200文字小説集 vol.2 線香花火(200文字小説) 作者: 日下部良介 掲載日:2018/08/25 未だに暑い日が続いているのだけれど、暦の上では秋が始まっている。 けれど、頬を伝う風にはそんなにおいも感じられる。 「夏も終わりだね」 そう言って遊び忘れた花火を持ち出してきた彼女。 線香花火に火をつける。 「終わらないで…」 何に願をかけたのか、彼女の手が震える。 その刹那、オレンジ色の球が離れて行く。 「あっ…」 彼女の瞳に悲しみの色が浮かぶ。 「大丈夫だよ。僕は離れないから」 笑みを浮かべる彼女がとても愛おしい。