COUNT DOWN N 5-3 [Changing the call you]
「でさぁ王子様」
「止めてくれ!!」
王子様もとい海原さんの声が講義中の教室に響き渡る。
うわぁあの先生の顔、無言の圧力、怖い恐い。
「・・・・スミマセン」
と小声で謝るうみはらさん。
「ごめん、海原さん」
うつむく子犬のような彼女に謝る。
「いくら、と、友達でもそれは止めてくれ。名嘉くん」
「じゃあプリンス?」
「本気で怒るぞ・・・・!」
おっと本気っぽい顔だ。もうこれでからかうのはよそう。
「・・・・まだ怒ってる海原さん?ホントごめんね。どうしたら許してくれる?」
「名前で呼んでくれたら許すよ」
「ごめんね、りねこさん」
「・・・・・。」
そっぽ向いてるが目に見えて機嫌がよくなって嬉しそうにしてるのがわかる。
この子の将来が心配になった。
王子様もとい海原さんもといりねこさん。
ホント心配。
講義が終わり、大学近くのカフェに来てみた。
和をモチーフにした店に着いて、ちょっと本格的なお茶が飲めてお菓子も美味しい。
全席畳の席の店の一番奥に座る。
「王子様は本当に嫌なんだよ!」
「でも人より良い思いもしてるでしょ?」
「そ、それはそうだけど・・・・ボクは普通が良いんだよ」
普通が良いならボクとそのしゃべり方を止めた方がいいと思うんだけどなぁ。
王子様の副作用か。
「でも普通じゃなくても良いものはあるよ」
「なんだいそれは?」
「何か言われると答えづらい」
「君から言ったのになぁ」
「・・・・何だい、想い人でもいるのかい?ノロケの話?」
「ち、違わい!」
「そういう人がいるならと、友達の僕にすぐ話すんだぞ!」
「は、はーい」
女の子と付き合ってるのは言えないよなぁ。
言えないよなぁ・・・・言えないよね、私は良いけど佳己ちゃんのこと考えると。
「本当に?本当にいないのかい?」
「いないよぉ~」
「それなら良いんだけどさ!」
普通じゃない。女の子同士で付き合うなんて。普通じゃないけど佳己ちゃんにこの気持ちがなければ私たちは出会わなった。
それなら普通じゃなくて良かった。
普通でいることより大切なものがあったから。
あ~!佳己ちゃんに会いたいなぁ~!
読んでいただきありがとうございます。