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きみと6月の雨  作者: 藤井 頼
第二章
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令和元年SP☆真田×蒼井

なかなか書く機会がない、真田の恋バナです。

明日からGW合宿が始まるが、今日もナイターで練習をしていた。


「真田くん、そろそろあがったら? 明日朝早いよ」


「……あぁ」


蒼井に片思いして3年。これといった進展は全くない。それもそのはず、当の蒼井は高校時代から橘一筋。俺の入る隙なんてどこにもないわけで。


そっけない俺の態度が気にかかったのか、蒼井が近づいてきてグローブの手入れをしている俺の隣にしゃがみ込んだ。


「何かあった?」


まぁ、何かあった? と聞かれても、いつものようにただの嫉妬だ。答えようのない質問に適当に返事をした。


「……いつものこと」


蒼井は何かを察したのかそれ以上詮索はせずに、ただ俺の作業が終わるのを隣で待っていた。


「終わったから帰る」


「そっか、じゃ私もこれ片付けたら帰るね。お疲れ様」


そう言ってタオルの入ったカゴを抱えると立ち上がった。


「……えっと、真田くん?」


「え?」


気がつくと無意識に蒼井の腕を掴んでいた。蒼井が振り返る。


「まだ練習足りなかった?」


何食わぬ顔で俺にそう質問する蒼井の目に、俺は全く恋愛対象として映っていなかった。何だか無性に腹が立った。


俺は蒼井を抱きしめたい衝動に駆られる。このまま俺の腕に閉じ込めて二度と離れられないようにしてやりたい。


「……真田くん?」


しかし、その真っ直ぐな瞳に見つめられると、嫌われたくないと言う感情が先に立ちそれ以上行動には移せなかった。俺は蒼井を掴んでいた手を離す。


「あ、いや、もう遅いし俺送ってくわ」


「え? でも方向真逆だよ?」


「……うん、そっちに用事」


「用事? どんな?」


珍しく蒼井が根掘り葉掘り聞いてくる。


「……ちょっと」


「ちょっとって?」


「まぁ、色々」


「色々って?」


あー、面倒になってきた!


「あ、蒼井が心配だから送ってく! 用はそれ!」


「ふふ、最初からそう言ってくれればいいのに。いつもほんとのこと言ってくれないんだから。じゃ、校門のとこで」


初めからその答えが分かっていたように、蒼井はその答えを聞くとグランドから出て行った。何だかしてやられた感満載で俺はその場にしゃがみ込んだ。


「はー……」


どうゆうことなんだ? 蒼井は俺の気持ちに気がついてるのか? いや、そんな素振り一切見せていないはず。


「だー!! 考えてもわからん!!!」


とりあえず今日は蒼井を送っていくことができる。早く帰る準備しないと。俺はグローブを掴むと足早にロッカールームに向かった。

相変わらずの真田。不器用で一途、個人的に好きです。

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