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きみと6月の雨  作者: 藤井 頼
始まりの雨
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24話 将来のこと

伊東さんと話してから、昔のことを思い出すことが増えた。ずっと憧れていた編集の仕事について毎日がすごく充実していたあの頃。


「何であんな大手のとこ辞めて、ただの書店員になったわけ?」


伊東さんの質問に適当に答えることが出来なかったのは、伊東さんも同じ編集の仕事に携わる人間だったからなのか…。


「三崎さん、大丈夫ですか?今日もしかして体調悪かったですか?」


しまった。今日は一馬くんと出かけているのに、何余計なこと考えてんの。


「ううん、ごめん。ちょっとだけ考え事してただけ。」


一馬くんが心配そうに私の顔をのぞく。


「もしかして動物とか苦手でしたか?」


「そんなことないよ。動物園とか久しぶりだけど、小さい頃は家族でよく行ったし、すごく楽しみだよ。」


今日は一馬くんからの誘いで動物園に行くことになったのだ。最近は仕事か休みの日は雨を理由に家に引きこもっていた。久しぶりの外出で気分転換出来たらと思っていたのに、昔のことなんて考えていたら元も子もない。


最寄り駅で待ち合わせをして動物園に続く並木道を2人並んで歩いている。一馬くんと付き合ったら、こんな風に穏やかで充実した日々が続くのかな。ふと一馬くんの横顔を見ながらそんなことを考えた。


「そういえば、三崎さんはどうして四つ葉に就職したんすか?俺も今年 二十歳はたちなんで色々将来について考えないといけなくて、参考までに。」


「え?私の話なんて聞いてもつまんないよ。それより一馬くんは律くんと一緒でプロの話も出てるって聞いてるよ。プロなんてほんとすごいよね!」


「プロの話は自分でも実感ないんですけど、まだどうなるかはわかんないんで。」


一馬くんがプロ野球選手とかになったらほんと雲の上の人になっちゃうんだろうな…。自分で言っておいて少し寂しさを感じた。


「あの、俺もしプロになったとしてもそれ以外の仕事についたって、三崎さんが寂しい思いをしないように努力しますよ!」


「え?」


「あー、いや、一応言っておきたくて。将来のことはまだわかんないけど、三崎さんが俺の彼女になってくれる日がくるかもしれないんで。」


ちょっと恥ずかしそうに半歩前を行きながらそう話す一馬くんが愛おしいと思えるほどには、私の気持ちも『付き合う』ことに前向きになっている。


「じゃ、チケット買ってきます。」


「あ、いくらだったっけ?」


「いいです。今日は俺から誘ったし、これくらいは出させてください。」


そうゆうと一馬くんはチケット売り場の列に並んだ。列の辺りは人が混み合っていたので、少し離れたところで一馬くんを待つことにした。スマホを取り出し動物園のHPを開いた。エサやりやふれあいイベントも開催されているようだった。


「奈央?」


後ろから聞き覚えのある懐かし声に呼ばれた。その声を聞いた瞬間、昔のことが一気によみがえって胸が締め付けられた。


「奈央、だよね。」


もう一度呼ばれ、恐る恐る振り返るとそこにはもう会うことはないと思っていたあの人が立っていた。

年始インフル、ただ今細菌性胃腸炎となんだか優れない平成31年です。つくづく健康第一だと実感しています。


さて、一馬の将来の話が出ていましたが本人はどんな選択をするのか?奈央とのこれからにどう影響してくるのか?


そして、最後に現れた謎の人物。今後の展開に大きく関わってくること間違いなしです!

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