《プロローグ》
周りを見渡すと、貴方だけの恋の指定席を、用意して待っている方がいるかもしれないですよ。
例えばこんな話が...
私は薬局の娘セリーナ。父母と3人暮らしです。だから、私は薬局のかんばん娘になる、といっても、今年で23才。
15才で成人になるの。だから、世間的にはソロソロ、いきおくれのウワサも出始めている年頃です。
村の幼馴染の2人。バルガス、ロイドの男の子は、幼い頃から剣士を目指し、村の剣士育成会に参加して、鍛錬をしていた。
勇猛な戦い方では、バルガスが優秀となり。知略を使った戦い方では、ロイドが優秀と評価をされていた。
13才の時に、早期剣士選抜会で、2人は選抜され、王都で騎士を目指すために出発をする。
2人は王都出発の時に、私を前にして、早く騎士になった方が、「セリーナを王都へ迎えに来る」と誓っていた。
この話が、2人の王都出発後に、村でウワサになってしまっていた。
私の母は庶子であったけど、元貴族だった。そのためか、騎士になって功績をあげれば、騎士爵(準貴族)になれる。
それもあってか、2人のウワサ話に、とても喜んでいたの。
あれから5年が経って、ロイドは商人になっていたの。護衛の冒険者達と年に数回、ほろ馬車でやって来る。
隣の領主のところへ、運送屋さんみたいなことをしているようなの。そのついでに、この村に帰って来ていたの。
ロイドと護衛の冒険者達は、とても気さくな人達で、帰ってくると、うちの薬局に遊びに来てくれていたの。
薬局には、村の人達のために、コミュニティコーナーが作ってあるの。いつもそこで、王都や旅の話を聞いていたの。
母は、私に近づくために来る男性で、庶民だとピシャリと厳しく、近づけないようにしていたわ。
だから、ロイド達は、別格の扱いだった。とても礼儀ただしく、しているからなのかな?
それと、ロイドは必ず、私の誕生日のプレゼントを持って来てくれたわ。
バルガスの家族の方は、時々来ては、バルガスが功績を挙げてる自慢話を聞かされていた。母はとても楽しみに聞いていたわ。
あの誓いの日から10年が経っていたわ。昨年、バルガスは騎士爵になったとウワサがあったの。
でもその頃から、バルガスの家族は自慢話に来なくなっていたわ。
そして、今年に入って、王都でバルガスが結婚するウワサが流れていた。
村の人も母も、私の前ではバルガスのウワサ話を、しなくなっていたわ。
そして、王都での結婚式の招待状が来たの。それは、ロイドと護衛の冒険者達が届けてくれたわ。