《エピソード05》漂流して?
私は、ボートのシートの覆いの中に隠れたまま、恐怖に固まっていましたが、いつしか眠ってしまったようでした。
私は、突然、ボートの覆いが開けられて、差し込んでくる朝陽の光で、目が覚めました。
ああ!! 騎士に見つかったのかな? いえ!! 朝陽だよ? とパニックを起こしていました。
よく見ると、ハンターのご夫婦が!!
「おはよう。この先は流れが合流して、凄い濁流になっているんだよ、危なかったね」と言われて、落ち着きを取り戻して行きました。
このボートは、シャロム湖のものだね。君は南アルカラから来たのかな?
では、ここはアルカラの国なんですね!! 助かったのね!! とつい、言ってしまいました。
もう大丈夫だと思うよ。何かに追われていたのかな? いまは、この辺りは俺達しかいないからね。と、とても優しそうな方達でした。
ボートはこのまま乗り捨てて、ご夫婦の船に移りました。
こちらのご夫婦は、大川ヘビの狩りに来てたようでした。お父さんがウェリさん、お母さんがシルアさん。
私はリーシェの記憶にあった、逃走計画の偽名でシアと名乗りました。
とりあえず、ご夫婦のところに、お世話になることになりました。最近、娘さんが18才でお嫁に行き、王都で暮らしているそうでした。
ご夫婦は、中継都市のシャルムタームで、定食屋さんを営んでいました。
私は、何とか追ってから逃れたのと、当面の住む場所が確保できたので、感謝したい気持ちでした。
リーシェの記憶にも、この国に来た記憶はなかったわ。
◇◇◇◇◇◇王太子は?
その頃に王城では、王太子が焦っていた。神殿長を捕らえたものの。肝心な聖女リーシェには、逃げられてしまっていた。
聖女専用の馬車を捕らえると、乗っていたのは、聖女付きの侍女だったのだ。
聖女リーシェの逃亡先は、全く教えられてもいなかった! 御者も同じだった!
街道を使って追手を差し向けても、渋滞につかまり、追い付けていなかた。
しかし、逃走の対策をしていた、裏道の追手は途中で追い付きはしたが、神殿騎士には逃げられていた。
馬車の中は、空だった。森へ逃走したようなので、騎士達が森をさっきまで捜索させていたが、未だに見つかっていなかった!!
このままでは、国王との怒りを買って、例え王妃である母は止めても、重臣たちも納得しないだろう。
今日の昼頃には、帰ってきてしまう。もう、苛立ちを隠しもしていなかった!! 聖女リーシェめ!!
続きを、お楽しみに...《エピソード06》断罪が始まる?




