LEVEL1「ナイトメア」
太古の昔、軍事国家「ライズ国」、「ルド国」という2つの大国を中心に世界規模の大戦が行われていた。その最中、ルド国に自らを波動士と名乗る青年が現れた。その青年は「波動」という未知の力に関する知恵を授け、どこかへ消えていった。
その後、ルド国は「波動」を使い、をライズ国を1ヶ月で壊滅へと追い込み大戦を終結させた。
LEVEL1『ナイトメア』
ルド国の北西に位置する深い森の奥、一人の男とともに修業に励む一人の少年がいた。
男と修業をしているその少年の名はダン、16歳。筋肉隆々とした男の方はリュウ。
ダンの髪は金色で、右腕には生まれつき、とても禍々しい形をした痣あり、生まれつき「波動」を使える奇異な才能を持っていた。
「ハッ!」
「甘い!!」
ドォォォォォ――リュウの声、轟音が鳴り響きダンは遥か後ろの木に打ち付けられた。
「ッ痛」
「攻撃の後、敵の動きをしっかり見ろ!!何回言わせるんだ!!」
「………。」
ダンは目に涙を溜めて黙り込んでいた。
「ハァ〜。仕方ない、今日はもう終いにするか…。」
「まだ…やれます!」
そういうとダンはゆっくりと立ち上がった。
「フン!ならばさっさとかかって来んか!」
「ハイ!」
そういうとダンは拳に意識を集中させはじめた。すると、拳が光り始め。光はしだいに大きく、強くなっていった。
「ハァァー」
「タメが長いんだよ。そんなことしてる間に敵に攻撃されちまうだろーが」
そういうと、リュウの拳も光り始めた。その瞬間、ダンはリュウに飛び掛った。しかし、リュウはダンに向かって光球を投げつけた。
「うわぁ!」
ダンはよろめき、その場に倒れこんだ。
「むやみに跳ぶな。隙だらけになっているだろう!」
ダンが起き上がるとリュウは強烈な拳骨を喰らわせた。
「ッ痛ーー!!」
ダンはまた地面に倒れこみ、頭を抱え地面を転がりまわった。
そして、その後も修行は続いた。その日、ダンはボロボロになるまで修業を続けた。
そして夜―――。
日課である夕食の支度をしながら、ダンは訊ねた。
「ねぇ師匠、いつになったら修業の第2段階を始めるんですか?」
「そうだな、お前の攻撃で俺が一歩でも動いたら、だな。」
修業を開始してから3ヶ月、修業はまだ第一段階。毎日毎日、朝から晩までずっと戦闘訓練しかしていない。
技術的な修業は第一段階が終わってからだ。―――修業を開始して間もないころ、師匠に言われた台詞を胸に、明日こそ明日こそ―――と修業してきて3ヶ月間。
(いつまでこんなことしてんだろ。)
夕食を食べ終え寝床に着いたとき、ダンはふとこんなことを思っていた。そして、いつの間にか意識が遠のき深い眠りについていた。
次の日の朝―――。
いつもより早く目覚めたダンは、師匠の朝食の支度を済ませ、早々と修業の準備をしていた。準備が終わり師匠を呼びに行こうとしたその時、ダンは家の前に見知らぬ男が立っていることに気がついた。
「すみません、どちら様でしょうか?」
ダンは男に訊ねた。しかし、返事はない。そればかりか、その男はダンに目もくれず森の奥へと去っていった。男を追おうとしたその時、腕を掴まれた。
「奴にかかわるな。」
師匠だった。そして、ダンが今まで見たこともないほど表情が強張っていた。
誰なんですか?――――ダンはそう聞こうとしたが、師匠の顔を見て踏み止まった。
しばらく沈黙が続いた後、師匠がその重い口を開いた。
「今日から第二段階の修業を始める。」
「え?」
聞こえなかったのか―――とばかりに師匠に睨まれたが、ダンはそんなことはどうでも良かった。師匠の昨日の台詞、今日になるとそれが一変していた。
「第二段階では、自分の武器を作る。」
ダンにはその言葉の意味がよく分からなかった。なぜなら、ダンは武器など作ったこともない。それに、師匠が武器をつかっているところなんて見たこともなかった。
「武器って―――。」
武器って何ですか?そんなことできるんですか?そんなもの見たことないですよ?―――そんなことを言おうとしたが、頭が混乱しているために上手く言えなかった。しかし、師匠のほうが早く「武器を作るといっても波動を押し固めて作るだけだ。」といった。
ダンはさらに混乱した。
〈波動〉とは目に見えぬ力、押し固めることなど出来るわけがない―――そんな先入観をもっていたダンは言葉の意味をまったく理解できなかった。しかし、師匠はお構いなしに続けた。
「その方法は―――」
そう言うと、師匠は懐から小瓶を取り出した。その小瓶の中には、血のように赤い粘液が入っていた。
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その頃、ルド国王宮では事件が起こっていた。
「見つかったか!」
「いや、こっちにはいないぞ!」
黄金色の鎧を身に着けた多数の兵士たちが叫びあっていた。
「いたぞ!こっちだ!」
「反逆者め!国王暗殺の首謀者としてお前を処刑する!」
反逆者と呼ばれる黒いマントを着た長身の男は、切りかかってきた兵士を難なくかわすと、次の瞬間波動を放ち、その兵士を吹き飛ばした。男はそのまま自らの行く手を阻む者を次から次へと倒し、逃走していった。
白い髭を生やした、背丈は子供程度でもう年なのか、腰はかなり曲がっている老翁が向かい側の宮殿から顔を出した。
「大臣殿!」
「おぉ、して、反逆者・レイムは捕らえたのか?」
「申し訳ございません!元将軍とあって人員を増やしたのですが…」
「ふむ、やはりあやつはそう簡単には捕らえられぬか…」
大臣は、額に手をあてて、しばらく黙り込んでいた。長い沈黙の後、大臣はその口を開いた。
「ふむ、全国から強者を選抜して討伐隊を編成するしかあるまいな。」
「ハッ!では、早速御触れを出して参ります!」
そしてその後、ルド国全土に御触れが出された。
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『わが国の波動士らに告ぐ。わが国王・ルド=ゴールド16世が、元将軍・レイム=サイクスによって暗殺された。反逆者は、波動士であり、兵士では太刀打ちできぬ。よって、討伐隊編成のため、兵士志願者を欲している。自らの腕に自身がある者に対し選抜試験を行うゆえ、半月後に王宮に集え。』
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TO BE CONTINUED