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第2話

 少女と老人と女王様


 1


 「やー新人さん」

壁の向こうからややどすの効いた年老いた声が語りかけてきた。

 「………………………」

少女は、まだ状況が呑み込め無いのだろうか沈黙したままだった。

 「うーーん 君は、どこから連れて来られたんだい?」

少女は、依然として沈黙したままだった。

 

 少女は、


 組織に余程酷い仕打ちを受けたのだろうか


 拉致された時、悲惨な出来事が会ったのか


 刑務所の様なこの環境に戸惑っているのだろうか


 少女は、心に深い傷を負っているようだった。


 只解ただわかる事、それは昨日の晩に連れて来られた時に聴こえた20代なかばの女性の声と、彼女を呼ぶ1582とう番号だけだった。


 「うーん そうだ! 私とした事がとんだ失礼をした。」


 「?………………………」


 「自己紹介がまだだったね、私はビーストと呼ばれていてね此処ここで研究者として働いていてね、ちょっとした行違いで捉えられてしまったんだよ まったく話の解らない奴らは、これだから困る。」

 冗談ぽく軽やかに話した。


 「!!!!…………」


 「此処で何を研究していたかと言うとだね………」


 「₤₦₩㏍₯₥₪₢₡₢€₮‰₨₤₧₫₭㏍Å㏄£¢$₪₯㏄㏍‰」


 少女は、声にならぬ声を発しせきを切ったよに話しだした。


 「あああぁぁぁぁぁ お前が お前が お前がぁぁぁぁ  お前のせいでぇぇぇぇ お父さんもお母さんも街の皆もお前のせいでぇぇぇぇ 」

 

 少女は、絶叫にも似た心の叫びを吐き出した。


 『やはりな、当たりの様だ、例の街のか』

老人は、眉を曇らせた。


 「逆らった人は、見せしめに殺されたわ」

 「お父さんともお母さんとも離ればなれ、これからどうなるのよ」

 「ああああああぁぁぁぁぁぁ」

 少女は、今までの事を洗いざらいしゃべりつくして、不安で心細い気持ちが抑えきれなくなったのだろう。

 少女は、突然、悲鳴にも似た声で号泣し始めた

 『あの研究が始まってしまったようだな』

 老人は、黙って熟思を始めた。



 二日目


「1582出ろ」

施設職員は、事務的に少女を呼び扉を開けた。


 ガチャガチャギィィィィィーーー


 少女は、施設職員が開けた扉を沈黙のまま通り抜けた。


 ギィィィィーーーバタンガチャガチャ

 カツン カツン カツン カツン


 静まり返った施設内に音が響き渡り、やがて消えていった。


 3


 カツン カツン カツン カツン カツン カツン

  カツン カツン カツン カツン カツン カツン

カツン カツン カツン カツン カツン カツン


複数の音が、この部屋の扉の前で止まった。


 カチャン


施設職員が小窓を開け、此方こちら

覗きこみ


 「博士、面会です」

施設職員は、敬意を評し問いかけた。


 「ああ 構わんよ」

老人は、拒否する事は出来ないし、拒否する事で職員も困る事が解っていたので、力無く答えた。


 「感謝します。」


 カチャン

施設職員は、小窓を閉め扉を開けた。


 ガチャガチャギィィィィィーーー


 扉が開きそこには髪の長い長身の女性が一人、軍帽を斜めに被り士官の軍服を羽織り革のライダーパンツを履き左に変な形の剣、右にトゲトゲの茨の鞭を腰から下げて立っていた。その両隣には、軍服を着た職員2人が護衛のために立っていた。


 「やー ドクタービースト久しぶりだねー」

真ん中に立っている髪の長い長身の女性が、にこやかに語りかけてきた。


 「やー 久しぶりだねクイーン、また一段と胸が成長した様だね」

囚人服に身を包んだ老人が、疲れた声で返した。


 カツカツカツカツ ボゴッ

 「何か言ったかい」

クイーンは、Dr.ビーストの頬を横薙ぎに蹴り上げそのまま仁王立ちしあごをしゃくって言った。


 ペッッーー

Dr.の口の中は、またたく間に血の味が拡がっていった。

 「んつーー あ痛たた、荒れてるな クイーン………… で、何のようだ」


 カツ カツ カツ

クイーンは、ゆっくりとDrから離れながら話し始めた。

 「そう、その通り 我々にとってもDrにとっても非常に重要な事だ。私の名誉とDrの命がかかっている。とても大事な話だ、きっと有意義な時間を過ごせるわ」

ようようと歩きこちらに向き直った。


 Drは、口元の血を拭い余裕たっぷりの顔で言葉を吐いた。

 「君たちの非人道的な研究にはもう飽きてしまってね退屈この上ないよ、それとも何かね私を拷問するかね、私の体力では情報を聞き出す前に死んでしまうだろう。それとも脳から直接に情報を引き出すかい、辞めておいた方がいいと思うがね。そんな事をしたら複雑で難解な専門用語で溢れたデータが暗号の様に抽出され、それをこうにも私が廃人になってしまう危険性が有る非常に難しい選択だ。まぁ簡単な情報なら良いのだろけれどもね。今まで通り三食昼寝付きのこの待遇がお互いの為だと思うがね」

 

 クイーンは、目を細め顎をしゃくりしばらく沈黙し………ニヤリと笑った。

 「確かに、それも一つの考え方ね。でも、我々も只無駄に時間を費やしていた訳では無いわ、多くの尊い犠牲とたゆまぬ努力によりそう遠く無い未来に研究が成功するかも知れないわね。そうしたら貴方は用済みよ せめて命の有るうちに協力した方が、お互いに平和的な解決だと思うわ」


 Drは、おどけて

 「君たちは悪趣味な人間改造など辞めて、もっと身体を鍛えて肉体改造をする事を薦めるよ 健康的に」


 クイーンは、余裕で

 「アハハハ 悪趣味はお互い様だ。 そうだろ、動物・人間兵器の第一人者 Drビースト また来るわ。 気が変わったら何時いつでも言ってちょうだい。我々は、何時でも歓迎するわ」

 言って、クイーンと施設職員達は部屋を後にした。


 『そろそろかも知れないな』

Drは、深くため息を吐いた。


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