 気づけばたどり着いたのはあの日誓い合った銀杏の木の下


 世界には自分の居場所がない

 だから、耳を塞いで目を閉じ、眠りについた

 だが、それは間違っていた

 自分が居たい場所がただわからないだけだった

 


 塞いでいた耳には大地を踏みしめる音を

 閉じていた目には宝石のような星空を

 深い眠りには煌びやかな祭りを

 諦めた君にはもう一度夢を



 いつも私の世界にはあなたがいる

 それなのに君は全てを偽りだと言う

 愛なんて幻想で妄想だと言う

 そして自身が孤独だと言う


 そう言って何事からも逃げようとする

 それならば私が書いているこの詩は何なの

 君が静かに背中を押してくれたあの日の手の温もりは何なの

 ねぇ、答えてよ

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