仲良くしたいんだけど…
___朝、携帯の着信に目が覚める。
「もしもし?まだ寝てたの?今から朝練よ!すぐに着替えて寮の前にきてね!」
それだけ言われすぐに切られた。
電話の相手は、卒業試験のパートナーになった雪だ。
ってまだ朝の5時半だそ!?
いくら特訓するからって、朝練までやるのか…。
昨日の特訓でまだ痛む体を起こし、クローゼットを見る。
「ジャージまで用意されてる…」
まさかカオリの奴これを予想してたのか!?
まぁ偶然かもな。
そう思いながら、ジャージに着替え、慌てて寮の前に行く。
そこには雪がもう待っていた。
男子寮と女子寮は離れていて、向かい側にある。
「遅いわよ!さっそく走りにいくわよ!」
「あ、あぁ…」
もうなんも言えねーよ。
実際、俺はまだまだ弱いし、こんな事で根を上げてちゃダメだ。
すぐに気持ちを切り替え雪の後に走る。
午前7時頃ようやく終わって、また寮の前まで戻ってきた。
「じゃあ、また学校で」
「はぁ、はぁ…が、学校で…」
めちゃくちゃきついじゃねーか!
走っている時もずっと無言だし、1時間走りっぱなしだし!
あいつは息切れてなかった、やっぱりこれが実力の違いってやつなのか!?
俺は改めて感じた。
寮に戻りシャワーを浴びて制服に着替える。
少し早いが学校に行く事にした。
教室に着き、俺は1人で自主勉強をしていた。
「おはよ、あんた早いわね」
そう言って挨拶してきたのが、つかさだ。
「おはよう、お前こそいつもこんなに早いのか?」
「今日はちょっと早く起きちゃって、自主勉強でもしよーかなって」
「あぁ、そうなのか。ついでに妖の事とか教えてくれよ!」
俺は自分でもあつかましいと思う事を言ったのだが、つかさはそれに答えてくれて、教えてくれる事になった。
「妖の事よね?」
「あぁ、異能の事についてはだいたいはわかったからな」
「妖にもランクがあるのは知ってるよね?」
「それは知ってる!」
俺は自身満々に答えるが、つかさは呆れた顔でされに続ける。
「妖にも色々種類があるの。大きいのから、小さいのまで。特に大きい妖はだいたいランクが高いから」
まぁそうだろうな。
大きかったら強そうだもんな…。
「でも1番危ないのが、人型の妖よ。言葉も喋れるし、知能がものすごく高いの」
「人型!?そんなのまでいるのか!」
「えぇ、今まで見た事ある人は少ないけど」
でも強そうだよな。
人型なんて、異能者と変わらないんじゃんないか?
そうこう話しているうちにクラスメート達がどんどん教室に入ってくる。
そんな中、雪も教室にきた。
「雪!おはよう!」
さっきも会ったのだが、俺は挨拶をした。
朝練の時はずっと無言だったしな…。
「……」
って無視かよ!
本当にこれから大丈夫か?
すると、つかさは俺の肩に手を起き、横に首を振って自分の席に戻って行った。
いや、待て!俺は決して狙っているわけじゃないからな!
そんな心の声が届くはずもなく、授業が始まった。
あっという間に放課後にきてしまった。
またあの地獄の特訓が始まる。
「先にグランドに行ってて」と言われたので俺は1人できた、遅れて雪もきて、さっそく開始。
また素振り100回……。
そんな中、無言も嫌なので少し話しかけた。
「どうして、お前はそんなに卒業試験を合格したいんだ?」
「そんなのあなたには関係ない」
「いや、そうだとしても少しぐらい仲良く…」
「言っとくけど、あなたと馴れ合うつもりはない!私は私はの為にあなたを鍛えてあげてるだけ!」
そう言われ、俺は何も言えなかった。
なんだよそれ。
けど、少しわかる気はする。
きっとこいつにも複雑な理由があるんだろう。
俺がそうなんだから……。
あまり深く聞かないでおこう。
___それから毎日、毎日朝練、放課後の特訓をしてきた。
気がつけば卒業試験まで残り3日。
しかしあっという間だったなぁ。
けど、未だに異能は使えない…。
でも、力はだいぶついたような気がする、雪が言うにはこれも異能の力が少しずつ出てるって言ってたけど。
そして、今日は一回戦の相手が発表される。
卒業試験は三回戦まで勝ち続けたら合格らしい。
全クラス、3組まであるその中でランダムで選ばれるのだ。
そしていよいよ発表。
一回戦の相手は、
「須藤、村田ペアVS氷堂、七辻ペア」
と書かれていた。
「雪、この2人は強いのか?」
一緒に見にきた隣にいる雪に聞く。
「まぁそこそこね、でも私なら勝てるわ」
あ、俺には何も期待してないんだな。
あれからと言うものの何も進展せず、未だに仲良くはなれてないって感じなんだよなぁ。
でも今は勝つ事だけ考えよう。
足を引っ張るのはしたくないしな!
俺はグッと拳を握る。
そして放課後、いつものように特訓しにグランドにきて1人で素振りをしていた。
すると、遅れて雪がきた。
「遅かったな!今日は相手してくれるんだろ?」
俺はやる気満々でそう言うと、雪は真剣な顔で俺を見つめる、
「少し話しがあるの」