僕、久賀琉威は最高に濃いメンバーに囲まれている
あっと言う間に六時間目の授業が終わり、放課後となる。
僕にとっては一番憂鬱な時だ。
「ルーちゃんじゃねん! またお久しゅう」
やはり訳のわからない日本語を操る彼女は、大きく手を振りながら家路につく。
できれば僕も家に帰りたかったが、残念ながら生徒会執行部は年中無休。休みはない。
僕は大きく溜め息をつくと、勢いよく部室の扉を開け、センパイ方に挨拶をする。
幸い、僕の大嫌いなバ会長は来ていないみたいだったので自然な笑顔で挨拶できた。
「いつも挨拶、関心ね。流石私の従弟」
そう誇らしげにしているのは、僕の従姉の栖須梨華〔すすりか〕副会長である。
従姉とはいったが、僕とセンパイはまったくもって接点がなく、知ったのはつい最近の事だ。
「そりゃそうだろ。なんてったって俺が認めた、最高にDKYな男だからな」
何処かの外国人並に独特な言葉を使うセンパイは凪善弥〔なぎよしや〕会計という。
帰国子女で最近までアメリカにいたらしい
凪センパイの感性は物凄く独特だ。
「そんなの普通だよ。僕もやってたし」
「おっ!? 昶、お前居たのか」
凪センパイの一言に凹んでいるメガネのセンパイは昶大和〔ひさしやまと〕書記だ。
生徒会執行部では一番の常識人なのだが、とてつもなく空気が薄い。
たまに僕も気がつかないこともしばしば。
「落ち込むな昶。貴様の影が薄いなどいつものことだろう。いい加減慣れろ」
いつ入ってきたのか、凹んでいる昶センパイの傷口に塩を塗り込んだのは曙雅〔あけぼのみやび〕会長。
僕のスーパーエリート道最大の障害物であり、最悪の自尊主義人間。
何故生徒会長になれたかまったくもって謎だ。
僕達、生徒会執行部はこの五人で活動している。
はっきりいって最高に面倒なメンバーだ。
今、僕の心情を表すとしたら帰りたいの文字しか無理だろう。
いつも通り大きな溜め息を吐き出すのだった。