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贅肉魔法物語 ~そこは、体脂肪率が魔力の強さに直結する異世界でした~  作者: 御手々ぽんた


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カレー、カレー、カレー。それは幸せの反復。

 カレーはさすがの実力を発揮している。

 作るそばからあっという間に無くなる人気ぶり。

 作ってくれている方々も交代しながら食べているようだ。


(隠し味で、砕いた黒飴入れたからマイルドになったわ。食べやすい。だが、俺は辛口派。自分用に辛口のも作って貰わねば。)


 そんなことを考え、俺も片手間にカレー粉を魔法陣で出しつつ、しかし、スプーンを口に運ぶ手は止まらない。

 誰よりも食べていると自負。


「昔の偉い人は言った、カレーは飲み物。」


 俺のそんな呟き。


「至言」


 ミレーナがボソッと答える。


(雑談に答えたよ、この子!?)


 俺は驚きを顔に出さないように、カレーと共に飲み込む。

 よく見ればミレーナの前に盛られたカレーも俺に負けない速度で消滅している。


(くっ、こんなところに伏兵がいたとは。うかつだった!)


 俺はスプーンを握る手に力を込め、食べる速度を上げかけるが、危うい所で押し止める。


(待て待て、待つんだユタカ。今一番大切なことはなんだ。早食いや大食いの動画を撮ってるんじゃない。ましてやカレー愛を誇示する事で満たされる自尊心のために早食いして、カレー様を味あわないなんて、冒涜だ。)


 俺は一つ、ぽんっと腹を叩き目をつぶって気持ちを切り替える。


(俺がいて、カレー様がいる。他はすべて些事。カレー様に真摯に向き合い、心から味わい尽くす。俺がすべきはそれだけ。)


 俺は心を新たにし、目を開く。

 ちょうどミレーナがおかわりしている。


「あっ、俺もおかわり! 特特盛りで!」


 さっきまでの自省はどこかにぶっ飛び、結局、爆速で食べ、おかわりを頼んでいた。



 そんなこんなで、俺の作るカレー粉はどんどん町の各所に運ばれ、カレーが量産されていく。

 まさにカレーテロ。町中がカレー臭くなった頃、郡都のお偉いさんから使いの人が来る。

 使いの人もどこかでカレーを食べたらしい。口の周りにカレーをつけながら、郡都の城への召喚の要請を伝えてくる。

 畏まった様子が、口許のカレーで台無しだ。


 俺は食べ足りなかったが、仕方ないので行くことにする。


「とりあえず、ミレーナは道連れ決定。」


 思わず漏れる本音。


 無言のまま、ミレーナがじとっとした目を向けてくるが素早く視線をそらす。


 すぐにモレナとラキトハも来て、四人で郡都の城へ向かうことにする。


 道すがらそこかしこでカレーの炊き出しがされ、皆が幸せそうにしている姿が目にはいる。


(お、あれは鶏肉のカレーだ!後で俺のカレーと交換お願いしてみよ。)


 俺が提供しているものに肉がないので、場所場所で様々なアレンジが急速に広がっているようだ。


 俺はうんうんと頷きながら、おにぎりを取り出して、歩きながら食べ始める。


 モレナが聞いてくる。


「塩むすびですか?」


 俺は一口食べて、断面を見せながら得意気に答える。


「カレーの具がインしているのさ。」


 カレーのフレーズに反応したミレーナが首をぐりんと音がしそうな勢いでこちらを見てくる。


 俺は無言で持っていたもう一つをミレーナにあげる。

 無言で受けとるミレーナ。そのまま食べ始める。


 確かに俺はこの瞬間、ミレーナと何かを共有した気がした。


「そう、強いて言うならそれはカレーなる絆。」


 俺がそんなことを呟いているのを、首をフリフリモレナが肩を竦める。

 何故かラキトハもじっとこっちを見ているので、もう一つ隠し持っていたカレーの具にぎりをラキトハにも差し出す。


「いくつあるの……」


 そんなモレナの呟きが聞こえた気がするが、構わずにラキトハに差し出す。


「妾は結構。」


 言葉少なに断るラキトハ。

 しかし、目はカレーの具むすびから離さない。

 ゆっくりそーっとカレーの具むすびを左右に動かすと、釣られるようにラキトハの目線が動く。


 思わず、ふっと笑ってしまう。


 ラキトハに睨まれる。


「悪い悪い、笑ってすまない。お詫びにこのカレーの具むすびをあげるから」


「はぁー。わかりました。もらってさしあげましょう。」


 文句を言いつつ、しかめつらしい顔。だが、実は美味しそうに食べているのがわかる。


「全く、おにぎりばっかり。」


 そんな呟きを背に、城が見えてきた。





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