tutorial「雨天の決闘」
※注意※
この作品は、今まで代表作のなかった自創作キャラクター達にスポットライトを当てる目的で作られました。
ので、他作品や他の作者様の作品と比べると、痛々しい部分がある可能性があります。
ご了承ください
並びに、この作品は某太陽アクションRPGの影響をかなり受けた作品になります。
一応、リスペクトやオマージュのつもりで書いていますが、問題があれば報告をお願いいたします。
………………
その日は、雨が降っていた。
風も吹いていた。
荒れた天候の中、戦いは続いていた。
方や少女。
方や少年。
模擬戦闘用の剣を持ち対峙する二人は、同じ父親を持ってはいたが、生まれてきた母親は別人である。
その為、少女がオレンジ色の髪をしているのに対し、少年は黒い髪をしていた。
ただ、深紅の瞳が輝く目だけが、二人に血の繋がりがある事を物語る。
「………はあっ!!」
少年が動いた。
雨で濡れた大地を蹴り、剣を構えて少女に突っ込んできた。
「はあっ!」
「ぐっ!」
少女は、少年の叩きつけた剣を、自らの剣で受け止める。
何発も何発も、少年は剣撃を浴びせる。
防戦一方だった少女だが、次の瞬間、彼女は動いた。
「………やあっ!」
足払いをするように、少年の下方目掛けて蹴りを放った。
対する少年は、飛び上がってそれを回避する。
だが。
「やーっ!!」
「ぐううっ!!」
そこに、少女は剣を叩き込んだ。
少年は自らの剣で受け止めるも、飛び上がっていた為踏みとどまる事が出来ず、そのまま吹き飛ばされてしまった。
「ぐううっ………!」
落下の直前、なんとか少年は体勢を立て直す。
だが、これで状況は最初に戻ってしまった。
再び、少年と少女は睨み合う。
二人の戦力は、拮抗を保っていた。
判断力、スピード、パワー。
その全てが、性別の差すら感じられない、互角なのだ。
それもこれも、二人の身体を流れる「血」によるものだろう。
………だから、だろうか。
この戦いに………本来なら、正々堂々と行われるべきであるこの戦いに、「少女の方を勝たせたい」と願う者達が、根を回していたのは。
「………こ、の………!」
少年の剣が、雨に濡れた刀身が、鈍く輝く。
そこに、勝者にのみ与えられる「立場」と、認められる事への渇望。
………そして、これまで育まれてきた、少女への少しの嫉妬心を込め、少年は剣を握った。
「負けるかァッ!!」
再び、少年は剣を構えて突っ込む。
そして今度は、少女も動いた。
向かってくる少年に対抗するかのように、少年向けて駆けたのだ。
「これで終わらせてやる!」
「こっちだって!」
少年の剣が、少年の身体を流れる「血」に反応し、光を放つ。
対する少女の剣も、同じように「血」に反応し、こっちは太陽のように光輝く。
二つの刃がぶつかろうとした、その時。
………もし、この段階で二人の内どちらかが、すぐ側に川が流れているこの場所から離れたか、「少女を勝たせたい連中」の企みに気付いていれば、別の未来があったかも知れない。
「な………ッ!?」
突如、少年の足場が崩れた。
濡れた大地を蹴った瞬間、彼の立っている場所が、川に目掛けてずるりと崩落したのである。
「ああっ!?」
「うわああっ?!」
崩れた足場と共に、降雨により激流と化した川目掛けて、少年の身体は落ちてゆく。
少女は咄嗟に、剣を放り投げ、少年に向けて駆けた。
「お兄ちゃん!!」
落ちてゆく少年に向け、少女は手を伸ばす。
届いてくれと、祈りを込めて。
そして………………。
………………
遠い、遠い昔の話。
まだ、剣と魔法が人々にとって身近だった時代。
今「貴族」や「王族」が、その力を持って人々を守っていた時代。
長きにより、人々は闇の魔力により産み出されるモンスターと、それを率いる「魔王」によって脅かされてきた。
そしてその驚異は、ついに人々を………人類と呼ばれる種を絶滅寸前にまで追い込もうとしていた。
窮地に陥った人々は、神々の教えに従い、最後の希望をかけて「勇者」を召喚した。
………この「勇者」に関しては、年端もいかぬ少年だったとも、山のような大男だったとも云われているが、どれが正しいかは今も明らかになっていない。
ただ、こことは別の世界から呼び出されたという事だけは、共通している。
そして激闘と冒険の果てに、勇者は魔王を打ち倒した。
そして、人類とモンスターの………光と闇の永きにわたる戦いの歴史は、幕を閉じた。
………そして、気の遠くなる程の時が流れた。
時に「聖紀末」。
勇者と魔王の戦いが、古のお伽噺として語れるようになった時代。
人々が闇の恐怖を忘れた時代。
そんな時代に、新たなる「闇」の驚異が迫っていた………。