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Be Free 〜翼竜の物語〜  作者: 森 日和
マランバの日々
9/48

初授業日!

教室に入るとすぐ、私は周りの視線を独り占めした。教室にいる誰もが、私を異物でも見るかのような目で見ていた。苦しむファラを見た後だから、周りの目線がとても怖かった。私は席に着くと、そのまま寡黙を貫いた。

「みなさん。こんにちは!」

シュクジン先生が元気よく教室に入ってきた。相変わらず似合わない黒布を纏っているし、相変わらずカッコいい。でも、今の私は素直に喜べない。

「じゃあ、竜学科特別授業を始めます!」

授業が始まった。すると

「みんな、机を引っ付けてください!」

と、シュクジン先生が大きな声で言った。私たちは机を縦にして、四人一組になるように机を引っ付けた。男子二人、女子二人が向かい合った。

「明日は広場で竜指導の訓練です。その時はこの四人で活動してもらいます!分かりましたね?」

シュクジン先生の呼びかけに

「はい!」

と、生徒たちは勇ましく返事した。見ると、私よりも若い子たちばかりだ。

「では授業を始めます。四人で自由に授業を受けても勿論良し!ただサボりすぎると後で自分に乗っかってくるからね」

「はい…」

私も、返事してみた。



授業は“竜の種類”や“最近史”についてだった。

現状、マランバ王国は隣国のムガル帝国とバチバチの敵対関係にあり、実際戦争中である。マランバが誇る“竜騎兵”とムガルが誇る“科学技術”がしのぎを削っており、その戦局は互角を通り越して“安定”と表されることもしばしばあるという。なるほど…何処かで聞いたことのあるような話だなぁ、と解釈できたので、“最近史”はすんなりと頭に入ってきた。


続いて“竜の種類”である。

竜には“蹂、盾、翼”の主に三種類がある。


蹂は圧倒的攻撃力や敏捷性、組織性によって相手を蹴散らすことを目的としており、水辺や平野、密林や山間地帯などでも作戦を遂行できる最もスタンダードな竜である。


盾は蹂よりも攻撃、防御共に上回るが、敏捷性や小回りは利かない。平野では圧倒的な強さを誇るが、密林や山岳地帯ではそのノロマさゆえに蜂の巣にされてしまう。


翼は空を飛ぶ竜の事で、プティもこれに入る。主に索敵に長けており、物見として最適の竜である。これだけ聞けば、プティは索敵しかできないしょうもない竜だが…それはともかく、以上が、第一回授業で習った内容である。


シュクジン先生の怒涛のマシンガン授業、計二時間は、私に時の経過を忘れさせてくれた。午後三時…あっという間に授業が終わった。



「あの…フィーさんですか?」

授業が終わってすぐ、隣の男の子が私に話しかけてきた。

「うん、そうだよ」

「あの…」

男の子は何かを言いたそうなモジモジしている。手振りがどんどんと激しくなって、唇がガクガクと震えている。

「どうしたの…熱?」

「い、いやその…」

私は男の子の額に手を当ててみた。すると、男の子は「ひぃ!」と変な声を出して、あろうことかその場で失神してしまった。


私は何もしていない。信じられない出来事だった。

「え…嘘ぉ⁉︎ちょっと…なんで泡吹いてるのよ⁉︎」

私はこの男の子を保健室に連れて行くことに決めた。ちょうど保健室に行こうとしていたところだ…ついでに運んでやろう。


シュクジン先生の授業は、この物語の基礎となる部分ですので、復習は欠かさないようにしないといけません。

テストに出ますから。

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