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きみと6月の雨  作者: 藤井 頼
第二章
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12話 待ち合わせ

蓬莱さんから伝言を受け取って噴水広場に向かう。6年前って言ったらまだ伊東さんは本社勤務だったはず。伊東さんったら私と待ち合わせ出来なかったらどうするつもりだったの!? そういえば蓬莱さんは待ち合わせの相手が伊東さんだってすぐわかってたけど何で?


噴水広場に行くとすでに伊東さんが待っていた。


「お待たせしました! ありがとうございます。って伊東さん、金時計は6年前に撤去されたって聞きましたよ!」


「そや、そないなこともあったな。はい、忘れた私物」


伊東さんから手帳の入った紙袋を受け取ると、蓬莱さんからの伝言を伝える。


「昔話で私の気を引こうなんて100万年早いわよ! だそうです」


「やっぱ、気づいたか」


少し可笑しそうに話す伊東さんは穏やかに微笑んでいる。なかなかお目にかかれない伊東さんの表情に釘付けになる。


「ん? そんな見つめて俺に惚れたん?」


「ほ、惚れませんよ! 私知っての通り彼氏いますから」


「三崎さんって、ほんま真面目すぎ。別に彼氏おったって惚れるんはしゃあないやん? それにあんま彼氏と上手くいってないんやない?」


「なっ!」


でたエスパー伊東!!


「だってほら、目の下にクマが……」


そう言って伊東さんが私の頬に手を添え、目の下を指でなぞる。私は何が起こっているのかわからず咄嗟に身を引いた。


「じょ、冗談はやめて下さい!」


「冗談なわけないやん……俺は三崎さんの才能をかってるんや。いっつも理解されへん恋愛なんて辛いだけやし、俺なら君のこと公私ともに理解してあげられるで。せやから、俺と付きおうてや」


「はい!?」


いつもって、伊東さんは私の何を知ってるわけ!?


「ちょっとは俺のこと意識してくれた? とりあえず今日はそれをゆうついでに忘れたもん届けただけやから、また連絡するよ」


「ちょっ、ちょっと伊東さん!」


伊東さんの背中に呼びかけるが、ひらひらと手を振って行ってしまった。今まで普通に仕事場の上司だった人からの告白なんて、『はい、そうですか』なんて素直に受け取れるはずもなくモヤモヤとした気持ちが増殖していく。


でも伊東さんは冗談ではないと言った。考えれば考えるほど意味がわからい。私たちの間に好きになる要素なし、タイミングなし、てっきりバイトのめぐるちゃんといい感じなんだと思っていたのに。


「はああああ」


盛大なため息をつくと背後で笑いをこらえる声が聞こえてきた。ふと振り返ると、少しも変わらない八神さんの姿がそこにあった。


「な、なんで八神さんが!?」


「……何でって、今日は約束の日でしょ? 奈央のことだから今の彼氏に気を遣って来てくれないんじゃないかって心配で来てみたんだけど……声かけづらくてね」


いつから見られてたんだろう? てか会話聞かれてた!?


「やっぱり奈央は今でももてるんだね」


「いや、私今までもてたことなんて……」


すかさず否定する私を見て八神さんがおかしそに笑う。


「そっか、僕と付き合ってたときは近づく男を片っ端から牽制してたから気づかなかったかな? 社内でも奈央のこといいって言ってるやつは結構いたんだよ」


こうやって何気ない話をしていると、あの頃に戻ったみたいに心が揺れてしまう。


でも私には一馬くんがいる……んだよね?目の前の八神さんを見てあの頃を思い出すと、気持ちをしっかり伝えられないことに不安が拭えずにいた。

ようやくGWです!初日、一日中ソファでグダグダしてしまいました。明日から活動するぞー!残すところあと9日(^^)

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