帰り道
スマホの方でしてますので、ルールが無視状態になっています。申し訳ありません。
意味が分からなかった。
冴えない男子高校生が、特に関わりもしていない奴が『協力する』とか『忘れないようにする』とか、ふざけてたことをほざくなんて。
佐々木はただ本心を述べたまでと、若干のドヤ顔をしてきたが、私は戸惑った。
つい、感情的になったりと、佐々木との会話は散々な結果で。
最終的には『俺の勝手』『自己満足』と言葉を並べられて訳が分からなくなって、素っ気ない返事しか出来なかった。
正直、佐々木は基本的にはいい奴だということは認める。
けれど、度が過ぎてる気がしかしない。
必ず、裏があると思うのは私の性格が捻くれてるからだろうか?
佐々木の行動は少し前の私なら飛び上がるぐらい嬉しかった。でも、今は動きにくいだけだ。
起きたことが、事実が無くなるなら色々面倒なことも帳消しになって、どんなに暴れてもばれない。
その点を考えると事実が無くなるというのは利点だ。
窓の外への空を見るとさっきより青空が近く見えた。
あの時から数日が経つ。
一人の帰り道はすっかり慣れたものだ。
商店街の道は多くの人が利用していて、幼い頃は一人で帰るのはなんだか虚しい気がして、負けた気もした。
ビクビクとしたあの私はもう存在しない。
もうこの訳の分からない傷には躍らせるのは懲り懲りだ。
身体的にも精神的にもあの時に比べられば、強くなった。膝を抱えて泣くこともなくなった。
でも、たまに
「辛くなる」
ポトリと言葉に出すと胸の奥が何か引っかかてるみたいにもやっとして、少しだけ痛い。
「よう!」
「ひゃっ」
「おいおい、そんな驚くなよ。俺の影薄い武勇伝が更新されてしまうだろ!」
「いきなり、肩に触れられたら驚くわよ」
突然女子の肩に手を乗せる鈍い奴は私を『忘れない』と馬鹿発言してきた佐々木だった。
校則通りの服装は何の特徴も無い。
あの日から、佐々木はこうして私に声を掛けてくる。話の内容はまずこの言葉から始まる。
「覚えてるぞ」
「あーはいはい」
私が流すというのが定番がしつつあるのが、それは佐々木との距離が近づいてるという事実。
そのことを実感する度に何処か違う世界に紛れ込んでしまったようで怖くもあった。
何で怖いのか私にも分からなくて、答えの見つからない計算式を永遠と解こうとするみたいに、終わりが見えなかった。
「で、最近どうなんだ?」
「どうって別に、最近は落ち着いてるし。あんたも毎日毎日話しかけて来なくていいのに」
「そう言われてもなぁー。自己満足だし」
私一つ溜息を落とし、
「あんたの友達の山田だっけ? そいつが佐々木とどんな関係なのとか聞いてウザいのだけど」
佐々木は裃をときのようは態度で、勢いよく謝る。
「その、ごめんな。あいつは人の噂の執着はあるが、根はいい奴なんだ。許してやってくれ」
「そこまで謝らなくても……」
ここまで謝れると思わず、辿々しくなる。
「いや、お前は目立ちたく無いだろうし。それに人と関わるとそれだけ危険が増えるんだ。これくらい……」
「ーー分かったから! もう、いいわよ。そろそろうざい」
「すまん」
私につむじが見えるくらい頭を下げる佐々木はどこまでお人好しなんだろうか。
これ以上、深く佐々木と関わっていけないと分かってるのに、この関係を切り離せない。
ーー駄目だ。これ以上優しさを向けられるとまた私は弱くなってしまう。
ーーこれ以上関わらないで!
そう言いたいのに喉の手前で声をギュっと掴まれているみたいに口に出来ない。
もし、言ったら佐々木はどんな顔をするだろう?
困惑、怒り。
どちらだろうか。
「もう、帰るから」
「おう、送ってくぞ」
「大丈夫。そこまで私は弱くないわ」
「ーーそうか」
ーー弱くなんかない!
人混みに飲まれると小さなモノだと、ちっぽけな自分だと思って虚しくなる。
私は一体何を求めているんだろう?




