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きみと6月の雨  作者: 藤井 頼
第二章
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17話 後悔と我慢

時計を見るとすでに23時をこえていた。やばい、まだこの書類終わってないのに……ボールペンを取ろうとしたら手に力が入らずそのまま落としてしまった。


菅原さんが近づいて来てボールペンを拾ってくれる。


「あ、ありがとうございます」


お礼を言い顔を上げると、大きな手のひらが私の耳元を触る。


「す、菅原さん?」


私は咄嗟のことに驚いて固まってしまった。


「やっぱり、熱があります」


「え?」


「ほら耳の下熱くなってるでしょ? ここが一番はかりやすいので」


と私の手をとり耳元に当てる。自分ではイマイチわからないが、確かに午後から少し寒気がしていた。


「今日はもう帰ったほうがいいです。残りは引き継ぐので」


「でも!」


「……明日もまだ仕事あるんで、今日はもう帰って寝て治して来て下さい。明日休まれる方が大変なので」


そう言われると何も言い返せず、菅原さんに残りの書類をお願いする。


「菅原さん、ありがとうございました」


お礼を言い帰宅を急ぐ。最寄りの駅に着く頃には頭がガンガンして冷や汗が出てきた。あと少し……最後の余力を振り絞りアパートのエレベーターへと乗った。


エレベーターを降りるとドアの前に人影が見えた。恐る恐る近づくとそこにいたのは一馬くんだった。


「か、一馬くん?」


しゃがみ込んでいた彼は立ち上がり、私に近づくと抱きしめようと手を伸ばした。私は先日の八神さんとの事を思い出し、彼の身体を止めた。


「ご、ごめん」


ごちゃごちゃと言い訳をしている自分が見苦しくどうしようもなくなる。するとそんな私を気遣い彼が抱きしめ話を聞いてくれる。


私は何もかも話すと、それでも彼は私の気持ちを優先させてくれる。仕事や八神さんのことで張り詰めていた緊張が彼に会ってようやく楽になれた気がした。


「仕事、大変?」


「うん、でもまた一馬くんとこうして話が出来るようになったから、どんな仕事でも頑張れそう」


「でも、熱あるんだから今日は薬飲んで早く寝る」


ずっと会っていなかったのと体調不良から、少し離れがたい気持ちになる。それを察してか寝るまで手を繋いでいてくれると言ってくれた。


「……一緒に寝たら早く治る気がする」


そう言って彼に甘える。普段そんなこと口が裂けても言えそうもないのに、熱のせいか不安がなくなったせいか今日は少し自分でも大胆だと思った。


「熱なんだから大人しく寝る!」


少し照れながら彼が私を布団に押し込む。


「一馬くんも……お願い」


そうゆうと観念したのか、盛大にため息をつき私の隣に横になった。久しぶりに近くで見る彼の顔は、少し照れたような怒ったような顔だった。


「……一馬くん、好き」


そんな彼が無性に愛おしく思え思わずキスをしていた。


「っな!! こっちは熱出した彼女目の前にして色々耐えないといけないんですけど?」


「ふふ、風邪はうつすと早く治るってゆうでしょ?」


「……そんな誘惑には負けません」


私が怒ったふりをすると彼が申し訳なさそうに話す。


「一週間大変な奈央のこと放っておいたこと、すごい後悔してるの。だから早く治して元気になって。そしたら俺、これでもかってくらい奈央を抱くから」


目を閉じて寝たふりをする彼の胸に頰を寄せた。


「ごめん、早く治すね」


そうゆうと彼が私を優しく抱きしめた。

そろそろGWも半分切りました。

10日も長いとか言ってたけど、本当にあっとゆう間だな。

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