表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
きみと6月の雨  作者: 藤井 頼
始まりの雨
12/51

12話 練習試合

ふと、一馬くんと話している子と目があった。しかしこちらの視線に気づくとすぐに一馬くんに向き直った。


面影がどことなく従兄弟の律くんに似ていた。律くんに会ったのは親戚の結婚式で彼はまだ15歳だった。あどけない笑顔が頭をよぎったが、今の彼とは雰囲気がまるで違った。私の気のせいかな…と思っていると、一馬くんと話していた彼がこちらに駆け寄ってきた。


「やっぱり、奈央姉じゃん!」


「もしかして律くん??」


金網越しに見る彼は、5年とゆう月日の経過を実感させた。あの頃はすごく懐っこい感じが犬みたいだなーなんて思ってたっけ。


「…はぁ〜。まさか橘が言ってた『本屋の女』が奈央姉だったとは。後で話聞かせてもらうからな!」


そうゆうとグラウンドに戻って行った。一馬くんと律くんが私に話しかけてきたことで、少なからずチーム内がざわついているのがわかった。


「何かかなり注目されてるな。特にあの辺りから。」


康介が指差したところでは、野球部の女子マネの子たちがヒソヒソと話している。ゔ!可愛い子たちがたくさん。こんな可愛い子たちに囲まれて部活やってるなんて!!


アップが終わると試合が始まった。野球を見たことのない私でも、一馬くんや律くんのすごさは伝わってきた。


「で、もう1人のイケメンは?」


「ちょっとその言い方!あの子は真田律(さなだりつ)っていって私の従兄弟。」


「とゆうことは一回り年下の従兄弟のチームメイトを好きになってしまったと。」


「そうゆうことになりますね…ははは。」


律くんがマウンドに立って、一馬くんがボールを受ける。キャッチャー姿の一馬くんは私の知らない真剣な表情で、試合をリードしていた。その姿や表情に、私は彼にどんどん惹かれていっているのがわかる。


「いいバッテリーだな。」


試合は東利大の圧勝に終わった。試合が終わると、キャッチャー姿のまま一馬くんが近づいてきた。


「一馬くんおめでとう!すごかったね!」


「ありがとうこざいます。もしこの後時間あれば、ご飯食べに行きませんか?もちろん康介さんも。」


康介を見ると


「いいよ。近くにおススメの店があるから、18時集合でいいかな?場所は奈央に連絡させるから。」


「わかりました!着替えてから向かいます。」


で、何でこうなった?小洒落た居酒屋の席には私、康介、一馬くん、律くん、女子マネの子が1人。き、気まずい…。


「俺たち学部も部活も一緒で、だいたい3人で行動する事が多くて。三崎さんには紹介しときたくて連れてきました。真田と蒼井です。」


それまで黙っていた律くんが康介につっかかった。


「奈央姉、そっちの男は?」


「こんばんは。俺は奈央の幼馴染の佐伯康介だよ。よろしくね。」


私が言う前に康介から自己紹介をした。さすがそうゆうことには動じない康介はきっと色々な修羅場をくぐってきたに違いない。


「ちょっと待って、奈央姉って?真田は三崎さんと知り合いなのか?」


「従兄弟だよ。最近は会ってなかったから最初わかんなかったけど、奈央姉またキレイになったな。」


「律くん、大人をからかわないの。律くんこそすごくかっこよくなってて最初わかんなかったよ!」


「よく言われる。」


こうゆう部分は昔とあまり変わってないなと懐かしく思った。


「とりあえず何かドリンク頼もうか。俺は運転あるから烏龍茶で。奈央はビールでいいよな。大学生組は?」


「俺、ビール。」


「律くんももう二十歳(はたち)なんだね〜。」


「俺はまだ未成年なんでジンジャエールで、蒼井はいつも烏龍茶だったよな?」


「うん。ありがと。」


一馬くんが紹介してくれたアオイさんは小柄で女の子って感じの守りたくなるタイプだった。しかも、一馬くんもアオイって名前呼びするくらいだから、きっとかなり仲もいいのかな?なんて少し気持ちがもやもやするのは大人気なくヤキモチを妬いているからだ。


康介が輪を取り持ってくれたおかげで、みんな楽しく交流を深めることが出来た。昨日は緊張してなかなか寝られなかったからか、今日はお酒が早く回ってきた気がする。


「橘くんたちも試合で疲れてるだろうし、奈央、そろそろ帰ろうか?」


気を利かせてか康介が声をかけてくれた。すでにお会計も済ませてあり、こうゆう立ち振る舞いは感心させられるばかりだ。康介が車を取りに行っている間に律くんがやたらと絡んできた。


「奈央姉はあの男とどうゆう関係?」


「ただの幼馴染だって。それ以上でもそれ以下でもないよ。」


「でもあの男はそう思ってないんじゃないの?」


「そんなことあるわけないじゃん。」


一馬くんもいるのに変なこと言わないでよ!そうこうしてるうちに康介の車が着いた。車から降りると助手席のドアを開けて私に乗るよう促した。


「まるで、お姫さまだな。」


康介の行動を見て律くんがもらした。


「もう、何言ってんの!律くん酔いすぎ。…あの、今日は誘ってくれてありがとう。」


3人に挨拶をして車に乗り込む。1日の疲れがどっと来たのか、車が走り出して5分と経たないうちに深い眠りに落ちていた。

客、幼馴染の次は従兄弟、律でした。

一馬と律と蒼井の一方通行三角関係に、奈央と康介が入ってまたまた微妙な人間関係が出来てきました。


そして康介の相変わらずのスマートさに、大学生組は手も足も出ない!?


次回は律の恋愛?の話の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ