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プロローグ

 涙は血らしい。


 涙は血液から赤色を抜いただけのものらしい。


 涙を流すことは血を流すことと同じらことしい。


 僕らは涙を流すことの罪の重さをまだ知らない。









 


 極々平凡な俺は高校へと入学した。中学生の俺は根拠ないしに高校に入ったら何かが変わると期待していたのだった。


 結果? 

 そりゃ、まぁ、変わりましたとも。想像を越えた、望みはしない方向へと。思い描いた高校生活は入学して間もない時期に捨てましたよ。

 ほら、だっていうじゃないか。時には諦めるのも必要って。早々に決断を下したその時の俺に拍手喝采してほしい。


「斎藤、気を付けろよ。何かあったら遠慮なく連絡な」

「分かってる……その、ありがとう」


 まさか、女子高校生を家まで送るなんて、空想の世界かリア充思考の中だけかと思ったが、こうして俺の目の前で実際に起きてるわけで。

 しかし、頭二つ分ぐらい違う、黒髪ロング斎藤とは恋仲ではない。断じてな。一見美少女に見えなくはないが、少々問題ありだ。

 



 無駄に立派な一軒家に入る斎藤を見届け、太陽の入りがすっかり早くなった今日この頃。

 息を吐くと、目の前が白くなる。暗くなる前に俺は家路を急いだ。







 ーー俺と斎藤の関係は半年前の五月まで遡る。


 入学して間もなく、俺は自分のコミュケーション能力の平均値以下だということを思い知らされることになる。


 1ヶ月経った今、俺は新しい友人が居なかった。話すのは中学の時の腐れ縁か馬鹿な友人。まぁ、これはこれは居心地が良いものだが、少々虚しくなる。高校生という貴重な時間だと重々理解して、新しい世界を見るなら、見たいなら今しかないのだ。

 危ない事に首を突っ込む訳ではない。様々な人間を知り、理解し、かけがえのない思い出が欲しいだけである。

 簡単に言うと、『糞、俺だって青春らしいこと送りてぇー』だ。それは選ばれた人間しか出来ねぇのか、神よ!


 と、負け犬の遠吠えは醜いのでここまでにしたいと思います。言ってて悲しくなちゃうからね。


 でも、どうやら友人が新しいく友人が出来ないのは俺だけじゃないみたいだった。俺の左隣、しかも一番後ろの窓側という絶好のポジションを陣取っている、強運女子生徒。

 女子生徒と名は斎藤 桃歌(ももか)という。噂の美少女というやつで、裏ファンは『天使』などというあだ名をつけられているのは有名な話だ。

 本人が知っているかどうかは知らないが。

 とある馬鹿山田という友人に「いやぁーいいな。お前。噂の女子と隣なんて‼」と言われた覚えがあるが、隣にいるにも関わらず、一言も話したことがないのは、宝の持ち腐れと言うものだろうか。


 俺、笹木 浩史は年齢=彼女なし歴だ。そこら辺、よろしく頼む。


 斎藤と言えば、頭脳明晰というのが俺にとってイメージが大きい。一般入試はトップで新入生代表のはず、がそれを2位に譲った有名な話だ。それも斎藤が注目を集める理由のひとつかもしれない。


 しかし、当たり前だが転機となるものが突然起きてしまった。


 ある日の帰り道のことだ。


 学校からの下校中。いつもこの周辺の道は知り合いはいない筈だった。そう、筈だった。

 今日はやけに交通量も多く、騒々しい。じめじめとしてきたこの時期。少なくとも、静かな時間を与えてほしいものだ。

 そう、思っていた時、俺の少し前の前方に黒髪を揺らす小さな背丈、通う高校の指定の女子の制服を来てるやつがいた。まぁ、見覚えがあるわけで。シャンプーとかのCMに出てきそうな程、髪は長いし、髪質も良さそうなやつ、斎藤だった。


 斎藤だったからと言ってどうこうするつもりもないが、一人の時間に誰かがいると、落ち着かないのだ。俺は少し、神経質かもしれないな。


 帰って、ゲームパラダイスが俺を待っている。今日はあのクエストを攻略してやるー、とひっそりと決意したその時だった。


 俺の横を通ったトラック。何時もなら気にすることがない。今日は何故だが、目が引き付けて離さない。無謀にも大量に積んだ鉄パイプ。それを支えているであろう、太い縄がチリチリと裂かれて瞬間をに見てしまった。



「まさか……だろう」



 気のせいにしたいのは俺の我儘だろうか。だって、そうだろう。走行中のトラックの縄が切れかかっているなんて、普通気がつかない。


 なんだよ、この予感……。


「斎藤!」


 本能のまんま、俺は叫んでいた。あの切れ加減のして、鉄パイプが雪崩のようになるのは容易に想像ができてしまった。天文学的な数字になるかもしれないが、何故だか、斎藤に直撃するような気がしてならない。


 俺の根拠のない理由は、頭のなかでは確信してしまっている。


 いつの間にか足は前へ、置き勉した証拠の軽い学生鞄を放り出し、斎藤へと走り向かっていた。

 出来る限り、前へ、前へ、と足を動かすが、こんなときに限ってスローモションに見える世界。


 どうやら、今日、俺の目はどうかしてしまったらしい。


 やっと近づいた斎藤への背中へと手を伸ばした刹那、耳につんざくような音が俺の脳を多い尽くした。


「っ!」


 


 そこで俺の視界が暗転した。



































ノロノロ更新。

明日は更新します。

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