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拒絶の妖術師(ソーサラー)  作者: 大西 けんや
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卒業試験!一回戦!

俺は、学校のグランドで木刀片手に立ち尽くしている。

それは雪が「話しがあるんだけど」と言われたからだ。


「話し?なんだ?」


俺はすかさずそう聞く。

もう卒業試験も迫ってきてるっていうのに、今更なにがあるんだ?

もしかして、なにかの作戦でも立てているのか?

そんな事を考えていると、雪が話しだした。


「あなたはだいぶ強くなったけど、まだ異能は使えない。正直言って勝てるわけがないの。だからあなたは何もしないでくれる?私が1人で戦うから」

「え?そ、それはさすがに危ない!そりゃ俺はまだ異能は使えないけど、手助けぐらいはできると思う!」

「あなたの為にも言ってるの!もう誰も傷つけたくないから……」


雪はそう言って帰ってしまった。

誰も傷つけたくないか…。

やっぱりあいつも何かあるんだな。

わかってはいたけど、最近は自分の事だけしか考えてはいなかった。

どうにかしてやりたい。

そう思うけど、今の俺には何もできないのが事実だ。


「よし!できるだけ頑張るか」


あんな事まで言われたんだ。

あいつも俺と同じ考えだから。

卒業試験までに異能を使えるようにしなければ。

俺は夢中で木刀を振り続けた。



___そして、卒業試験一回戦当日。


「くそ!間に合わなかった…」


俺はあれから2日間1人で特訓していたのだか、異能の力は使えないまま…。

結局、雪に言われたとおりにやるしかないのか…。

いや、それはダメだ!危険すぎる。

卒業試験の勝負の判定は、どちらかが戦闘不能にした方が勝ちっていう、シンプルな勝敗だ。

ルールとしては、禁忌とされている力らしいのだが、詳細は俺は知らない。

会場につくと、そこには本格的なバトルコロシアムみたいな感じで、ちゃんと観客席まである。

次々と他の人たちが勝敗を決めていく。

いよいよ俺たちの番だ!


「前にも話したけど、あなたはじっと見てるだけでいいの、わかった?」

「あ、あぁ」


俺はまだ納得はしてないけど、とりあえず様子を見ようと思う。

木刀を持ち、向かった。


「続きまして!須藤、村田ペアVS氷堂、七辻ペアです!」


そうスピーカー越しに司会者の声が聞こえた。

俺たちは一礼をし、戦闘態勢に入る。


「それでは、始め!」


開始の合図だ。

すると、雪は勢いよく、走り、相手に向かっていった。

さすが雪、ものすごく早い。

それは相手も思ったのか、力負けをし、一撃をくらう。

もう1人、村田も攻撃態勢に入るが、暗唱途中で雪の攻撃をくらう。

そして、最後に雪の属性、氷の異能で、戦闘不能。


「はい!そこまで!」


試合終了の笛が鳴るとともにそう言われた。

俺は呆然とし、雪を見ていた。

まじかよ、こいつ……。

どんだけ強いだよ!瞬殺じゃねーか!


「ほら、いくわよ」


俺は雪にそう言われ後をついていく。

本当に俺いらねーじゃん。

勝負に負けた2人は、担架に運ばれていった。


「お前大丈夫なのか?」

「大丈夫よ、私なにも攻撃わ受けてないから」

「そか、それならいいんだけど」


いらない気遣いだよな。

しかし、1人で戦うっていうから心配にはなる。


「二回戦は明日だから今日はもう帰るわ」

「……わかった」


俺は呼び止める事なく、雪は会場を出ていった。

本当にこのままでいいのか?

そんな事を思いながら。

そういえば、琢磨(たくま)とつかさはまだだったな。

俺は1人会場に残り、2人の勝負を見ていた。

やっぱあいつらも強いな。

しかし、琢磨のペアは負けてしまった。

相手ペアは学年のナンバーツーとナンバースリーだそうだ。

そりゃ仕方ないよな…。

俺は2人が出てくるのを待ち、一緒に帰る事にした。


「くそーー!!負けちまった!」

「まぁ仕方ない、相手ペアが強すぎたな」


琢磨は大声でそう言ってきたので、慰めにもならない言葉を言った。


「まぁそうだよな!でもまだチャンスはある!今から特訓でもしてくわ!」

「え?い、今からいく___……」


俺がそう言いかけた時には琢磨は走って行ってしまった。

1人になりたいのかな。


「あんたは無事に二回戦突破ね」

「俺は何もしてないけどな」


「それもそうね」と笑いながらつかさが言ってきた。


「でも次の相手は気をつけた方がいいわよ、確か___」

「近藤、南野ペアだ」


つかさが言いかけたとこで、俺が答える。

俺だっていろいろ調べてるんだ。

何も出来ないからせめてこういう所は役に立ちたかったからな。

まぁほとんど意味ないんだろうけど…。


「そう、特に近藤には気つけた方がいいわ」

「ん?そんなに強いのか?」


俺の情報だと、雪なら勝てる相手だったような…。

けど、頭は超いいらしいがな。


「いや、強いとかじゃなくて、氷堂さんに何か恨み?みたいな事があるって噂で聞いた事があるから」

「恨み?なんだよそれは?」

「私も詳しくは知らないわよ、まぁ忠告だけはしといてあげる」


そう言って寮の前に着くと、「それじゃあね、頑張りなさいよ」と言って帰っていった。

俺も今日は帰って寝るとするか。

それにしても近藤の事が気になる。

雪に恨み?まぁあいつは誰とも仲良くしようとしないやつだし、成績も優秀だから何かそういう事で恨みでもあるんだろうか?

一応頭には入れておこう。

明日は二回戦、雪にばっかり負担をかけないように、頑張るか。



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