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〈――幕間、その二――〉
ベラと名乗った時から、私は正気を失っていた。
あの人はよく私のブロンドの髪を誉めながら、よく手を絡めて梳いてくれたわ。
その愛しい髪を私は短剣で切り落とし、裏切った狼たちを殺す。
自分でももう、どうしてこんなことを、しているのかもわからない。
真実を見せられて、もう、やっていることに意味がないこともわかっている。
それでも、悔しかった。
蒼き狼は私の体を内側から、焼き尽くそうとしている。
なら、お前の愛し仔たちを皆、道連れにしてやるわ。
私の髪で神経を。
愛しい人の亡骸で骨を。
狼の死骸で血と肉を。
私だけを守り、私の恐れるものを殺して――愛した人。
「ああ、愛しい人」
予想外のこの副産物に私は狂喜した。
本当はこれがあやまちだと理解している。