二人の交錯
3、二人の交錯
「高月くん、朝ご飯できたよ。お弁当はご飯の横においてあるから忘れないでね」
こんこんと乾いた音を立て、部屋の扉が叩かれた。それまで昏々と眠りこけていた高月ははっと目を覚まして、ぼやけた頭で生返事を返す。
「んー」
もそもそと身支度を始める高月。扉の外の深海は時計を気にして、細い手首に掛かった小さな花があしらわれた銀色の腕時計を眺めている。
ベルトを締めてワイシャツを羽織る。ハンガーに掛けられたカーディガンと鞄を手にもって、高月は部屋の扉を押し開いた。目の前に現れる深海の姿。すっきりと結わえられたポニーテールを視界に納めて、深海のこちらをまっすぐと見据えてくる目を見てすぐにそらした。逸らした先にあった深海の首筋に掛かった後れ毛を視線でたどると、第二ボタンまで開けられたブラウスから覗く白い胸元が見えて、反射的に視線を落とす。視界にうつる白い生足。心臓に悪い。この間約一秒。終いには深海自体から目をそらして、高月は眉根を寄せた。
「高月くんおはよう」
ふわりと微笑む深海の方を見もせず、小さく頷く高月。
「……おはよう」
「今日ね、お母さんたち会社の用事で早く出かけちゃったから、鍵は締めていってね。私、彼氏と待ち合わせしてるから先にいくね」
「……ああ。
スカート伸ばせよ。短い」
「えー、スカート短い方がかわいいよ?」
「……伸ばせよ」
「んーでも今時間ないし、じゃあね」
ぱたぱたと手を振って去っていく深海。取り残された高月はため息をついて廊下を歩いた。階段を降りながら鞄を漁り、昨日の夜に入れておいた携帯電話を開く。新着メールが三通。すべて吉村が勝手にアドレスをばらまいてしまった同学年の女子からだった。内容は昨日何したとかいう日記みたいなメールが二通。もう一通のメールを読んで、高月は深いため息をついた。
『高月くんが好きです。付き合ってください』
この手のメールは本当に困る。どうやって断るべきか毎回悩むからだ。何十分も悩んだあげく、口の上手くない高月が絞り出す言葉はたったのこれだけ。
『ごめん。無理』
高月の素っ気ない返事が原因で、高月は入学してから半年しか経っていないのに、何度も嫌な目にあっている。出会い頭にひっぱたかれるだとか、モテる先輩を振って腰巾着にリンチされただとかそういう類いのことが何度もあったので、高月は教師たちの間で問題児扱いされている。そのせいで、生徒の恋愛にあまりいい顔をしない教師にまで恋人を作れと強要されている。高月にその気はないのに。昨日、遂に深海にまで彼女くらい作ればいいのにと言われてしまって、高月は内心がっくりと肩を落としていた。
床に荷物をおいて本日二度目のため息。まだ暖かい食事が置かれたテーブルに着き、羽織ったままだったワイシャツのボタンを閉じた。テーブルの上には、焼き鮭と味噌汁、白米という王道的な日本食が置いてあって、高月は少し感動してしまう。さすが深海だ、と感嘆し、黙って手を合わせた。
ふわふわと二層にわかれはじめた味噌汁をかき回し、高月は食事を掻き込み始める。
待ち合わせ場所のコンビニの駐車場。コンビニで買った野菜ジュースをじゅるじゅると啜っていると、不意に後ろから背中を押された。
「深ー海ぃ。おっはよー!」
危うくこぼれかけた野菜ジュースと背中を押した犯人を交互に見やり、深海は少し眉をしかめた。すぐに笑顔を作り、
「おはよー。ねえすばるくん、危ないから押さないでよ」
そういってからまた野菜ジュースを啜った。こぼれる前に飲み干してしまえという考えだ。なにも考えずに紫色のものを選んでしまったので、こぼれたら悲惨なことになると深海は少し後悔している。
深海が野菜ジュースを飲み終える前に、すばるは強引に深海の手をとって歩き始めてしまう。少しよろめいた深海は慌てて彼の歩調に合わせて早足になり、彼の手を握り返した。歩きながら野菜ジュースを飲み干し、置き場に困って手の中でもてあそぶ。隣で長身のすばるがこちらを見下ろしていた。
「オレが捨ててあげようか?」
「いいの? ありがとう」
こちらに延びてきたすばるの大きな手にどきどきしながら野菜ジュースの空を預け、深海はすばるの肩に頭をつけた。
「ねえすばるくん、誕生日いつ?」
「来月の三日。深海はいつなの?」
「九月の七日だよ。すばるくんの誕生日にはケーキ焼いてあげるね」
「やった。ラッキー! オレ甘くないチョコケーキ食いたい!」
「うーん、頑張ってみるね」
うなずいた深海の言葉を最後に、二人は言葉を交わさずに歩いた。この通りはあまり車が通らない一本道なのだが、時折通る車からさりげなく守ってくれるすばるに、この時深海は確かに恋をしていた。
二人は学校に近づくにつれ、ちらほらとその数を増やし始めた登校者に混じり溶け込んでいく。隔離された二人の世界は、徐々にその規模を広げていった。
二人で手を繋ぎながら板張りの廊下を歩く。繋いだ手で共有しあう互いの体温。体温というのは幸福の象徴なのだと、深海はそう思っている。まだ若い深海にとっての幸福は、愛情と同じ意味を持つ。そう信じている。
「すばるくん」
「ん?」
「好きだよ」
信じているはずなのになぜか、こうして口に出さないと幸福を信じられないのだ。
いやに真摯な表情をした深海に、すばるは穏やかに破顔した。あいにくと片手が塞がっているので、繋いだ手を離して深海の柔らかい髪を撫でる。
「うん。オレも深海が好きだよ」
すばるに恋をしているはずなのに、嬉しいはずの言葉を受け入れる心が空虚なのはなぜだろう。嬉しいはずの言葉より、今朝高月と交わした意味のない言葉の方がその心臓を高鳴らせるのはなぜだろう。すばるに恋をしているはずなのに――
「あ」
いつの間に来ていたのか、教室から出てきた高月に視線が吸い寄せられる。深海と視線を合わせた高月は少し不機嫌そうに眉を寄せ、深海から目を逸らした。高月の後を追うように出てきた吉村が、高月と同じくこちらをみて、笑顔を見せた。
「おお、深海ちゃんおはよー。横にいるのは彼氏くんかな」
「おはよう吉村くん。すばるくんっていうんだ」
そう言ってすばるを紹介すると、高月がすばるを横目でちらりと睨んだのが見えた。すばるはちょっと居心地が悪そうに身動ぎして、よろしく、と小さく言った。
教室の前ですばると別れ、教室に入って席につく。隣の席の由梨花に挨拶をすると、由梨花は椅子ごとこちらに近寄ってきた。
「ねえみーたん今の三組のすばるくんだよね? 新しい彼氏?」
由梨花は明るい茶に染めた緩いパーマのかかった髪が印象的な美少女だ。深海とは違った理由で彼氏をとっかえひっかえしていて、なぜか仲間意識を持たれているのでよく話しかけられる。由梨花が深海をみーたんと呼ぶので、対抗して深海は由梨花をゆーりと呼んでいる。
「うん。ゆーりが休んだ日に告白されたの」
「えーあたしすばるくんの事気になってたのに! ねえみーたん、すばるくんに告白していい?」
遠慮のない由梨花の言葉に苦笑を溢しながら、深海は笑った。別にどうでもいいと思ってしまった深海は、やっぱりすばるに恋をすることはできなかったのだと思った。どれだけ彼氏を作っても、手を繋いでる間以外は彼氏に愛情を抱けないのだ。高月の事が、忘れられないのだ。
「いいよ。すばるくんのことまだ好きじゃない」
「マジ? じゃあ今から告ってくる! フラれても恨まないでよ!」
ぱたぱたと駆けていった由梨花を眺めながら、なんとなくもうすばるとは別れるのだろうと思った。すばるは面食いなのだ。派手ではあるが明るく可愛い由梨花に告白されて断らないわけがない。
案の定今日限りですばると別れる事になったのだが、深海はなにも言わなかった。ただ、別れ話の最中に背中に突き刺さる高月の視線だけが痛かった。
昼前にすばると別れたせいで、すばるに渡すはずだった弁当が余ってしまった。どうしようかと思い悩み、深海は教室をキョロキョロと見回した。高月と目が合う。その横にいる吉村と目が合い、吉村がギターを買うために親からもらった昼食代を使わずに貯めていると言っていたのを思い出した。弁当箱を手に、吉村の元へと歩み寄る。
「ねえ吉村くん。よかったらお弁当食べてくれないかな」
そう言って弁当箱を差し出すと、吉村は途端に目を輝かせた。
「ほんと!? やった! いただきます!」
喜んで手を差し出す様はまるでお手をする犬のようで、深海は少し和んでしまった。それは高月も同じようで、僅かに口元が緩んでいる。
「なぁ深海ちゃん。よかったらこっちきて一緒に食おうよ」
深海の方に顔を近づけて吉村がいう。伸長差があるので、吉村が座ったままでも深海の顔との距離はあまりない。吉村の人懐こい笑顔に微笑み返す。
「うん。いいよ。今日は一緒に食べる子いないし」
そう言って自分の席にある弁当箱をとりにもどる深海の背中を、高月は微妙な表情で見送った。
深海がピンクの包みと水筒を持って戻ってきた。弁当箱は色で使用者を分けており、ピンク色のものが深海用で、群青色のものが高月の物だ。ちなみに吉村の手元にある淡い緑色のものは、すばるとその前の彼氏が使っていたものだ。
吉村は深海に椅子を用意してやり、自分は深海の対面に座った。弁当箱の包みを開き始めた吉村を見て、深海がぽつりと溢す。
「今日はワックスつけてないんだね。ワックスつけない方がかっこいいなぁ」
吉村の動きが停止した。しばらく固まったあとにゆっくりと顔をあげた彼の顔は、ほんのりと赤く染まっていた。
「え。本当?」
「本当だよ。ねえ高月くん」
深海の視線が高月に向く。高月の目は若干見開かれていて、あっけにとられたような顔をしていた。すぐに不機嫌そうな顔に戻ったあと、
「知らねえ」
一言だけ言って、高月は弁当箱の包みに長いまつげに彩られた切れ長の目を落とした。
「そっかーじゃあ俺ワックスやめようかなー」
前髪をいじりながら吉村が言う。高月は群青の水筒に口をつけたまま黙している。深海だけが笑顔で吉村を見ていた。
「私はワックスつけない方が好きだよ」
ちらりと高月の方を見た深海と、高月の目が合う。深海から目をそらして、高月は吉村の後ろ頭をひっぱたいた。
「照れんな馬鹿」
叩かれた吉村はにへにへとだらしなく笑っていて、深海もいつもの笑顔を崩さない。二人を包む甘ったるい空気から隔離されて、高月は僅かに焦燥感を募らせる。
「いや、ほら、深海ちゃん可愛いじゃん。だからやっぱり、ほめられるとさ?」
吉村は弁当の包みをいじりながらもごもごと口の中で言い訳する。深海は小さくこ首をかしげて弁当箱を広げ始めた。高月は、眉をしかめて広げた弁当の中身とにらめっこしている格好をしながら内心焦っていた。
吉村はそれからしばらくもごもごと喋っていたが、不意に黙って携帯を取り出してカチカチと文字盤を叩き鳴らし始めた。高月は軽く安堵して、深海はなにも考えずに弁当にてをつけた。吉村が携帯を閉じる。それからワンテンポ置いて、魚のフライを口に運ぼうとしていた深海の動きが止まる。深海は僅かに逡巡したような表情を見せたのち、何事もなかったようにフライを口に入れた。
三人の間に重い沈黙が落ちる。三人を囲む通夜のような雰囲気に、クラスメイトは何があったのかとささめき合っている。だが三人はそれに気づかない。三人が三人とも、自分の事に手一杯になっているのだ。
ただ無心に弁当を掻き込む吉村。半ばやけ食いのような状態で弁当を口につめる高月。深海は食が進まないようで、不安げな表情で弁当をちまちまとつついている。
早々と弁当を食べ終わった吉村は弁当箱をたたみ、いまだにちまちまと弁当箱をつつく深海の手元を眺めていた。
「ごちそうさま」
続いて食べ終わった高月は、乱雑に弁当箱をたたんで鞄に放り込み、そっぽを向いて向かい合わせに置かれた机の隅に頬杖をついた。相変わらず深海は弁当をつついている。
昼の終わりを告げるチャイムがなるまで、三人はずっとそうしていた。
午後の授業が終わり、掃除の時間。深海と吉村は教室掃除で高月だけが音楽室の掃除なのだが、高月は不機嫌な顔で教室の後ろ側に寄せられた机の上に座っていた。深海と吉村は高月を気にしながら床を掃いている。
「高月くん」
深海が高月に声を掛けた。高月は顔を上げて深海の方を見る。深海は穏やかに笑った。
「そんなとこでサボってないでさ、こっちのお掃除手伝ってよ」
「ああ」
机から降りて、高月は渋々といった体で動き始めた。
放課後。ポニーテールをふわふわと揺らしながら歩く深海の肩を、高月の大きな手が掴んだ。足を止めて
振り向いた深海の目をまっすぐに見据えて、高月は僅かに黙した。深海が口元に笑みを浮かべたのを見届けてから、口を開く。
「姉ちゃん、今日、一緒に帰ろう」
「今日は用事があるんだけど……
十五分くらい待ってくれる?」
「……吉村の、」
いい掛けた高月の唇を、深海の小さな手のひらが塞いだ。にこり、といつも通り穏やかに深海が微笑んだ。
「大丈夫だよ、“高月”」
深海が高月の口から手を離した。思わず呆然として、自分の唇に先程深海がそうしたように自分の手のひらを被せた。軽く俯いて、高月は無言で何度か頷く。しばらく俯いたままの状態でいて、高月がふと顔をあげたときには、深海はもう教室からいなくなっていた。深海の机の上に残された鞄。吉村の机の上にも、深海と同じように鞄が取り残されていた。
かたん、と、高月は足下にあった椅子を蹴った。高月は走らなかった。ゆっくりと、着実に、歩を進めていく。吉村と深海がいるであろう音楽室へと向かって。
茜色の夕日が、窓際のスタンドに並べられたギターや黒光りするピアノをオレンジ色に染め上げている。文字を消したあとの残る黒板、ぼろぼろの教卓。ワックスが擦りきれて艶がなくなった床に、まだつやつやと光沢を帯びている机。
締め切られた、オレンジ色の空間を小さな手が押し開いた。ゆっくりと、汚れて灰色になりかけている白い塗装がひび割れて剥げかかった扉が動く。走ってきたのか、息を切らしながら教室の中に滑り込んだ深海は、教室のなかを見回した。教室の中には誰もいなかった。――ように見えたのだが、教卓が軋んだ音をたてて僅かに動いて、そこから吉村の長身が現れた。
「ああ、本当に来ちゃった。どうしよう」
深海の姿を認めた瞬間に、吉村は自分が呼び出したくせに頭を抱えてうろたえ始めた。吉村に苦笑をこぼして、深海は教卓の横に立っている吉村に歩み寄る。歩み寄ってくる深海の目を見て、頭を抱えるのをやめた吉村は決心をつけたようにぎゅっと目を瞑った。
「あのさ、深海ちゃん」
「うん」
「俺さ、中学生の時から深海ちゃんの事が好きなんだ」
そこで口を閉じて、僅かにためらいを見せる吉村。どうやらその言葉には続きがあるようだ。深海は小さく頷いただけで、黙って吉村の言葉を待った。
「でも、高月のこととかさ、色々あるから、悩んだんだけど」
吉村はまた口を閉じて、今度こそ、迷いなくまっすぐに深海だけを見つめて深海に手を差し出した。
「深海ちゃん、俺を振ってください」
「馬鹿なのかお前!」
開いたままの扉の向こうから、高月の怒号が飛び込んできた。
教室の仲の二人は弾かれるように顔をあげた。
高月はやや伸びてきた髪を上下に揺らしながら吉村に歩み寄り、彼の第二ボタンまで開けられた胸ぐらを掴んだ。高月の方が十センチほど背が低いので、端から見れば間抜けな構図だが、これまでにないほど猛り狂っている高月の気迫がそれを感じさせなかった。吉村は目を見開いて、自分の胸元にある高月の手を掴む。深海は後ろめたそうに二人から顔をそらした。吉村の喉仏が上下する。口を開いた彼の声を、低い、低い高月の声が遮った。
「“譲”」
名前は鎖だ。見るからに沸点に届く一歩手前といった感じだった吉村の顔から、力が抜けて冷静な表情に戻ってしまったのだ。吉村――吉村譲は、高月から顔をそらして、一言。
「なんだよ」
高月の肩が上がる。ゆっくりと息を吐くのに合わせて肩が下がり、それから高月は譲の襟を両手から解放した。
「悪い。ちょっと取り乱した」
ばつが悪そうに言った高月は深海の方を向き、深海に手招きをした。意図が理解できないようでおずおずと足を踏み出した深海の両肩を掴んで、まだ顔を伏せている譲の方へと突きだした。よろける深海。譲が顔をあげた。
「お前の話聞いてたけどさ、おれの事、知ってたんだな。
でもな、だからって告白しておいて振ってくださいって言うのは姉ちゃんに失礼だ。それに、おれに遠慮してどうするんだよ。
どう答えるかは姉ちゃんの勝手だけど、もう一回告白しなおせ」
譲と高月の目が合う。高月は目をそらさなかったし、その目の色に迷いはなかった。無言で頷いて、譲は深海に向き直る。
「好きです。俺と付き合ってください」
深海に差し出された吉村の手。彼の武骨な男らしい手に、華奢な深海の手が添えられた。そっと、彼の手を押し返して手を離す。
「ごめんね、吉村くん。私、高月が好き」
「えっ」
高月の喉から出た間抜けな声は予想外に大きく、静かな音楽室中に響き渡った。思わず吹き出す譲。つられて深海も笑ってしまう。
「高月、気づいてなかったのかよ」
「え」
「私、気付いてたから最近冷たいんだと思ってた」
吹っ切れたようにくすくすと笑う深海と譲とを交互に見て、呆けた表情の高月が一言、呟いた。
「……嘘だろ」
どんっ、と高月の背中を叩き、譲がにやにやと笑いながら高月を見た。その意図が理解できなかった高月は譲を見上げると、譲は意地の悪い笑みを浮かべて言う。
「ほら今度は高月の番だろ。好きって思ってんのに告白しないのは深海ちゃんに失礼だぞ」
「うるせえな馬鹿! それぐらいわかるっつうの!」
譲の腕を振り払う高月。深海に向き直り、呼吸を整えて言葉を放った。
「姉ちゃん……深海。好きだ。おれと付き合ってくれ」
――もちろん、答えはひとつしかない。長い間二人はそう願っていたのだ。願いが、ようやく叶うのだ。禁忌を解いて、二人は――
二人の道に一般的な定義で言うハッピーエンドはない。ただ、二人が幸せでいられるのならばそれでいいのだ。二人の定義は、二人が愛し合うこと。これから二人は長い時間をかけて、ハッピーエンドを作っていくのだろう。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
よろしければ感想などいただけたらなーと思っております。
この作品について少しだけ語ります。
この作品は、友人にどんなものが読みたい?と聞いたことにより生まれました。
自分は恋愛ものは全く書かないので、書き上がった瞬間に恥ずかしくなってしまってお蔵入りさせてしまったのです。
ただ、せっかく書いたのにもったいないなとは常々考えていたので、このサイトへの登録を機に世に送り出してみることにしたのです。
いかがでしたか?
もしも気に入っていただけたのであれば幸いです。