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拒絶の妖術師(ソーサラー)  作者: 大西 けんや
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氷堂 雪

朝、カオリが迎にきて車で送ってもらったのだが「ちょっと寄るとこあるから、ここで降りてちょうだい」と言われ1人歩いている。

それにしても暑い…。

さすがにまだ夏休みが終わってるといえ、まだ汗ばむ。

しばらく歩いていると、学校と思わしき建物が見えてきた、そこにはちゃんと異能者育成学校と書いてあったから間違いないだろう。

用意されていた上履きを鞄から出し、履き替えていた時、「きゃっ!」と言う声が聞こえた。

俺はその声のもとに行ってみると、そこには黒色の長い髪でポニーテルの美少女が四つん這いになって倒れていた。

水色のシマシマパンツ…。

そして黒髪美少女は、俺に気づき顔を真っ赤に染めて、叫んだ。


「きゃぁぁぁぁーー!!」


俺は慌てて後ろを向く。

ななな、なんだよ!

こっちが1番びっくりしたよ!


「お、俺は何も見てない、見てないぞ!」


言い訳をしていると、少女は走って行ってしまった。

なんだったんだ?あのお決まりのシチュエーションは?

それよりも、水色のシマシマ…。

ダメだ!もう考えるな!俺はこの学校になにしにきたんだよ!

そう心に話しかけて、気を確かにする。

それから職員に行き、いよいよ教室の前まできた。

け、結構緊張するなー。

そして教室のドアが開いた。


「えー、今日からこの学校に転校しにきた、七辻龍児くんだ」


そう担任の先生に言われ、俺は続いて挨拶する。


「七辻龍児です!お願いしま___」


そう言いかけた時、生徒の方を見て、驚いた。

さっきの黒髪美少女がこのクラスにいる!

俺は驚き固まってしまった。

少女は黙ったまま俯いてしまった。


「七辻君?」


先生にそう言われ俺は我にかえる。


「え?あ!お願いします!」


俺は遅れて挨拶をする。


「えーと、七辻君はなんと、妖術師(ソーサラー)になったそうだ、そこで異能の力に目覚めこの学校に転校してきたそうだ、皆もいろいろ教えてあげるといい」


そう先生が言うと教室は騒めく。

よかった、先に説明してくれて、そりゃいきなり転校なんて驚くからな。

そんな時聞き覚えのある声が聞こえた。


「あれ?もしかして龍児か!」

「え、琢磨?」


俺はもちろん知っている、中学の頃同じで、仲が良かった杉林琢磨(すぎばやしたくま)だ。

特別って感じはなかったけど、普通に喋るぐらいの仲だ。


「まさかお前だったとはなぁー、まぁ仲良くやろーぜ!」


なんて話していると、先生が、


「お?お友達かな?それなら杉林君の隣に座るといい」


そう言われ俺は琢磨の隣に座った。


「俺は異能の事とかまだなんもわかっていないから、教えてくれよ」


俺は席に着くとたくまにそう話す。

そしたら、


「おう!任せとけ!」


と言って親指立て俺に向けてくる。

そんな時。


「そいつに聞いても意味ないんじゃない?」


また聞き覚えのある声、まさか!


「え?浅田!?」


これも中学の頃の同級生、浅田つかさ(あさだ)だ。

相変わらず、金髪に長い髪をひらひらしている。

いわゆるギャルってやつだな。

あんまり喋った事もないが…。


「つかさでいいわ、それよりあんた妖術師(ソーサラー)って本当なの?」

「あ、あぁ、そうなったみたいだな」

「みたいって、これ本当にすごい事なのよ!」

「俺もよくわかんねーんだよ、まだ異能の力もできてないんだし」


そう言うと、呆れた顔をされた。

俺が1番知りたいんだけどなぁ。


「まぁいいわ、どうせこれから一緒なんだし」


まぁそうだよな、俺は気になっていることを聞く。

「あの前にいる黒髪のポニーテルの子とは仲いいのか?」


俺がそう聞くと、驚いた表情で2人とも俺をみる。


「は?あんた知り合いなの?」

「いや、さっき下駄箱で見かけただけで…」

「あ、そう。仲は良くないわ」


つかさはどこか冷めたようにそう言った。


「あの子は優秀なんだ。実技でも勉強でととにかくハイスペックなんだぜー」


ニカッと笑って琢磨が続けた。

へぇー、そんなすごいやつなんだ。


「でも、なんか関わりにくいんだよねー、どこかうちらを見下してる感じがして」


つかさはそう言うと、黒髪少女を見る。


「そういえば名前なんて言うんだ?」

「え?なに?あんた狙ってんの?」

「ち、違う!ただ気になっただけだ!」


なんでそうなるんだよ。

なんか怪しいなー見たい目で俺を見るな!


氷堂雪(ひょうどうゆき)よ。あの氷堂水姫(ひょうどうみずき)の娘」


どこか悲しい目でそう答える。


「氷堂水姫?」

「あんた何も知らないのね!」

「仕方ないだろ!ついこないだまでは普通の高校生だったんだから!」


そんな異能の世界に入った事ない俺だからなにも知らないで当たり前だ。


「氷堂水姫さんは、Sランクだった。でも同じSランクの妖に殺されてしまったのよ」

「そ、そうだったのか…」


少し重たい空気が流れた。

まさかそんな事情があったとは。

俺は少し話題を変える。

「Sランクの異能者って何人ぐらいいるんだ?」

「Sランクの異能者は日本に4人しかいなかったの、今は3人になってしまったけどね」


まじかよ、そんなに少ないのかよ!

どんだけ強いんだよ…。

そんな事を話していると授業が始まり、集中する事にした。

しかしまったくわからない。

まじで何言ってるの?!

わかるとこといえば、異能者には物理型と魔法型があるらしい。

カオリも言ってたとおり、自分に合った使い方じゃないと力が発揮しないのだと。

ほとんどわからないまま、あっという間に授業が進んでいき、実技の授業がきた。

俺たちは体操に着替えると、グランドに集まっていた。


「いつもの通り、魔法型の人は向こうで暗唱を、物理型の人はここで模擬戦をしてもらう!」


実技担当の先生に言われ、皆移動していく。

戸惑っていた俺に琢磨と、つかさが近寄る。


「龍児はどっちなんだ?」

「俺は多分物理型の方だ」

「俺と一緒だな!」


琢磨はそう言って親指立てて向けてくる。

こいつこれ好きだなぁ。


「そう、うちは魔法型だから」


じゃあね、と言って移動していった。

そんな時、物理型の人を見てみると、氷堂雪の姿があった。

あいつもこっちなのか、そういえばあれからちょくちょく俺の方を見て睨みつけられていたっけ。

やっぱりまだあの事気にしてるのかな。

そんな事を思いながら、立っていると先生が俺の前にきて、こう聞いた。


「君が噂の妖術師(ソーサラー)だね?」

「あ、はい」


皆がなぜな注目する。


「君は何を使う異能なんだ?」

「確か…あ!刀です!」


俺がそう言うと周りが騒めく。

ん?俺なんかまずい事言ったかな?

そして先生は驚きながらこう言った。


「す、すごいね!刀の異能はとても難しいんだよ!なかなか合う人がいなくてね、クラスに2人もいるなんて珍しい」

「もう1人は誰なんですか?」


気がつくと俺はそんな質問をしていた。


「氷堂くんだよ」

「へ?」


俺はそう言われ、氷堂雪の方を見る。

すると睨めつけながら、こっちへきて、


「先生!私、この人と模擬戦します!」


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