↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
22/80

さんのに 誘導尋問

サトリさんは警察ではよく取り調べを担当していたらしい。その事件を担当している人がするものだと思っていたけど、まあ確かにサトリさんの能力には向いているのかもしれない。彼女の前では嘘を言っても心に映る本当を聞き分けるのだから。

 佐々木さんも帰ったあと、覚(かく)聡美ことサトリさんは事務所のソファを一つ占領してふんぞり返っていた。

 「やからウチのことは単に『サトリ』でええって。」

 「単に整理のためで……というか心を読まないでください!」

 サトリさんは声を出さずに手を上げるだけだった。代わりに、

 「そや、ウチは緑茶がええな。淹れてくれる?」

 ゼンチさんの方を見ると面倒そうに僕にあごで指示する。まあ了解。


 全部で四人分の飲み物を用意しようとお湯を沸かしているとゼンチさんがやってきた。

 「そんな茶葉出さないでいいから。こっちのにしなさい。」

 「え、でも。」

 それは僕用の、インスタントな奴だ。

 「どうせ分かりゃしないわよ。きっと気にしない、の方が正しいか。ともあれ。」

 まあバレてもいいならいいか。ゼンチさんの言うことだし。そんなわけでサトリさんのお茶は僕と同じものになった。

 「それで、ゼンチさんは何しに来たんですか?」

 ゼンチさんはなにやら言いよどんでいる風だ。やかんが笛を鳴らす音とともにようやく口を開いた。

 「『読心』は制御出来ないの。周りの心の声が無差別に聞こえる。出来るのは注目するかしないかだけ。」

 「それって……うるさそうですね。」

 大変そうだと思ったのを言ったんだけど、ゼンチさんはちょっと呆れてる様子だった。

 「やっぱり変わってる。ともあれ、変なこと考えないようにね。アキラにはもう言ってるけど。」

 「変なことというと?」

 「私とアキラの……とにかく変なこと!」

 考えるなと言われて考えないようになるほど簡単なものではないけど、まあ努力はしよう。


 飲み物を持って応接間にもどる。ようし、考えない、考えない。と思ってたらサトリさんが部屋に入るなり吹き出した。先に戻っていたゼンチさんがまた睨んでくる。

 「あんた、素直やって言われるやろ。」

 「……どうですかね。変わってるとは言われますけど。」

 何の話かよく分からないけど、ともあれ三人に飲み物を渡す。

 「どうぞ。」 

 「あんがと」「サンキュー」「ん」

 座る場所がないので仕方なくサトリさんの隣に座る。

 「なんやこんな美人捕まえて仕方ないやって?」

 「普段はお客様の向かいにに座るんです。」

 まあ、確かに黙っていれば整った顔立ちだとは思う。ともあれすごい自信だ。

 「黙っとればっちゅうんはご挨拶やな。まあええ。」

  また耳元に顔を近づけて来る。三度目ともなるとちょっと慣れてきた。

 「アンタあのゼンチっちゅう子と付きあっとるんか?」

 ……危うくお茶を吹き出すところだった。

 「な、な、何を。」

 「いやー、なんや知らんがこそこそ内緒話しとったやろ?」

 なんてことを言うのだ。そもそもゼンチさんはゼンノーさんのことが――「わふっ!」

 向かいからクッションが投げられた。ゼンチさんがこっちをめちゃくちゃ睨んでる。右を見ればサトリさんがめちゃくちゃニヤニヤしている。

 あ、しまった。考えが漏れたのか。

 「へぇー、なるほどなぁ。ほぉーん。そういうことか。いやー、そっちの兄ちゃんからはなんも聞けんかったからなぁ。」

 サトリさんの反応にゼンチさんの顔はどんどん赤くなっていく。

 「大丈夫か?」

 心配するゼンノーさんを止めてコーヒーを飲もうとしてむせて結局ゼンノーさんに介抱されてる。可哀想だけど、むせてる間は余計なことを考えないで済むだろう。なんだかすみません。

 「な、な、何しに来たのよあなたは!」

 鼻息荒くゼンチさんはようやくそれだけ絞り出した。

 「何しにか……遊びに?」

 「帰って。」

 「待って―な!その、似たような能力をもっとる人がおるっちゅうから会いに来たんや。」

 どうもそれっぽい話だ。ゼンチさんの方もちょっと厳しい顔が緩んでいる。

 「まあいいわ。それで、いつまでいるつもり。」

 「そやなぁ……ちょっとは楽しんだけどもうちょい具体的な話も聞きたいな。」

 「いいわ。ただ、相談料はいただくけど。」

 ゼンチさんの言葉に頷いて、サトリさんはゼンチさんと握手をした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。