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青春が終わりました

初心者で素人な文章ですが、ゆっくりと書いていきたいと思っています。

誤字脱字があると思いますが温かい目で見ていただけると助かります。

ご指摘がありましたら、その都度直していきたいと思っておりますのでお願いします。

 

 夢や、やりたい事を19歳にもなってひとつも無いのはおかしいだろうか。趣味と言えば軽くゲームをやるくらいなのだがそれは趣味と言うのかも疑問だ。そんな俺は高校を卒業して、夢もやりたい事もないため大学へと進学することに決めた。


みやび!!!支度できたのー!!?」そう母さんが1階から叫ぶ声が聞こえる。


 桜が舞っているこの季節。今日が大学の入学式なのだ。

 新しいスーツに袖を通し、部屋の隅にある全身鏡の前に立つと雅は意味もないキメ顔を何度も決める。


「はあ…マジで俺ってばイケメン過ぎ」

「きもっちわる」

 バッと部屋のドアへと顔を向けると絶賛反抗期の妹が、実の兄に悪態とゴミを見るような視線を向けてくる。昔は素直な良い子でどこへ行くにも「お兄ちゃんと一緒に行く!!!」と言いながら後ろをついてきていたのに、数年でこんなにも人間変わってしまうものなのか。

「昔は可愛かったのにな」つい心の声が口から漏れてしまっていたのか、妹が蔑むような視線と唾を勢いよく吐き出し、「くたばれ」そう一言残し去っていった。勿論、俺はガタガタと震えていた。わけでもなく「妹はツンデレ」と勝手に認識していた。


 再度、雅は鏡で身なりと荷物を確認し1階のリビングへと階段を降りると妹と母親の声がキッチンから聞こえ朝ごはんを食べるために気にせず椅子に座る。


「ほら!あんたも高校の入学式なんだから早く支度しちゃいなさい!」

「…わかってる」

「全く、お兄ちゃんとマイペースなのはそっくりね」

「私に兄なんていません」

 突然の俺の存在否定発言に驚き、食べていたトーストで咽せ、慌てて横にあった牛乳が入ったコップを手に取り飲む。


「酷くない!?ツンデレもここまで来たらお兄ちゃん泣くよ!!!!?」

「ああ?」

「ナ、ナンデモナイデス」

 ドスの効いた声とギロリと今にも人を殺しそうな目で睨まれたら誰だってそう答える。


「あ、雅の入学式は母さんたち行かないからね。千夏ちなつの入学式の方に行くから」

「んーそれは別にいいけど。」

「遅刻しないで、ちゃんと余裕を持って家を出るのよ?」

「わかってるって」

「家を出るときはちゃんと鍵閉めて」とまだまだ続きそうな話を遮るように千夏が思い切り音を立てながら椅子から立ち上がり、「もう行こう」とカバンを持ち出て行った。慌てて母さんも支度をして出て行くのを手を振り見送った。


「俺もそろそろ行くか」

 食べ終えた食器を片付けてから、歯磨きと最終ヘアチェックも完璧にこなし、俺も鍵をかけ家を出た。


 青春を謳歌するのもこの大学で最後か。

 約三年間で夢とか見つかるだろうか、いや見つけて輝きまくりの楽しい大学ライフを…送ってみせる。そして、彼女も作りまくりのライフにしてやる。最高な計画だ。


 駅まで歩いているニヤニヤと気持ちの悪い雅の顔をすれ違う人たちが気味悪がっていることに気づき、すぐさま咳払いをし平常心とポーカーフェイスに切り替える。


 中高生くらいの子達だろうか、チラチラと自分を見ている(気がする)。

 自慢ではないが幼稚園児の頃からモテている。人生でモテ期は三回来ると聞いたことがあるが、俺は常に来ている。常に春が来ている。見た目は一級。学力は人並みだが、料理や家事等もまあまあできる。

 完璧な人間を作るなんて神様もおイタが過ぎるぜ。


「お!雅じゃん!はよっすー」

 駅に着き、改札を通っている時に、横から話しかけられる。

「おう、みっちー」

 みっちーは中学からの男友達だ。今年の春からも同じ大学に通うが学科が違うからきっと高校の時ほど連みは少なくなるだろうな。

「楽しみだな、大学生活」

「だな!ところで雅はサークル何入るか決めたか?」

「いや、色々見て回ってから決めようかなって」

「そっかー、だったら一緒に見に行こうぜ!」

「おっけ」

 話しながら俺と同じ電車に乗るのであろう人たちの後ろにみっちーと並ぶ。

「そう言えば、高校一年の時クラスが一緒だった春瀬(はるせ)って奴覚えてるか?」

「春瀬…?」

「なんだよ、覚えてねえのかよ?春瀬優香(ゆうか)。お前が適当に付き合って振った女だぞ」

「すまん、覚えてないわ。つかいきなりなんだよ」

 珍しく俺の付き合っていた女の話をするみっちーに困惑する。


「いや…何にもされてないならいいけど、ストーカーみたいな事してるらしい」

「はあ?誰のだよ」

 笑いながらそう聞くと、みっちーの顔がどんどん曇っていく。

「…お前だよ、雅」

「え…」

「…なーーんてな!!まあ噂で聞いたんだけどよ!!!ビビったか!ハハハハ!!!」

「ふざっけんな!!!!ビビらせやがって!!!」

 みっちーの背中を思い切り叩くと、笑いながら謝ってきた。

「まあ、雅に泣かされた女数えてたらキリねえしな」

 確かに、名前すらも覚えていないのだ正確な人数なんてわかるわけがない。女の子は大好きだが、歩けば話しかけられたり、来るもの拒まず、去る者追わずを信条にしている俺は覚えていない。

 我ながら最低なクズ野郎だと思うが…


「俺は罪だな…ふっ」

「お前何言ってんだよ、キモいぞ。なんでこんなやつがモテるのか謎」

「うっせ!!!」


[まもなく一番線に電車が到着いたします]


 ホームにアナウンスが流れ始める。


[黄色い線より後ろの位置にお立ちください。]


 そのアナウンスと同時に俺にドンっと誰かが思い切りぶつかってきた衝撃に顔を歪ませる。ぶつかってきた奴を見る前に脇腹に激痛が走った瞬間、俺の体がその場でゆっくりと倒れていく。


「雅!!!!雅!!!!」

 うっすらと目を開けるとみっちーが泣き叫んでいる。その少し離れた横で駅員に取り押さえられている女が喚いている姿が視界に入る。痛みが走った所を抑えていた手を見ると真っ赤な液体で濡れていた。何が起きているのか全く状況が掴めない中、みっちーが名前を叫ぶのを聞きながら俺の意識はそのまま真っ暗闇へと落ちていったのだった。

最後までありがとうございます。

ご感想やアドバイス等ありましたら気軽に頂けると、とても助かります。

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